小林紀興の「マスコミに物申す」

第三の権力と言われるマスコミは政治家や官僚と違い、読者や視聴者の批判は一切無視、村社会の中でぬくぬくと… それを許せるか

自転車の走行規制から2か月余。左側走行を義務付けても事故は減らない。

2014-02-14 10:25:14 | Weblog

 まずは羽生結弦選手のフィギュアスケート(男子)ショート・プログラムでの快挙を喜びたい。世界最高の実力をだれからも認められながら、周囲の期待の大きさとオリンピックという重圧に押しつぶされた高梨沙羅選手と違い、重圧を見事に吹き飛ばした。19歳と17歳。この2歳の年齢差が二人の明暗を分けたと言っていいかもしれない。社会人になってからの年齢差、大学生の年齢差、高校生の年齢差、中学生の年齢差、小学生の年齢差、未就学児の年齢差は、それぞれ同じ2年の年齢差でも等しく見ることはできない。スポーツの世界には“たられば”は禁句だが、オリンピックが2014年ではなく2016年に開催されていれば、高梨選手は前人未到の記録で金メダルに輝いていただろう。
 そう思わせるような羽入選手の快挙だった。フィギュア(男子)のショート・プログラムで、世界の一流選手のだれもが夢見た100点の壁を軽々と超える101.45という、とてつもない大記録でトップ通過した。彼は周囲の期待とオリンピックという大舞台を、重圧と感じず、むしろ自分が楽しむための舞台を用意してくれた、と受け止めていたのかもしれない。「記録は破られるためにある」というが、101.45点という壁は、その壁を作った羽入選手は別として、彼を追う立場になった世界レベルの選手にとってはとてつもない高い壁になるだろう。羽入選手はまだ19歳。自分が作った壁が、今度は羽入選手自身が挑戦する大きな目標になった。その壁に挑戦した時、彼は初めて自分が成し遂げたことの意味を理解するだろう。

 自転車事故の急増対策として道交法が改正され、罰則付きで路側帯の自転車左側走行規制が昨年12月1日から実施された。違反に対する罰則は3か月以下の懲役または5万円以下の罰金である。この量刑に、私は何となく違和感を覚えた。そのため私が抱いた疑問を道交法改正が実施される前にブログ原稿を書いておいたのだが、さまざまな問題が発生し、その当時はブログの毎日更新はしていなかったので、投稿の機会を失い「お蔵入り」していたのだが、昨日民放のニュースショーを見ていて自転車走行のルールやマナーが守られていないことを知り、改めて問題提起することにした。当時の文体である「ですます」調のまま投稿する。

 もともと自転車は道交法で「車両」に区分されていますから、今までは罰則がなかっただけで左側走行がいちおう義務付けられていました。しかし、一方人は右側歩行がやはり道交法で義務付けられています。
 大半の人はご存じないと思いますが、私が小学校の4年生の時だったと思いますが、「車は右、人は左」から突然「車は左、人は右」に変わったのです。サンフランシスコ講和条約が発効して日本が独立を回復したのは1952年4月28日ですから、その2年ほど前に交通ルールが変更になったのです。これは想像ですが、おそらくGHQが日本占領体制が近いうちに終わることを見越して交通ルールを日本が敗戦する前の状態に戻したのではないかと思います。
 GHQは日本を占領下においていた時代、ほとんどすべてのルールをアメリカ式に代えてしまいました。交通ルールもそうで、実際沖縄では日本に返還されるまでは「車は右、人は左」だったことはかなりの方がご存じだと思います。もちろん、今は沖縄も「車は左、人は右」になっていますけどね。
 そんな昔話はどうでもいいと言えばどうでもいいことですが、今回の自転車の走行を罰則付きで取り締まるというなら、人に対しても右側歩行を罰則付きで取り締まらないと合理性に著しく欠けるのではないかと私は思っています。
 実は今回の道交法改正の目的について警察庁の広報に確認したのですが(※実際に道交法改正を担当しているのは警察庁ではなく国家公安委員会なのですが、国家公安委員会だけでなく都道府県の公安委員会にも絶対に電話ができません。いちおう電話帳には公安委員会の電話番号も載っているのですが、警視庁や道府県警本部の代表番号と同じで、その番号に電話しても交換がつなぐのは広報で、絶対に公安委員会にはつないでくれません)、やはり若い人の無謀な自転車運転に対する抑止力として左側通行に違反した場合は罰金を取ることにしたようです。
 私は実は70歳の誕生日を迎えた日(運転免許証の更新期限――実際には1か月の猶予期間がありますが)に運転免許証を警察署に返納しました。その理由と高齢者の免許更新制度の改善方法の提案を2年前の2008年5月10日に国家公安委員会あてに文書にして送りました(宛先に住所は警察庁の住所です)。かなりの長文なので、その部分だけを抜粋します。

