小林紀興の「マスコミに物申す」

第三の権力と言われるマスコミは政治家や官僚と違い、読者や視聴者の批判は一切無視、村社会の中でぬくぬくと… それを許せるか

朝日新聞はとうとう金まみれ商法にまで手を染めるようになったのか? かんぽ不正と同様だ。

2019-12-18 00:24:33 | Weblog
「貧すれば鈍する」(窮すりゃ鈍する)とも)という格言がある。『成語林』によれば「貧乏すると、日々どう暮らしを立てていくかで頭がいっぱいになり、物事に対して鈍感になり、心もさもしくなりやすいということ」という意味のようだ。郵便局の局員が高齢者を対象に、かんぽ生命の保険商品を詐欺まがいのやり口で売りまくった事件は、まだ記憶に新しい。17日付朝日新聞朝刊1面記事によれば、「法令や社内規定に違反すると疑われる契約が約1万3千件に及ぶと社内調査でわかった。9月末時点でまとめた約6千件から倍増ずる。金融庁も検査で多数の保険業法違反を確認し、かんぽと日本郵便に対して来週にも一部業務停止命令を出す方向だ」という。そしてかんぽ生命が郵便局員による不正販売の実態を把握したのは「今春か」とした。真っ赤な虚偽報道である。
 朝日は同時に6面記事で「かんぽ不正をめぐる主な動き」として、今春以降の経緯をこう記した。
  〈4月以前〉保険料二重払いなど集計。二重払い・無保険は年2万件超
  (4月)日本郵政がかんぽ株を一部売却  
  〈6月下旬〉新聞報道で不正が表面化
  〈7月10日〉かんぽ社長らが謝罪。保険料二重払いなど追加調査を表明
  (31日)(略)かんぽ株価は大幅下落(以下略)

 私は今年8月5日に投稿したブログ『日本郵政グループの組織的詐欺はなぜ生じたのか? 昨年4月にNHKが報じていたことを「知らなかった」では済まされない』で、こう書いた。言っておくが、知らなかったでは済まされないのは日本郵政グループだけではなく、朝日新聞もだ。不正が表面化したのは今年6月の新聞報道ではなく、昨年4月のNHK『クローズアップ現代』でのスクープ報道だ。そのことを書いた私のブログ記事の当該箇所を転載する。

 実は昨年4月24日、NHKは詐欺にあった被害者からの通報だけでなく相当数の内部告発を根拠に『クローズアップ現代』で、この詐欺商法を報道していた。今年ではなく、昨年だよ。しかもNHKは番組制作にあたり、郵政グループトップへの取材を申し入れていたが、取材に応じたのは日本郵便の佐野公紀常務執行役員で、佐野氏は取材に対して「信頼を失う行為が、少なくない数、起こっている。会社として非常に深刻。郵便局に対しての信頼を失ってはいけない。改めないといけない」と、NHKに寄せられた情報を肯定する発言をしている。昨年4月には日本郵便の常務執行役員が確認している社内の不祥事(また間違えた。反社会集団同様の詐欺行為)を、郵政グループのトップが全く知らずに今年4月に高値でかんぽ株を放出して、その株を購入した株主に対して巨額の損害を与えたことについての責任を取らないということは、日本郵政グループは山口組など暴力団以上の悪質詐欺集団と断定せざるを得ない。(中略)おそらくかんぽ生命株を購入した株主からは損害賠償請求の集団訴訟が起こされることは間違いない。

 どうやら株主集団訴訟は起きていないようだが(ひょっとしたら報道されていないだけかもしれない)、かんぽ生命の保険商品を販売していたのはかんぽ生命の社員ではない。郵便局の職員だ。郵便局が反ぐれや暴力団などを雇用するわけがないから、おそらくやむに已まれず詐欺まがいの手口で保険商品を売りまくったに違いない。私がこの稿の冒頭で「貧すれば鈍する」と書いたのは、そういう意味だ。はっきり言えば、小泉純一郎元総理の郵政民営化の負のレガシーがこの問題の根底にあり、郵政民営化を強力にバックアップしたメディアも責任を免れ得ない。そのことを指摘した8月5日付ブログの箇所を転記する。


