名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

大山将棋研究(176); 四間飛車に玉頭位取り

2016-06-05 | 大山将棋研究
昭和49年8月、熊谷達人先生と第22回王座戦です。


熊谷先生の四間飛車。これは予想通りで、大山先生は持久戦のようです。

玉頭位取りになりました。熊谷先生は66銀の形に。

55歩同歩同銀64歩64歩という棒銀の攻めに対抗するために62飛が欠かせないのが不満で、若いころは玉頭位取りがつまらないと思っていました。

5筋を交換して金を上がる。これが有力な対抗策です。完成されていなくてもこのころに指されていたのですね。

もう一回歩を合わせて、今度54歩は同銀と取って55歩で金か銀を取り返せます。ですから大山先生は玉を移動したのですが

熊谷先生は仕掛けます。木村美濃にして待つのもあったところです。6筋4筋を突き捨てて歩を打ちます。

角と銀の交換までは当然。

銀を打って金と交換

両取りと返し技、これは飛車の取り合いです。

わざわざ金を打つのは77馬を嫌ったものです。

銀を打たせて桂馬を逃げる、これは大事な手です。77馬の味がいいですからね。

それでも馬を引かれ、金銀交換でさばきます。うまい手順です。

派手な銀捨てが出ました。取れば44飛23玉24銀22玉41飛成で寄ります。

金を打つのがぎりぎりの受け。51同馬は68馬です。

飛と馬の交換になり、熊谷先生としては桂香を拾うくらい。

大山先生は中段玉で頑張ります。この香は空間を埋める攻防の手です。

2枚目の馬を作り、後手玉が寄りにくいです。

熊谷先生としては2枚飛車で桂香を拾っても寄せがみえません。後手玉を上から攻めるわけにはいかないので、桂香が攻め駒として使えないのです。

大山先生の反撃、どうやら有利になったようです。

香を打って受けるのは先手を取るため

歩を打って配置を乱すのですが

長い戦いになると大山先生はうまいです。気が付きにくい困る手を連発してきます。

つい12金と打ちたくなりますが、馬を使うのが本筋か、と感心したのですが

桂馬を打たれて怪しいですね。やはり12金と使うほうがよかったのでしょう。

22香は同竜右でどう指すか困ったのだと思うのですが。先に銀を取って

香を取ったので32金で大山先生は難を逃れました。

竜を1枚切ったので食いつくしかありませんが、55香で馬筋を止めた後で下から攻めるしかないのが辛いところ。持ち駒の香は役に立たないので3枚の攻めです。

優勢になればがっちり金を打つ方がよく

自玉を安全にして、大山先生の寄せが始まります。

金をはがせばすぐに詰まなくても受けはありません。

熊谷先生は銀を捨ててしばって形つくり。

中盤の飛角金銀の交換のところが目がまわりますが、互角の戦いです。しっかり桂馬を逃げながら攻めていくのは熊谷先生の強さがわかりますね。
大山先生の位取りが生きて、金銀をはがされたとはいえ中段玉で頑張りました。ゆっくり指してだんだん良くなっていきます。終盤のミスでチャンスができたのですが、生かしきれず熊谷先生の負けになりました。
どちらを持っても楽しめる好局だと思います。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:熊谷達人8段
後手:大山十段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 5四歩(53)
5 6八銀(79)
6 4二銀(31)
7 6七銀(68)
8 6二銀(71)
9 6八飛(28)
10 4四歩(43)
11 4八玉(59)
12 4三銀(42)
13 6五歩(66)
14 5三銀(62)
15 3八玉(48)
16 4二玉(51)
17 5八金(69)
18 3二玉(42)
19 4六歩(47)
20 5二金(61)
21 2八玉(38)
22 8四歩(83)
23 6六銀(67)
24 1四歩(13)
25 1六歩(17)
26 3五歩(34)
27 4七金(58)
28 3四銀(43)
29 3八銀(39)
30 2四歩(23)
31 5六歩(57)
32 8五歩(84)
33 7七角(88)
34 6二飛(82)
35 5五歩(56)