 (私が満70歳になったら免許の更新をしないことを決めた理由は)健康のために通っているフィットネスクラブでのエアロビクス・レッスンに若い人のようにはとてもついていけないことから、たとえば路地から子供が飛び出したような時に、急ブレーキをかけるか、急ハンドルを切って電柱に車をぶつけても子供を避けられるかといった、とっさの正確な判断と、その判断を下す反応スピードについて自信が持てなくなったからです。
 さらに昨日娘の家に行き5歳の孫と遊んでいてまたショックを受けました。任天堂が発売して大ヒットし、テレビゲーム機の王座をソニーから奪い返したWiiのことは多分ご存じでしょう。そのWiiで遊ぶゲームでやはり大ヒットしたのがWiiフィットです。バランス・ボードの上に乗っていろいろな種類のフィットネスをする運動ゲームで、48種類ものフィットネス・プログラムが入っています。その中のバランスゲーム(8種類)が実に優れモノなのです。というのは5歳の孫がバランス・ボードの上でぴょんぴょん跳ね回り、「じいちゃんもやってごらん」と言われ挑発にのってしまったのですが、全然ついていけないのです。バランスゲームという名前から単純にバランス感覚を養うためのゲームだろうと思っていたのですが、エアロ以上に反応速度と判断の正確さが試されるゲームなのです。
 で、私の提案ですが、任天堂と共同で判断力や反応速度を3分くらいで測定できる装置を開発し、70歳以上の免許更新時には、視力だけではなく、とっさのときの反応スピードと判断力を検査項目に加えられたらいかがでしょうか。
 現在70歳を超えた人が免許の更新をする場合は民間の教習所で3時間の講習を受けなければなりませんが、本当に必要なとっさのときの反応スピードや判断力の検査は行われていません。実際に最寄りの教習所に聞きましたが、講義以外には乗車検査もあるようですが、実態は「15分ほど乗ってもらうが、ハンドルを握らせることはしていない。運転操作は教習所の教習員がする」ということでした。
 いま私の手元には交通安全白書19年版に記載された「道路交通事故」件数の推移の資料がありますが、それによると高齢者が起こす自動車事故は平成元年の3倍に達しています。一方全年齢層の事故総数は35%も減少しています。このことは飲酒運転の撲滅とともに全国の警察組織が全力で取り組むべき課題であることを意味してはいませんか。高齢者の免許更新制度の抜本的見直しを行っていただきたいと思います。

 結論から言えば、公安委員会は高齢者事故防止のための対策は何もしていません。一つだけ、高齢者講習で高齢者に実際にハンドルを握らせるようにしたことだけです。少なくとも、高齢者は運転歴が長い人が大半ですから、3時間もの長時間をかけて交通法規の講義を行う必要などまったくありません。70歳未満の人が警察署で更新手続きをする際に見る30分程度のビデオで新しい法規などの説明をすれば十分です。第一高齢者が起こす事故の大半はとっさのときにブレーキとアクセルを踏み間違えたり、ギアチェンジを間違えたりするケースです。そうした類の事故は、いくら交通法規をおさらいさせても防げるわけではないのです。こうした講義は、警察官OBのアルバイトのために続けているとしか考えられません。私が5年前に提案したように、高齢者の免許更新については判断力や正確な反射神経が維持されているかどうかをテストすべきです。そうすれば、高齢者の事故は激減することは間違いありません。

