小林紀興の「マスコミに物申す」

第三の権力と言われるマスコミは政治家や官僚と違い、読者や視聴者の批判は一切無視、村社会の中でぬくぬくと… それを許せるか

NPT(核不拡散条約)では核はなくならない。NPTを潰すことが非核世界をつくる唯一の道だ。

2015-05-25 08:38:39 | Weblog
 核大国のエゴが、再び民主主義を破壊した。国連本部(ニューヨーク)で5年ごとに開催されているNPT(核不拡散条約)再検討会議が、22日、何の成果も出せずに先月27日から約1か月もかけた議論を終えた。
 NPTは各5大国のみが、他国からの核攻撃に対する自衛力として核戦力の保持を国際社会から承認され、5大国以外には核を拡散させないという国際条約で、日本も含め約190か国が加盟している。核戦力の保有を認められている5大国は米・英・仏・露・中で、言うまでもなく国連安保理の常任理事国である。
 NPTは1963年に国連で採択され、62か国が加盟し、1970年3月に発効し、現在の加盟国は約190に増えている。が、この間、インド、パキスタン、北朝鮮が、それぞれ他国の核が脅威だとして核を開発保有していることが明らかになっている。インドは国境紛争を生じている中国の核が脅威だと主張し、パキスタンはやはり国境問題を抱えているインドの核が脅威だと主張して核を開発した。北朝鮮は、北朝鮮に対する敵視政策を続けるアメリカの核が脅威だとして核保有の正当性を主張している。
 今回のNPTが不調に終わったのは、中東や北アフリカ諸国などで組織する「アラブ連盟」が要求している中東非核地域構想の国際会議の開催を、アメリカが最終段階でつぶしてしまったためだ。
 中東でアラブ諸国と対立しているイスラエルはNPTには加盟していず、同国の核保有は公然の秘密とされ、すでに約80発の核弾頭を保有しているとされている。イスラエルは対立するイランやイラク、シリアなどの核疑惑を口実にしているが、そのイスラエルの世界最大の庇護国はアメリカであることも公然の秘密。日本も一応アメリカの核の傘で守られていることになっているが、日本以上にアメリカが核攻撃から庇護することを国是としている国がイスラエルである。が、それでもイスラエルはアメリカの核の傘にも全福の信頼を置かず、アラブ諸国との対立に備えて核を保有している。
 今回のNPTが不調に終わった経緯について朝日新聞は24日付朝刊でこう解説している。あくまで朝日新聞の解説であることをお断りしておく。

 22日午後5時過ぎ、国連本部。1か月に及んだ会議の最終の全体会合が予定の2時間遅れで始まった。
 集まった各国代表団の手には、同日未明に配布された最終文章案。加盟国の求めで繰り返し文言が修正された文章案が何とかまとまったことで、核軍縮の専門家らの間には「ここまで来て4週間の会議をぶちこわす勇気のある国はないだろう」と採択を楽観する見方も出ていた。
 全体会合で最初に演説したアラブ諸国代表のチュニジアは「文章案には懸念が残るが、賛成する準備は出来ている」と採択への同意を表明した。
 しかし、2番手の米国の演説で会議の決裂は決定的になった。米オバマ政権で核軍縮・核不拡散を担うゴットメラー国務次官が、関係者の4週間にわたる協議の苦労をねぎらった後、「しかしながら、この文章案には合意できないと言わねばならない」。静まり返った議場に向け、最終文章案に「残念ながら同意できない」と言い切った。(中略)
 中東の非核地帯構想の国際会議が開かれれば、中東で唯一の核保有国とされるイスラエル(NPT非加盟)がやり玉に挙げられることは確実だ。オバマ大統領は、事実上の同盟国であるイスラエルへの配慮から、会議の開催手法に反対したとみられる。

 この結果を受け、日本の岸田文雄外相は23日、「被爆70年の節目に当たるNPTで合意に至らなかったことは残念」と述べたが、「核のない世界」を作ることに日本がいかに無力であるかを世界に示した結果でもあった。
 政府は何かといえば「国連、国連」と、国連を最重要視する姿勢を示しているが、国連はもともと民主的組織ではない。国連は第2次世界大戦が最終段階に入った1945年6月に連合国が戦後の世界秩序をどうするかを決めた国連憲章をベースに、戦争終結後の10月に発足した「国際組織」である。戦後世界の平和と安定を守ることを目的にはしているが、国際間の紛争が生じたときには紛争解決のためのあらゆる権能(「非軍事的措置」および「軍事的措置」)の行使を安保理に認めている。が、安保理の決定は民主主義の大原則である多数決によらず、米・英・仏・ソ(現露)・中の5か国が常任理事国として拒否権を有しており、常任理事国が一致して国際紛争を解決すべく安保理に付与された権能を行使したことは一度もない。今回のNPT会議の最終文章案もアメリカ一国の反対によって灰燼と化した。

 核廃絶に関しては、世界で日本が最大の発言権を有しているはずだ。唯一の被爆国であり、核の悲惨さを唯一体験している国だからだ。
 その権利を、日本が行使するためにとるべき方法は、現在の国際組織を前提にする限り、たった一つしかない。
 その方法とは、日本がNPTからの脱退を宣言し、日本自身が中国や北朝鮮の核に対抗するために、いつでも核を開発保有する権利を行使する権利があることを世界に向かって宣言することだ。もちろん現段階においては宣言するだけでいい。ただし、いつでも核を開発できる準備だけはしておく必要がある。
 そのうえで、他国の核を脅威と感じている国があれば、日本はいつでもその国に核開発の技術を供与する用意があることも、同時に世界の非核国に向けて宣言する。
 そのうえで、世界に向かって「非核新国連」の結成を呼び掛ける。「非核新国連」には拒否権を有する常任理事国など設けず、国際間の紛争は新国連総会あるいは新国連安保理の多数決によって決める。とくに新国連が紛争の解決のために軍事的措置を行使する場合は総会における3分の2以上の支持を必要とするようにする。
 そのような提案を国際社会に向かって日本が行えば、現在の国連常任理事国(すなわちNPTを牛耳っている核5大国)を除く大半の国が、日本の提案にのってくれるのではないだろうか。少なくともそうした根回しを世界の非核国に対して行えば、多くの国から同意は得られると思う。世界の流れが、日本の提案によって大きく動けば、その流れはどの国にも止められなくなる。実はアメリカが一番恐れているのは、そうした動きが世界に生じることなのだ。
 唯一の被爆国である日本が、恐るべき人体実験として日本に原爆を投下したアメリカの核政策にストップをかけるには、そうするしかない。なおあえて「人体実験」と書いたのは、広島に投下した原爆はウラン分裂型であり、長崎に投下した原爆はプルトニウム分裂型である。アメリカはどのタイプの原爆が「費用対効果」の面で有利であるかを、砂漠での実験ではなく、大都市への投下によって検証したかったからに違いない。その目的以外に二種類の原爆を投下した理由は考えられない。現に原爆を投下したアメリカ自身、なぜ二種類の原爆を投下したのかの説明をしていない。説明できないからだ。
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