20190614今日の一手
5月1日の名南将棋大会から、TさんとOさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
先手の1歩損で持ち歩がないので駒損です。序盤での駒損は重く見ます。
玉の堅さは先手のほうが少し堅いです。
先手の攻め駒は持ち駒角1枚。
後手の攻め駒は67角1枚。
総合すれば後手もちです。
☆ 大局観として
この前の問題とは正反対で、苦しい時にどうするかという問題です。序盤での今日の一手はあまり書いていないのですが、形勢判断の中では駒の損得が重要です。これから長い戦いになるでしょうから、少しの差でも大差になりやすいです。
つまりどうやって駒損を避けるかというのがテーマです。互角にもっていければ良しとします。
△ 当面89桂を守らねばなりません。実戦は88飛でした。57歩成があるので
自然な応手とは言いにくいです。86歩56角成85歩53銀84歩47と
8筋を逆襲して飛が取れればということでしたが、飛は取れず、38銀を取られることになっては明らかな駒損です。
途中57歩成の時に75角
王手で と金を払えます。33玉57角56角成44歩28玉
歩は取り返しましたが、馬と自陣角では馬のほうが駒得で先手が指しにくいです。馬と持ち角ならばまだ悪くはない(多くは手得になる)のでしょうが。
× 78飛はちょっとひねっていて
78同角成を誘っています。後手としては57歩成のほうが良くて、75角33玉57角
と金を取られても45角成とすれば馬と自陣角なので馬が大きいです。
× 79金だと
57歩成同飛45角成ならば、歩損が消えて馬と持ち角なのでまあまあ我慢できます。
58角成同金と進むでしょう。
飛歩と角の交換ですから駒損です。56歩を取れれば
駒組のやり直しで、作戦負けの恐れもありますがこれから次第です。
ただ56歩は簡単には取れません。53銀48玉44銀
67金に55銀を用意されています。64歩同歩63角
もう1歩損をして馬は作れます。さらに駒組みが進んで
もう一枚馬を作れたらさらに駒損は薄れるのですが、玉の堅さが逆転していますから後手のほうが勝ちやすいです。
×か○ 68金は
58角成のほうは同金寄79飛67角
角2枚持っていれば飛の打ち込みは何とかなります。
当然(と思ってもらえればよいですが)89角成に59飛
といううのがねらいの手です。99馬同飛は桂香歩と角の3枚換えではありますが、振り飛車の左の桂香がさばけたと思えばまずまずです。
57歩成89飛68と同銀78金
この両取りをかけられそうです。66角33桂(89金11角成は望むところ)88飛
88同金同角89飛66角打
79金を見てちょっと指せるかも。
ただ68金に57歩成とされたら
失敗なのです。57同飛89角成59飛45馬
桂損で馬を作られています。ただ先手陣も形は悪くないので駒損を受け入れて指すことはできます。68金はハメ手のような勝負手でした。
× 59飛でも
89角成68金ならばまずまずです。
でも57歩成とされた時には
57同飛89角成、あるいは75角33玉57角89角成68金45馬、いずれも失敗です。手順前後はいけません。
× 78金はひねりすぎで57歩成を食らいます。
67金に同と、二枚換えで駒損の変化になります。
○ 78角が多分最善手です。
自陣に駒を打つ方が粘っている感じがしますね。58角成同金
というのは56歩を取りやすいのです。歩を取り返して飛角交換ならば許容範囲です。
ということで後手は78同角成です。
78同飛57歩成75角33玉57角67角
歩を取り返したけれど馬と自陣角ではちょっと見劣りします。
それと57歩成ではなく53銀58金左と進行したとしても
56歩を取り返しにくい状態が続きます。
なので78同角成には同金
として56飛を見る方が良いです。69角を打たれた時にどうするかですが、あっさり68飛78角成同飛57歩成
75角41玉57角67金66角
78金11角成33桂66角22銀21馬69飛84香
飛を取られても11香を取って反撃できますからまあまあ戦えます。
後手は57歩成の前に67金を打って
88飛57歩成28玉
くらいかもしれません。金 と金VS角はちょっと損ですが、先手玉のほうが安定しているのでそんなに悪くもないです。86歩同歩同銀という攻めもありますし。
△か× 98角は惑わせるかもしれません。
58角成同金左の時には飛車の打ち込みに強いから56歩を取り返しやすいという主張です。
後手は飛を取らないで馬を作るのが正しいです。
歩を取り返しても馬と自陣角で働きに差があります。
どれかの変化と合流するでしょう。ただ最善と思える78角や勝負手の68金に合流しないです。
☆ まとめ
序盤での駒損は避けたいです。注意することとしては
①歩損でも持ち歩があれば駒損ではない。
②(相手)馬(自分)持ち角 は損だとも言い切れない。
③(相手)馬+歩切れ(自分)持ち角+歩得 ならば歓迎する。
④(相手)馬(自分)自陣角 は損なことが多い。
⑤(相手)自陣角(自分)持ち角 は自陣角の働き次第
⑥(相手)飛(自分)角 は陣形次第。飛の打ち込みがあるかどうかに関係する。
これくらいのことを理解しておけば(実戦で思い浮かべられたら)良いです。
ここでは最善は78角でした。ちょっと損でも粘る感じです。
68金に89角成としてもらえそうな相手ならば勝負手が成功します。