 ただ多少、日本郵政とくに中核の日本郵便には気の毒な面があったのも事実である。日本より早く郵便事業の民営化を始めてきたヨーロッパでも、郵便事業の赤字体質には悩まされてきた。例えば1994年に民営化されたスウェーデンは、同様に赤字に悩むデンマークと2009年に郵便事業を統合、直営郵便局を順次廃止して地域の食料品店やスーパーなどへの業務委託を進めると同時に(現在はほぼ100%業務委託を完了、直営郵便局は全廃されている)、はがきや封書の料金も大幅にアップし、郵便物の集配も今では週1日に減らしている。これほどサービスを低下しても赤字は減らず、両政府からの補助金なしには事業継続が不可能になっている。
 国鉄民営化の結果を見てみよう。それまでは赤字垂れ流し路線でも、国や地方自治体が赤字を補填していたが、民営化によって自助努力で何とかしろ、ということになった。結果JRは赤字路線の廃止や第3セクターへの移行によって新幹線など儲かる路線にサービスを集中することにより経営体質を改善できた。第3セクター路線は国鉄時代の統一距離制乗車賃から切り離され、乗車賃の引き上げや地域の魅力を独自に盛り込むなど、国鉄時代とは一味違う経営努力によって黒字路線化に成功してきた。そうしたことが郵便事業にはできなかった。封書やはがきなどのユニバーサル・サービス事業は世界中どこでも統一料金制をとらざるを得ない宿命にあったからだ。
 通信というユニバーサル・サービス事業は、郵便物と電話の二つが主流だったが、いまはメールが加わり、しかも主流になりつつある。しかも郵便物にとってかつての競争相手だった固定電話は、道路1本隔てても隣接自治体地域への電話料金は市外料金が適用されている。固定電話の場合、地域ごとに設置されている交換機を経由するから、自動的に市外通話料金が計算されてしまうからだ。そうした地域料金制を郵便物の場合、採用できない。しかも郵便物の集配業務はほぼ100%労働集約型の業務だ。将来ドローンが集配業務を行うようになるかもしれないが、各家庭のポストへの配達は不可能になり、登録先のコンビニやスーパーでの集配にせざるを得なくなる。現在の郵便局はそのまま残すにしても、郵便局での郵便業務は激減できる。もちろん速達は廃止して(配達日を週1日にしている国は速達を廃止している)、小包を除き一般郵便物の料金は大幅にアップして統一する。小包の場合は現在でも料金を距離制にしている(郵便局の窓口でないと小包類は発送できないからだ)。
 そうやって郵便事業の赤字を解消しない限り、全国各地の郵便局は郵便事業の赤字を埋めることができない。かんぽ生命の詐欺商法が蔓延した根本的な原因は郵便事業の赤字体質をどうするかという政策を考えずに、ただ民営化して競争原理を持ち込めば郵便局のサービスもよくなり、体質も強化されるだろうと安易な考えで行った郵政民営化による。ノルマに追われ高齢者をだましてまでかんぽで利益を上げざるを得ない状況に職員を追い込んだのは、まさに政治の貧困による。 もちろん郵便局職員の大幅削減も避けられないし、統廃合も大胆に進める必要もあるだろう。これまで親方日の丸体質でやってきた付けは、当然払わなければならない。
 その一方で、はがきや封書の料金引き上げを規制してきた総務省も、発想を転換する必要がある。総務省の公務員もよく考えてもらいたい。先に書いたように郵便物の集配業務は、将来はドローンで行うようになるかもしれないが、現時点ではまだ典型的な労働集約型業務である。あなた方総務省の職員が、自分が郵便物を配達すると考えたとき、はがき1通62円、封書1通82円の報酬で配達業務をやれると思いますか。それも最終配達職員の手取り料金ではなく、最終配達するまでに相当のコストがかかっているはずで、仮に最終配達のコストを3分の2としてもはがき40円、封書55円程度の配達コストで郵便事業を賄えると思いますか。そういう状態を放置してきたことが、今回の組織的詐欺行為の底流にあったことを、総務省はしっかり認識してもらいたい。まず郵便物の集配コストにどのくらいかかっているかの徹底的調査と、現在の集配体制の見直しによるコスト削減、郵便局の統廃合やそれに伴う人員整理など、可能な限りの手を打って、将来も郵便物が減り続けることが必至な郵便事業をどう立て直すかの抜本的対策を構築することだ。