36 同 歩(54)
37 同 銀(66)
38 5四歩打
39 6六銀(55)
40 2五歩(24)
41 5六金(47)
42 4三金(52)
43 5五歩打
44 同 歩(54)
45 同 銀(66)
46 2三玉(32)
47 6四歩(65)
48 同 歩(63)
49 4五歩(46)
50 同 歩(44)
51 5四歩打
52 同 銀(53)
53 同 銀(55)
54 7七角成(22)
55 同 桂(89)
56 5四金(43)
57 5五銀打
58 同 金(54)
59 同 金(56)
60 4六角打
61 4四角打
62 6八角成(46)
63 6二角成(44)
64 3二銀打
65 4四金打
66 3三銀打
67 8五桂(77)
68 7七馬(68)
69 3三金(44)
70 同 桂(21)
71 4四金(55)
72 5七飛打
73 3四金(44)
74 同 玉(23)
75 6八銀打
76 5一金打
77 5七銀(68)
78 6二金(51)
79 4二歩打
80 同 金(41)
81 3一飛打
82 9九馬(77)
83 1一飛成(31)
84 2六歩(25)
85 同 歩(27)
86 5四香打
87 5六歩打
88 6七角打
89 5八銀打
90 7六角成(67)
91 8二飛打
92 5二金(62)
93 1四龍(11)
94 2四歩打
95 8一飛成(82)
96 5五歩打
97 同 歩(56)
98 5六歩打
99 同 銀(57)
100 5五香(54)
101 5七香打
102 5六香(55)
103 同 香(57)
104 5五歩打
105 5三歩打
106 同 金(42)
107 7七歩打
108 5四馬(76)
109 3一龍(81)
110 2三銀打
111 1三龍(14)
112 7七馬(99)
113 5五香(56)
114 同 馬(54)
115 5六歩打
116 6五馬(55)
117 1五桂打
118 2二香打
119 2三桂成(15)
120 同 銀(32)
121 2二龍(13)
122 3二金打
123 5五香打
124 3一金(32)
125 同 龍(22)
126 5四歩打
127 2二銀打
128 4三金(53)
129 3二金打
130 同 銀(23)
131 同 龍(31)
132 4二金打
133 2一龍(32)
134 5五歩(54)
135 1二龍(21)
136 5六歩(55)
137 1三銀(22)
138 4四玉(34)
139 2四銀(13)
140 5七香打
141 4七銀(58)
142 5九香成(57)
143 7八歩打
144 6八馬(77)
145 5九金(49)
146 同 馬(68)
147 3五銀(24)
148 同 玉(44)
149 6七香打
150 7五馬(65)
151 5五銀打
152 3九銀打
153 投了
まで152手で後手の勝ち

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

20160605今日の一手<その336>; 良い形が残るように受ける

2016-06-05 | 今日の一手

20160605今日の一手

5月8日の名南将棋大会から、MさんとKさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
先手の2歩得です。後手に持ち歩があるのでカウントせず、損得なしとします。
玉の堅さは同程度。
先手の攻め駒は58飛1枚
後手の攻め駒は55銀82飛で2枚。73角は潜在的に働いているので3枚と見ておきます。

総合すれば互角です。やや後手が指しやすいかどうか、というくらいです。

大局観として

後手は攻め駒を増やそうと33の銀を繰り出してきたところです。35銀と出れば4枚目の攻め駒になりそうです。ただし居飛車振り飛車の対抗型で、82飛は先手玉に迫っているわけではなく、角銀銀の3枚の攻め駒を相手にするだけですから、対応策はありそうです。
先手の攻め駒が少なく、攻め合いにはなりませんから、しばらくは受けることを考えます。
多分角交換振り飛車のスタートで角を打ちあったのでしょう、先手の左翼の駒の働きが悪いのでやや苦しいです。局面を落ち着かせて左の駒を活用できればだんだん先手が良くなっていきます。


