小林紀興の「マスコミに物申す」

第三の権力と言われるマスコミは政治家や官僚と違い、読者や視聴者の批判は一切無視、村社会の中でぬくぬくと… それを許せるか

京大・山中教授のips細胞の研究は日本を救えるか。

2012-10-08 22:26:24 | Weblog
 うれしい、の一言に尽きる。
 ネット上には喜びの声が次々と書き込まれている。
 書き込みのキーワードは言うまでもなく「山中伸弥」。日本時間8日6時半過ぎ民放のニュース番組でアナウンサーが「たった今入ってきたニュースです」と上ずった声で、山中伸弥・京大教授のノーベル医学・生理学賞受賞が決まったことを伝えた。
 その瞬間から喜びとお祝いの声がネットに殺到した。
 昨年から山中教授のノーベル賞受賞はすでに決定視していた。実際、昨年のノーベル賞選考段階で山中教授は本命視されていた。だが、残念ながら、昨年は最有力候補とされながら受賞を逃した。私も含めて日本国民の落胆は大きかった。その思いがやっとかなった。
 ノーベル賞を受賞した日本人は米国籍の南部陽一郎氏も含めると山中教授が19人目になる。だが、山中教授の研究業績は、単なる1/19ではない。
 科学分野(医学・生理学、物理学、化学)のノーベル賞受賞者は毎年選ばれる(該当者なし、という年もまれにだがある)。なかにはキューリー夫人のように2度もノーベル賞を受賞した偉人もいる。
 ノーベル賞の受賞者は、日本人であろうと外国人であろうと、受賞に値する研究成果を出した人たちである。そういう人たちにケチをつけるつもりは毛頭ない。だが、過去のノーベル受賞の対象になった研究成果に比べても、山中教授の研究成果は突出した数少ない研究の一つと言っても差し支えないと思う。
 1947年、米ベル研究所(日本でいえばNTT研究所のようなもの)のウィリアム・ショックレイをリーダーとする研究グループがトランジスタを発明した。そのトランジスタはのちに「3本足の魔術師」と絶賛されるに至るが、いったい何に使えるのか、肝心の発明者たちにすらわからなかった。
 それを世界で初めて実用化したのが東京通信工業(現ソニー)の創始者の一人、井深大氏だった。彼が実用化した製品がトランジスタラジオであった。その後単体の半導体素子だったトランジスタを集積したICが発明され、第2の産業革命と言われるエレクトロニクス時代が始まった。もちろんショックレイらトランジスタの発明に大きく貢献した3人はノーベル物理学賞を受賞した。
 山中教授の研究は、トランジスタを発明して第2の産業革命への第一歩を踏み出したショックレイらに匹敵すると思う。医学的知識が皆無の私にはips細胞なるものがどういう細胞なのか、ウィキペディアの解説を読んでも専門的すぎる説明なのでさっぱりわからない。ただ回復不可能な臓器を移植によらず患者の体の一部からとった細胞に何らかの細工を施すことによって正常な臓器を作り出す可能性があるようだということ、またその根拠もさっぱりわからないがこれまでは創れなかった夢の新薬を創れる期待があることぐらいしかわからない。NHKのニュースで山中教授自身がアナウンサーのインタビューに答えて、「実用化は10年、20年先でしょう」と述べたくらいだから、ショックレーらがトランジスタを発明した時と状況も似ている。
 ただ夢が実現した時は、ショックレーらが切り開いたエレクトロニクス革命と同様、世界の医薬界に革命をもたらすことだけは疑いを容れない。山中教授の研究成果はそれほど大きな意味を持っている。というより、山中教授を中心に日本の医薬界(公的研究機関や大学医学部、医療界、製薬会社の研究所など)がいくつかの横断的研究チームを作って、ips細胞の実用化で日本が世界をリードできるよう、厚労省は直ちにテーマごとの横断的研究グループを作るための努力を、厚労省の総力を挙げて取り組んでほしい。
 幸いなことに、エレクトロニクス産業と違って工場や技術を人件費が安い国に移転して、肝心の日本メーカーが国際競争力を失うような分野ではない。しかも後発グループに甘んじていた日本の医薬界が一気に世界の最先端に踊り出れる最後のチャンスだ。この分野の研究に必要な資金をつくるための特別目的税をつくってもいいとすら私は思っている。
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