 さて昨日(17日)、私は朝日新聞お客様オフィスに電話をして、かんぽ生命の不正問題の根っこと、不正が表面化したのは今年6月の新聞報道ではなく昨年4月のNHKのスクープであり、日本郵政グループが『クローズアップ現代』の続報をストップさせるためにNHK経営委員長を通じてNHKに圧力をかけたのは今年4月に予定していたかんぽ生命株の放出に支障が生じるためだったことを伝えた。
 そこまではいいのだが、15分ほど話をして電話を切ろうとした途端、「お客様は代表番号に電話されましたね」と聞かれた。実は一昨日も別件で電話をした時、話が終わったあと、やはり同じことを聞かれた。朝日の読者窓口は慰安婦誤報問題が生じる前は「読者広報」と称していた。「上から目線」的な名称という批判があったためかどうかは知らないが、いまは「お客様オフィス」と称している。別に名称はどうでもいいのだが、数年前から「お客様オフィス」への直通電話番号をナビダイヤルに変えた。ナビダイヤルは受信者側が電話料金を自由に設定できる番号で、IP電話やかけ放題のスマホでかけると電話代がべらぼうに高くなったり、電話をかけられないことも多い。東京都23区内から固定電話でかける場合はほぼ市内料金と変わらないようだが、地方からかけるとかなり高額な電話代になる。NHKの「ふれあいセンター」もナビダイヤルだが、視聴者の利便性を考慮してIP電話番号も用意している。が、朝日はナビダイヤルしか用意していない。「代表番号からかけられると、事件の通報などに差しさわりがあるから直通番号にかけてほしい」という朝日の言い分もわからないではないが、読者の利便性を一切考慮せず、高額のナビダイヤルしか用意しない朝日の姿勢は、活字離れにより発行部数が激減して(発行部数が減れば広告収入も減る)、何とかほかの手段で利益を稼ごうという、郵便局と同様の「貧すれば鈍する」商法なのか。そういえば、最近評論家の田原総一郎氏が東京新聞の望月衣塑子氏との対談で朝日の内実を話していた。田原氏が話を聞く相手となれば、社長か主幹、編集局長クラスしか考えられないが、最近朝日の記事のレベルが低下しているとの田原氏の指摘に対し朝日側は、「部数減、広告収入減で思うように取材費をかけられないうえ、働き方改革で記者の仕事量を減らさざるを得なくなっている」ためと答えたようだ。そういえば朝日の読者窓口の「お客様オフィス」の読者対応時間も平日は午前9時から午後6時まで、土曜日は午後5時まで、日曜・祝日は休みだ。あらゆるメディアの中で最も優雅な勤務体制だろう。読者から購読料だけでなく、読者からの意見や問い合わせの電話代までぼったくらなければやっていけないくらい追い詰められているなら、いっそのこと毎日新聞や中日新聞(東京新聞の親会社)と合併して取材力を強化することを考えたらどうか。
 なおナビダイヤルしか用意していない会社は、私が知る限り詐欺会社だけだ。朝日が詐欺会社だとは言わないが、そういうナビダイヤルの実態を知ったうえでナビダイヤルしか電話番号を用意していないとすれば、朝日はメディアとしての資格があるのか、疑いたくなる。たとえばBISERAという健康食品をネットで発売している自然派研究所(株式会社ヘルスアップの通販部門)がある。私もネット広告にひかれて「初回サービス」の500円で購入依頼した。が、商品は届いたが、同封の説明書には会社の住所も製造元の記載も一切ない。注文した時に、ちょっと危ない感じがしたので支払いはクレジットではなくコンビニ支払いにした。で、商品が届いた時点で梱包箱に記載されていたメールアドレス http://shizen-labo.jp にメールで会社の住所や製造元についての情報開示を要求した。が、メールを送信した時点で、いきなりこのアドレスは存在しませんというメッセージがパソコン画面に表示された。なお、この会社は電話番号は朝日と同様ナビダイヤル(0570‐065‐129)しか表示していない。このナビダイヤルしか自然派研究所とは連絡が取れないということだ。ナビダイヤルがそういうふうに利用されていることを、朝日は知らなかったのか。アホか、と言いたい。ま、私はこの自然派研究所の詐欺商法には引っかからなかったが、かなり執拗にクレジット払いでの請求もしてきたし、最後は債権を弁護士法人に譲渡するという脅しまでして来た。私はこの商品に一切手を付けていないから、いつでも着払いで返品するつもりでいるが、先方はとうとう諦めたようで支払い催促はなくなった。が、私は一応商品には手を付けずいつでも返品できるように保管している。それはともかく、この詐欺会社のやり方と、朝日のナビダイヤルで儲けるというやり方と、どう違うのか。
 新聞という活字メディアは、そう遠くない将来テレビやスマホなどのデジタルメディアにとってかわられるかもしれない。いやもうその兆候はすでに顕著だ、生き残るためにはどうしたらいいか。近い考え方の新聞社同士の合併も考えられるだろうし、昔の百貨店のような「何でも売る」というタイプの紙面づくりは止めて、いっそのことスポーツ面や生活情報面は失くしてしまうことも一つの方法だ。いま新聞販売部数トップの読売にしても、かつてのような「巨人軍の有料広報誌」のような紙面づくりはしなくなった。スポーツのようなリアルタイム情報が重要視されるコンテンツは、ネットに比重が完全に移っているからだ。紙面づくりの在り方から考えていかないと、新聞という活字メディアは生き延びられないと思う。