× 後手のねらいは実戦の手順を見てもらえばわかります。27銀と玉頭を厚くしたのですが

35銀36歩46銀左

これが後手のねらいです。46同金同銀47歩37銀成

37同金に45桂といったのですが、すぐに37同角成と切って45桂

どこに逃げても37金で困っています。46玉でも37金18銀48金打という調子です。

実戦の手順は45桂46銀37桂成同銀の後、78歩97角87金というちょっと変な筋で角を手に入れて

47角成から29金の筋で寄せられました。

先手の工夫は36歩のところで46銀左を許さない57金上ですが後手から36歩と打たれ

36同銀と取れば同銀同金56銀


36同金から取れば同銀同銀35歩

で、なかなか収まりません。


× 手筋っぽいのは34歩の突き出しですが

35銀57金上36歩

となれば角筋を生かした攻撃でつぶされそうです。


× 36金と頑張れば

34歩同歩同金

合わせの歩で応援がきたら3筋は守れず、47銀35歩25金同銀同歩36金

傷ができてしつこく攻められますからこれもだめです。


× 57金上と受けると

35銀36歩26銀

銀に突撃されます。27歩と打てば死ぬとはいえ歩切れになります。37銀成同銀84飛

と一回74銀の筋を受けられて、88飛45歩同歩33桂

これは後手の攻め駒が増えて受けきれません。駒得(実際は桂歩と銀の2枚換えです)だと思ってはいけません。


△ 27銀とするより27玉のほうが角筋を避けているので有力な受け方です。

35銀36歩46銀左同金同銀74銀

これで角をいじめる受けの勝負手でした。37銀成同銀同角成同玉

これなら45桂はあまり怖くないです。37に銀の利きがあったのが27銀との違いです。
後手は35歩同角45金79角35歩

という攻め筋を選ぶのでしょう。28玉36歩38歩でしょうか。あるいは最初の35歩に27玉36歩38歩とか、46歩36歩同玉とか、受ける手段を考えます。後手は3筋に歩が利くとはいえ金銀桂3枚の小駒の攻めですから受けても面白いと思います。将来は左側に逃げて入玉です。


○ わかりやすい受けは53歩成です。

53同歩56歩64銀

と追ってしまえばつぶされることはありません。(ここで45歩として次の変化に持ち込むこともできます。)27銀35銀36歩24銀38金

普通の振り飛車党ならこれで安心できるでしょう。後手のねらいは54歩から55歩とか、75歩から76歩とか。玉の堅さで上回るようになったので、どうにでもなるでしょう。
この時歩切れとはいえ歩損をしていないので互角以上です。後手も3枚持ち歩があるので悪いとは思わないでしょうけれど。


○ もっと頑張った手を見つけました。45歩です。

35銀を許さないという手です。
45同歩25歩33銀36金44銀左

ここで47歩34歩同歩35歩同角同銀同金

と角と銀歩の2枚換えにしても指せそうですし、

27銀(これで34歩の筋が怖くない)54金47歩53歩

でも悪くないと思うのです。

また、最初の45歩に33桂なら36金45桂25歩

で、これも25歩が間に合います。

ということは後手は45歩に34歩と合わせるのですね。

25歩には35銀と出られます。53歩成同歩56歩64銀34歩と避けて

34同金25歩35銀36歩26銀44歩

これでできれば4筋にも位を取り、26の銀は27銀とぶつけて交換する方針で、玉頭で戦えばよくなるのではないかと思います。角の働きに差があります。



問題図では先手の攻め駒が少ない(=攻めの態勢ができていない)のですから、攻められたら受けるしかありません。

実戦の27銀は常識的な受け方でしたが、46の地点に守りの駒が足りなくなってしまいましたから劣勢です。

それと同時に26の歩も守りたい、もちろん36の桂頭もカバーしたい、というのですから、結構大変です。自然なのは36金ですが、34歩と合わせられてだめ、と読んだら

27玉が候補ですが、少し損をしている感じです。(私ならこういうのを考えてしまうのですが)

1手早く受ける53歩成から56歩は安全な手です。この場合は相手に持ち歩があるとはいえ歩得しているから成立するのです。歩損だったら悪くなるのだろうと思います。

45歩で大丈夫とは思えなかったのですが、考えてみると有力です。自信があればここでリスクを取ってもよいでしょう。

どれも受ける手なのですが、結果がかなり違いますね。後手の35歩同歩24銀というのは少し無理をしているのだろう、という気がするのです。まだ桂馬の応援(33桂と跳ねていない)ので、十分対応できるのですが、少し先まで考えてみて、悪い形になりそうならその順はやめたほうが良いです。多少の駒得に目がくらんで、陣形が乱れたら悪くなります。
もし(45歩の変化のように)位が取れてよい形になれば有利になります。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする