名南将棋大会ブログ 名古屋

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大山将棋研究(179); 四間飛車に左美濃

2016-06-08 | 大山将棋研究
昭和49年9月、大内延介先生と第1回棋王戦です。


大山先生の四間飛車は普通なのですが、大内先生が最初から居飛車を選択して振り飛車を譲ったのが意外です。

振り飛車党は左美濃を選んだ方が安心するのでしょう。この形、私が大学生のころよく指して、よく負けていました。88玉の形の左美濃は穴熊相手ならよいのですが、美濃囲いの振り飛車相手には作戦負けになりやすいのです。でも天守閣美濃が気に入らなくて、よくつぶされていました。まあ弱かったからですが。

飛車を回るのは軽いのですが、86歩と突いて85桂の筋を緩和するか、59角から37角や26角を目指すほうが良いです。

45歩を防いでの46歩。先手番でこれでは物足りないです。

ここから戦いが始まります。銀を引いて56銀ならやや居飛車よし。

56歩と打てば銀が死ぬので歩を手に入れるために動きます。

これで飛角が一気に働くので、大山先生のほうに勢いが出てきました。

大内先生の飛車が狭いのですが引いているわけにはいきません。

56歩と打たれる前に仕事です。

銀を交換してとりあえず1本手筋。逃げにくいですが取るのも利かされです。

乱しておいて飛車きりの催促。

先手で飛車を下せば

とりあえず大山先生が駒得です。そしてもう一回手筋。取れば65金から76桂の筋があります。好調です。

歩1枚で乱して、飛車を出る。でも37角の筋があるので危険ではあります。

そのラインを目指しての74歩にカウンター。

桂と金の交換、これで大山先生の金得です。飛車を横に使う得意の形ですね。

大内先生は駒損なので攻めに活路を見出すしかないです。

7筋が壁になったので、端攻めが厳しくなります。

大山先生は歩切れなので受けにくいですね。94同飛くらいかと思ったら

香打ち。これでいいのか?と思います。

これで詰めろですね。

詰みがあるとは思いませんでした。

投了図。

大山先生の快勝譜ではありますが、大内先生の終盤の追い込みもあって、終盤まで面白いです。
88玉の形の左美濃が作戦負けになりやすいというのがわかりますね。33角の筋に入っているので、振り飛車からだけ攻めがあるのです。対抗するには、54銀なら37角でけん制、44銀なら26角で攻める、というのが形です。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大内延介8段
後手:大山十段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 6八玉(59)
8 4二飛(82)
9 7八玉(68)
10 6二玉(51)
11 9六歩(97)
12 9四歩(93)
13 5八金(49)
14 7二玉(62)
15 5六歩(57)
16 8二玉(72)
17 5七銀(48)
18 7二銀(71)
19 3六歩(37)
20 4三銀(32)
21 7七角(88)
22 5二金(41)
23 8八玉(78)
24 6四歩(63)
25 7八銀(79)
26 7四歩(73)
27 6六歩(67)
28 6三金(52)
29 6七金(58)
30 7三桂(81)
31 2五歩(26)
32 3三角(22)
33 3八飛(28)
34 3二飛(42)
35 4六歩(47)
36 1四歩(13)
37 1六歩(17)
38 2二飛(32)
39 2八飛(38)
40 5四銀(43)
41 5五歩(56)
42 同 銀(54)
43 3五歩(36)
44 同 歩(34)
45 3八飛(28)
46 4二飛(22)
47 3五飛(38)
48 4五歩(44)
49 3四歩打
50 4四角(33)
51 4五飛(35)
52 6五歩(64)
53 同 歩(66)
54 6六歩打
55 同 銀(57)
56 同 銀(55)
57 同 金(67)
58 6八歩打
59 同 金(69)
60 5四金(63)
61 4四飛(45)
62 同 飛(42)
63 7五歩(76)
64 4九飛打
65 5九歩打
66 同 飛成(49)
67 6九金(68)
68 2九龍(59)
69 5九歩打
70 6八歩打
71 5八金(69)
72 6九歩成(68)
73 同 銀(78)
74 4六飛(44)
75 7四歩(75)
76 7六歩打
77 7三歩成(74)
78 同 銀(72)
79 7六金(66)
80 同 飛(46)
81 6七金(58)
82 3八龍(29)
83 5八歩(59)
84 2六飛(76)
85 8五桂打
86 7二歩打
87 4三角打
88 7一金(61)
89 9五歩(96)
90 9六桂打
91 同 香(99)
92 同 飛(26)
93 9四歩(95)
94 9九銀打
95 7九玉(88)
96 7四香打
97 7六歩打
98 同 香(74)
99 5四角成(43)
100 7七香(76)
101 同 桂(89)
102 8八銀成(99)
103 同 玉(79)
104 9七角打
105 7八玉(88)
106 7九金打
107 6八玉(78)
108 6九金(79)
109 同 玉(68)
110 4九龍(38)
111 投了
まで110手で後手の勝ち
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20160607今日の一手<その337>; 玉の薄さをカバーする; 追記あり

