名南将棋大会ブログ 名古屋

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20170912今日の一手(その569);相穴熊

2017-09-12 | 今日の一手

20170912今日の一手

7月16日の名南将棋大会から、NさんとAさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答
仕掛けから見てみます。

相穴熊で、普通の指し手は68銀~35歩同歩38飛、という感じでしょうか。24歩同歩35歩同歩46銀

という手順自体はよく見るのですが、相穴熊の場合は少ないです。これは玉の堅さを優先して考えるため。右銀も守りに使うほうが多いです。
後手は1回36歩と突き出しておくのもありましたが、45歩33角成同桂35銀39角

24飛57角成

と35の銀を目標に馬を作りました。なるほどの手順でしたが、23飛成とされて、35馬は33竜での両取りで困ります。23飛成に32歩

と我慢して、34歩35馬33歩成72飛で問題図。

☆形勢判断をします。
銀桂交換で、先手は竜と と金、後手は馬を作っています。少し先手の駒得です。
玉の堅さは、後手の63金64銀が守りに働いているとはいえず、72飛を守り駒と数えて、少し先手玉のほうが堅いです。
先手の攻め駒は持ち駒角桂2枚。23竜と33と を後手玉攻略に使えるかどうか。
後手の攻め駒は持ち駒銀1枚で、35馬も入れて2枚に近いです。

総合すれば先手有利です。

☆ 大局観として
小学生と中学生の対局で、相穴熊の経験値は少ないみたいです。後手のOさんは穴熊党ですが、相穴熊の時に袖飛車(のつもりで指していたのでしょう)では効果が薄いのです。問題図で75歩~76歩としてもまだまだ先手玉に響きませんね。飛を転戦するなら6筋に使えるように駒組みをしておくものです。
先手のKくんのほうがうまく組んでいて、相穴熊で端の位を取って銀冠穴熊ならかなり堅いのです。でも右銀で攻めるのはどうなのかなあ、と思います。
相穴熊は玉の堅さを重視します。今は先手玉のほうが堅いので、決め手を探しましょう。どうやって攻めるかです。攻め駒2枚なので増やさなければなりません。


△ 実戦は21竜と使って、66歩に94歩

と端を攻めました。これで98香を入れて攻め駒4枚、ということだったのですが、相穴熊ですから66歩は手抜かないほうが良いです。66同歩に67歩同金か68歩~69歩成か、どちらにしても67歩成と乱されるよりは優りました。
94同歩93歩同香85桂67歩成同金66歩同金57馬

この金取りが少し受けにくいのです。よって攻め合いで(若い子たちは直線的な読みが速いので、勢いで直線の変化を選びがちです)41角62歩93桂成同銀65歩66馬64歩79銀

先手玉に詰めろがかかるようになり、77銀同馬同桂95桂

この桂が好手です。95同香には97銀が利きます。後手玉が遠いですね。
と、直線的な変化で後手が勝ちになりました。21竜としたのに41角と打つのでは利きが止まるので攻め方を間違えているのでしょう。


○ 実戦の変化でも出ましたが、41角

というのがなかなかの手です。穴熊では角よりも金の価値が高くなっていることが多いのです。金取りの受け方が悩ましく、73金や73飛は85桂がぴったり。


62金引が普通ですが、63桂61金寄42と

金銀を剥がしに行けば、後で自玉にも埋められます。

62金上には32竜

が先手になるのでこれも十分です。

52銀と打つと

先手玉も穴熊ですから強くいけます。52同角成同飛43と72飛52銀62金引63桂

角は捨てても食いついてしまえば優勢です。


△ 自然なのは43と ですが、79銀

と金を剥がしに来られるのは少し嫌な感じです。もう少し早く攻めたいです。


○ 43と

と引けば馬取りです。竜の横利きが通りました。57馬に44角

から43とを見る、あるいは11角成~77馬と引き付けるほうが私の好みです。

57馬に35角と合わせると46歩

が手筋で、44と47歩成は損でしょう。46同角47馬

の時に64角同金53竜と調子は良いのですが、少し気に入らないです。


× 馬を追うにも36歩57馬

では効果が見えません。


× 55桂だと73金

と寄られて、後手玉を固めさせています。桂馬も質駒になっているので指さないほうが良いです。


△ 他には94歩同歩85桂

と置いておくか。歩の枚数が少ないのでちょっと早いような気もしますが。


☆ まとめ
穴熊ゆえ、特に相穴熊ゆえ、という特殊事情が分かっていただけたでしょうか。(私が穴熊を指さない理由の一つに、相穴熊の感覚がわかりにくいということがあります。)
穴熊が不得意な私がいうのもなんですが、振り飛車穴熊が好きな方でも、相穴熊の時は指し方が変わるのに気が付いていない人も多いです。いつでも袖飛車を見れば勝負になる、わけではないのです。

とにかく自玉の堅さが最優先で、相手の穴熊よりも少しでも堅く組めれば作戦勝ちです。
自玉に手がついたらほとんどの時は相手をします。
4枚で固めて、細くても攻めてしまえば有利になりやすいです。
飛角よりも金銀のほうが価値が高いことも多く(でもそれが流動的で難しいのですが)、飛角の差はあまりないような気がします。銀よりは金のほうが価値が高そうです。

この問題の場合はそういうことを念頭に、41角が好打でした。

と金も使って4枚の攻めにする、というのが普通の考え方ですが、単に43と では遅いのではないか、というのは64銀63金を相手にするからです。
43角を打って、受け方によっては と金を使う、というほうがスマートです。

後手の一番働いている駒は35馬ですから、この馬に働きかけるというのも良い考え方です。34と が一番よさそうですね。

相穴熊で位を取っているから端攻め、というのはあり得るのですが、98香も攻めに使うというよりは、94歩同歩93歩と穴熊を崩す手順がいつでも存在する(相手からはない)、ということが大きいのではないでしょうか。端を破ろうとするのは指し過ぎではないかと思います。(相穴熊の序盤では端の位を取らせないほうが普通です。)


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