 では今回の自転車事故対策としての「罰則付きで左側走行」を強制したら、自転車事故は減るでしょうか。
 絶対に減りません。
 なぜなら、若い人たちの無謀な自転車走行は左側走行であろうと右側を走行しようと関係ないはずだからです。むしろ左側走行を強制すれば、スピードを出す若い人は後方から走行してくる車の追突を避けるために、かえってスピードを上げると思います。心理学者に意見を聞けば、間違いなくそうなると答えると思います。国家公安委員会は、無謀なスピード走行をする若者の心理を一度でも考えたことがありますか。若い人たちのクルマ離れが進んでいるなかでの道交法改正については、心理学者の意見を聞く必要があります。そもそも、そういった当たり前の発想を国家公安委員会の人たちが持っていないことが私にとっては不思議でなりません。
 さらに、もし歩行者にも「罰則付きの右側歩行」を強制するのであれば、常に自転車と歩行者は向かい合うことになりますから(歩道がない場合です)、自転車を走らせている若者も歩行者も、ぶつからないように相手を避けることが出来ますが、歩行者が左側を歩いている場合自転車は歩行者の後ろから追いかけて走ることになりますから、自転車の人は前方の同じ方向を歩いている歩行者は避けられますが(※歩行者がまっすぐ歩いている場合です)、歩行者は後ろから来る自転車には気付きませんからちょっと横にはみ出したりしたら後ろから走って来る自転車に激突される可能性は常にあります。つまり歩行者が道路の右側でも左側でも自由に歩ける状況が続く限り自転車の走行方向を罰則付きで規制しても、あまり意味がないのです。
 むしろ私が車を運転していた時代、一番事故の危険性を感じたのは前方を猛スピードで走る自転車でした。一直線に走っていれば問題ないのですが、道路の左側帯に車が駐車していた場合など、自転車はその車を避けるために道路の中央側にはみ出してきます。幹線道路などは自転車が車道を走るとそういう危険が高くなるので自転車の歩道走行を認めるようにしているようですが、肝心の歩道を歩行者は双方向から歩いてきますから、どのみち自転車が歩行者の背後から追い抜く事態は左側走行であろうと右側走行であろうと危険性は全く変わりません。
 そもそも国家公安委員会はなぜ「車は左、人は右」という交通規則ができたのかをまったく理解していないことが今回の道交法改正でよくわかりました。この規則ができた当時は道路に歩道が設置されていなかった時代です。いまでも地方に行けばかなり広い道でも歩道が設置されていない道はたくさんあります。車や人の通行量がそれほど多くないから歩道を設置しなくても事故は生じないと地元の自治体が考えているのでしょう。
 この交通規則ができたのは、車の走行方向と歩行者の歩行方向を対向させることによって、双方が前方から走ってくる車と歩行者を視覚に入れて、自ら自分の身を守ることが出来るようにするためでした。だから自転車だけを左側走行にしても歩行者が左側であろうと右側であろうと自由に歩いている状況では自転車事故の危険性は変わらず、かえって自転車と自動車間の事故が増えることになることは論理的に考えれば必然的な結論です。
 自転車事故を考える場合、自転車走行者が加害者になるケースだけを考えるのではなく、自転車走行者が被害者になるケースも含めて総合的に自転車事故を防止する対策を考えるべきだと思います。
 まず加害者になるケースは原因が若い人たちによる無謀走行が大半です(すでに述べたように警察庁の広報は道交法改正の目的がそうであることを認めています)。しかし、すでに述べたように歩行者が必ずしも右側歩行のルールを守らず警察官も取り締まったり注意したりしていない以上、自転車だけに左側走行を規制しても効果はありません。
 次に被害者になるケースは背後から走行してくる自動車に追突されるケースが圧倒的に多いのですが、その場合は自転車が左側走行しているケースがほとんどです。すでに述べたように、私が自動車を運転していたころ、一番怖い思いをするのは前方をよろよろ走る自転車を追い抜くときでした。いま車を運転されている方もそうだと思います。実際フィットネスクラブの友達と今回の道交法改正について話し合ったことがありますが、皆さん私の考えに同意されました。前方を走行する自転車に追突しそうになってヒヤッとした経験をお持ちだからです。
 こうした事故を減らすには自転車は「車両」(厳密には「軽車両」)という概念を見直し、「人」と同一視してむしろ右側走行を指導したほうが間違いなく事故は減ります。実際、70歳以上の高齢者や子供を乗せた自転車は歩道走行が許されており、すでに「人」扱いされていますし、70歳未満でも片側2車線で自動車交通量が多い幹線道路などは自転車の歩道走行が可能になっています。そうした現実的な対応を含めて総合的に考えると、自転車は人と同様右側走行を原則にしたほうが自転車事故は激減するはずです。
 そもそも自転車を車両とみなすなら、自転車にも車と同様な走行方を認めなければ論理的につじつまが合いません。具体的には信号のある交差点で右折する時、自転車は人と同じ右折方が義務付けられています。つまり前方の信号が青であれば車は対向車の走行を妨げない限り1回の青信号で右折できますが、自転車はいったん交差点を直進し、信号が変わってから右折(自転車自体はやはり直進)することになります。
 では前方が赤信号の時はどうしたらいいでしょうか。自転車はいったん停止し、信号が赤になってから交差点を渡り、また信号が変わるまで待って右折しなければならなくなります。つまり信号が変わるのを2回待たなければならないということになります。もちろん前方が赤信号の時は自転車をいったん降りて押しながら横断歩道を渡るのであれば「人」とみなされますから(オートバイも同じです。ただしバイクの場合はエンジンを切らないとダメということになっていますが、エンジンを切らずに押して歩道を渡っても取り締まる罰則はありません)信号で停止している車の前の横断歩道(道路の右側になります)を渡り、信号が変わったら、やはり自転車を押しながら道路を横断(この場合も道路の右側になります)することになります。こんなバカげた通行方法を自転車に乗る人がするわけがありませんよね。
 では実際に自転車が加害者になる事故を減らすためにはどうしたらいいか。左側走行を規制しても事故は減らないことはすでに説明しましたから、現実的な方法を考えてみたいと思います。
 左側走行であろうと右側走行であろうと、繁華街での自転車のスピード違反の取り締まりを、それこそ重い罰則付きで行うことです。すでに私が乗っている電動アシストの自転車にはスピードメーターがついていますが、すべての自転車にスピードメーターの装着を一定の猶予期間(2年くらいが妥当だと思います)を設けたうえで義務付け、歩行者で混雑する駅付近の道路や小学校の通学路で徹底的に自転車の速度違反を取り締まるようにすべきです。もちろん2年間の猶予期間の間は取り締まっても厳重注意にとどめ、速度違反した自転車走行者にはスピードメーターを早急に装着するよう説諭するのが妥当だと思います(16インチ以下の子供用の自転車は別です)。もちろん自転車メーカーは新規開発の自転車からスピードメーターを取り付けることを義務付けるのは当然で、同時に自転車にサイドミラーも装着させるようにすべきだと思います。
 実は警察庁の広報と話し合ったときに、私が「車が左側帯に車が駐車していた場合、自転車走行者は後ろから走ってくる車に追突される危険を避けるにはどうしたらいいか」と左側通行規制に疑問を呈したら「後ろを振り向いて背後を確認すればいいでしょう」とバカなことを言いました。自転車を止めて後ろを確認するならいざ知らず(そんなことをする人はまずいません。とくに登り坂では絶対に自転車を止めたりしません)、前方不注意の自転車走行をしろと言っていることを意味します。自転車の左側走行はそういう危険な走行が増えるだけです。
 法律はいったん決めたら、かえって事故が増えても「はい、すぐ変えます」とはなかなかいかないのです。実際法律ではありませんが「ゆとり教育」が実施された1980年度(小学校の場合。中学校は81年度から、高校は82年度から)の時点ですでに子供たちの学力低下を危ぶむ声はかなりありましたが、「ゆとり教育」の見直しに30年もかかっているのです。道交法改正もいったん実施してしまったら、そのくらいの期間は再改正は不可能になることを考えておくべきです。