2016-06-08 | 今日の一手

20160607今日の一手

5月21日の名南将棋大会から、私とSさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
桂と銀歩歩の交換、馬を作り合っています。後手に持ち歩があるので歩はカウントせず、でも先手がわずかに駒得です。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒が89飛74馬と持ち駒銀で3枚。89飛は後手玉に向かっておらず、受け駒のようなものです。攻め駒は2枚と思っている方がよいです。
後手の攻め駒は35桂と持ち駒桂で2枚。

総合すれば互角です。

大局観として

先手は攻め駒を増やして攻めて勝ちたい、と考えるかもしれませんが、左に金銀が残っているので玉が薄く、攻めると反動が大きいです。
よって玉を固めるほうが正しい手です。金銀が左右に分裂していますから、左の金銀を右に寄せていくか、馬を引き付けるか、持ち駒の銀を守りに使うか、あるいは玉を左側にもっていくというのも考えられます。
という方針でじっくり指せればいいのですが、後手から狙いの手がありますね。わかりますか?それに対応しなくてはなりません。


× 実戦は25桂としました。でも24桂が痛いです。

25桂は攻めの手ですが、玉がさらに薄くなります。桂馬を打たれて36の銀が消えるのでもっと薄くなります。ここで37玉という綱渡りの受けがあるのですが、指しにくいですよね。(そこまで読めていれば悪くはないです。)桂頭の玉寄せにくしを地で行く手です。
まあ勢いで35銀同銀34桂

と返すのですが、31玉42桂成同飛

ここまで進むと、先手玉は薄く、後手の攻め駒は4枚か5枚か、強力ですね。簡単に寄せられてしまいました。


× これも攻める手でうまくないのですが、33歩とたたけば勢いが出ます。

33同桂には35銀同銀34桂

21玉42桂成同飛34歩36歩

33歩成37歩成同金33金25桂

と寄せ合いになって、先に手を付けている分だけ先手有望です。

ということで33歩には同金右。

25桂24桂

33桂成同金35銀同銀

これで攻めは続かず、後手の攻め駒は4枚に近いですね。これは寄せられてしまいます。


× 75馬もよさそうな手ですが、85歩で やぶ蛇。

あるいは64馬なら、という気もしますが、馬を使えば使われるので今一つです。


△ 24桂を受けましょう。25歩です。

空間が空くので危険な感じですが、現状は後手の攻め駒は2枚です。85歩75歩72飛

と飛車や馬をさばきに来るでしょう。64馬75飛(馬は王手飛車がある)76歩66歩58銀76飛77歩

とりあえずここまで。86飛には69飛とかわせばいいでしょう。なんとか受けられそうです。


○ 46銀と打つのも受けになります。

24桂には35銀直と取れます。43桂も44歩で無効。よって前と同じように85歩75歩72飛64馬75飛76歩66歩58銀76飛77歩

と進めても少し安心できる感じです。

また、85歩には64歩として

72飛には65馬を準備するほうが良いでしょう。46銀の効果で57馬とできません。
24桂35銀直同銀同銀57馬46銀打

これなら大丈夫です。


× 44銀と打っても同じようですが

43桂と受けられるのも気になりますし、85歩75歩72飛64馬に75馬

今度は王手飛車がないのでこれはまずいです。


終盤になるほど玉の堅さが利いてくるのですが(だからって穴熊にしろという話ではありません)、少なくとも攻める前には相手と同じくらいの堅さである方がやりやすいです。
負けた後で、左側に金銀が遊んでいて、だから負けるのだよなあ、と言っても仕方ありません。

この戦型(ツノ銀中飛車の類型)では左の金銀を右に寄せていくような指し方(大山流)や、玉を中住まいにする(風車)など、玉の薄さをカバーする指し方を身につけねば指しこなせません。

問題図では74の馬を46にもっていきたいのですが、24桂がうるさいですし、93馬が働いてくるでしょうから、ちょっとうまくいきません。将来的に持ってくるまで耐える手段を探します。
一番有力なのは銀を手持ちにしたので守りに使ってしまうことです。そして左の金銀を右に寄せるか、玉を左にもっていくかは状況次第です。


追記
82銀はどうかとコメントがありました。晃さん、ありがとうございます。

おっしゃる通り筋は悪いですが、飛車の横利きを止めているというメリットはあります。後手が24桂なら35銀同銀34桂が厳しくなる、という仕掛けです。
82同飛同歩成同馬64歩46桂

46馬と使われるので、後手を引くのが痛いです。銀を渡したので24桂よりも46桂のほうが厳しそうです。
放置もできません(38桂成同玉27銀同銀47金)から48金47歩同金

と歩を払うくらいですが、47同桂成同銀36歩46銀47金

しがみつかれて受けきれないでしょう。

受けなければいけないときは、相手の遊び駒(飛車は遊んでいるとも言い切れませんが)を相手にして、多少駒得になったとしても手駒を渡してはいけません。
自玉が安定しているならそんなに悪い手でもないです。場合によっては好手になります。とはいえこの場合はうまくいかない可能性が高いですから、考えないほうがいいでしょう。

コメント (2)
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