【追記】朝日の記事のレベルがいかに低下しているかを実証検証する。田原総一朗氏が東京新聞の望月氏との対談で指摘したが、具体的な検証はしていない。で、実際に朝日の記事がどのくらいレベル低下しているかを検証する。21日付の朝刊社会面の短い記事だが、はっきり言えば誤報を超えてねつ造としか言いようがない記事だ。その記事をそっくり転載する。

東名あおり、再び裁判員裁判
 東名高速で一家4人をあおり運転の末に死傷させたとして、石橋和歩(かずほ)被告(27)が危険運転致死傷などの罪に問われた裁判で、東京高検は20日、同罪の成立を認めて懲役18年とした一審判決を破棄し、審理を横浜地裁に差し戻すとした東京高裁判決について上告しないと明らかにした。改めて裁判員裁判がやり直されることになった。

 この記事は明らかにねつ造である。もし記者がねつ造を意識していなかったとしたら、こんな記事を堂々と記載した朝日の体質が問われることになる。そもそもこの事件は横浜地裁の裁判官が地検と被告弁護士と話し合って「危険運転致死傷罪」での立件は無理だと検察を説得して「暴行罪」及び「監禁致死傷罪」で検察が起訴したケースだ。ところが、裁判が進む過程で、石橋被告が追い越し車線で被害者の車を停止させたことが、その前のあおり運転の状況から、おそらく裁判員が「これは危険運転致死傷罪の相当するのではないか」という指摘があり、判決では危険運転致死傷罪を適用して石橋被告に18年の実刑懲役刑を下した。つまり「入り口」と「出口」が変わってしまったのだ。
 その判決に対して被告側が控訴したが、東京高裁は危険運転致死傷罪の適用を認めたうえで、裁判のやり直しを横浜地裁に命じた。この事件については被告は「運転状態ではない」という意見も少なからずあった。私のブログにも、そうした批判が寄せられた。が、この事件はスピード違反や飲酒運転、薬物のケースと違って明らかに被害者に対する悪意があっての故意犯だ、と私は主張してきた。要は、悪意がなくても「未必の故意」としての事故か、被害者に対するあからさまな悪意があっての行為か、の違いである。そのことが全く分かっていないのが、朝日の記者であり、そういう記者が書いた記事をそのまま記載した朝日の体質がここまで低下したのか。なさけないな。
 なお差し戻しになった横浜地裁では、検察は今度は間違いなく石橋被告を「危険運転致死傷罪」で起訴する。このことは私は命をけても断言する。もし、地検が東京高裁が認めた危険致死傷罪と違う理由で再度起訴したら、とんでもないことになる。朝日はそういうことも分かっていないようだ。(22日記)


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