 以上が、当時書いていながら「お蔵入り」になっていたブログ原稿である。私自身自転車事故(自損事故)を起こして、自転車は乗っている人間にとっても「走る凶器」であることを痛感した。そして「凶器」は車も自転車も「もろ刃の剣」であることも強く認識した。私が乗っているのはすでに述べたように電動アシストの自転車である。重いバッテリーを積んでいるうえ、車体自体がかなり重いのである。高い値段で売るため車体も頑丈にして高級感を出している。当然上りの急坂ではアシスト機能を使っても漕ぐのがかなりしんどい。逆に下り坂では想像以上のスピードが出やすい。クルマもそうだが、重いクルマ(重い自転車も)は下り坂では加速度がつく。そのことを理解しておかないと急な下り坂では、事故が起きやすい。
 今回の事故で痛感したことは、電動アシストメーカーも商品を高額化する方法ばかり重視するのではなく、車体重量が重くなれば、上り坂ではアシスト能力を十分に発揮できず、一方下り坂では重大な事故を起こしかねないということを知っていただきたいということと、自転車にもサイドミラー(右側だけでいい)を標準装着するようにしてもらいたい(オプションではサイドミラーがあるようだが、サイドミラーを装着した自転車を見たことがないので法律で義務付けたほうがいいと思う)。
 いずれにせよ、自転車事故を防止することは、クルマ離れが進み自転車族が増える中で重要な課題であることは間違いないので、ただ道交法改正で自転車の左側通行を規制するといった対処療法的対策は、あまり意味がないことだけ指摘しておきたい。







  
 
 

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