小林紀興の「マスコミに物申す」

第三の権力と言われるマスコミは政治家や官僚と違い、読者や視聴者の批判は一切無視、村社会の中でぬくぬくと… それを許せるか

韓国の想定外の反発は安倍政権にとっては「神風」かも…。STAP細胞問題との類似性を検証すれば分かる。

2014-06-26 06:18:58 | Weblog
 安倍さんは、ついているのかも…。
 そうとしか、言いようがない。韓国政府が、勝手に墓穴を掘ってくれそうだからだ。
 政府が設置した「検討会」が、外交上のトップ・シークレットを暴露してしまったことに抗議することは当然分かっていたし、23日のNHKのニュースでもそうした報道があった。
 そうした類の外交上の抗議は日常的にありふれている。たとえば尖閣諸島付近の日本領域を中国の艦船や戦闘機などが侵犯したら、日本政府は直ちに中国の駐日大使を呼びつけて厳しく抗議する。最近も二度にわたって警戒飛行中の日本の航空機(自衛隊機?)に、中国の戦闘機が30メートルまで接近する事態が生じ、日本は激しく中国に抗議した。
 が、相手は「はい、本国に伝えます」と言って、通常はそれで終わりだ。本当に伝えたかどうかの確認も取らない。言うなら外交上の「儀式」のようなものなのである。実質的な効果はなくても、抗議をしなければ「黙認した」ことになってしまうからだ。
 だから、「検討会」の報告書に対しても、私は韓国が「事実無根」と抗議して、それで終わりと思っていた。が、報告書について河野洋平氏が、韓国側とすり合わせた内容すべてを事実として認めてしまったのが、韓国政府にとっては誤算だったのかもしれない。それはそれで、韓国は事実関係については「ノーコメント」として無視したうえで、「検討会」の報告書はに日韓関係を悪化させかねないと抗議して、この件に幕を下ろしてしまえばよかったのだ。
 が、韓国政府はのぼせ上ったのかどうかはわからないが、「検討会」の検証結果に対して国際社会に訴えると言いだしたようだ。
 23,24日のブログでも書いたが、「検討会」の目的は河野談話の作成過程の検証であり、外交上のトップ・シークレットをよくも暴いたと私は感心している。だが、この検証作業の目的はあくまで「河野談話の作成過程」であり、「河野談話の内容」の検証ではない。もちろん「河野談話の作成過程」に疑問が生じたら、「河野談話の内容」も検証すべきなのだが、安倍総理はすでにアメリカ政府の恫喝に屈して「河野談話は継承する」と言ってしまっているのだ。つまり、談話の内容については「検証作業」は行わないと日本政府のスタンスを明らかにしている。が、韓国政府は「河野談話の作成過程」についての「検討会」の報告書に過剰反応してしまった。
 朝日新聞によると、こういうことだそうだ(24日付朝刊)。

 韓国外交官の趙太庸(チョテヨン)・第1次官は23日、別所浩郎・中韓大使を呼び、安倍政権が公表した河野談話の検証結果について抗議した(※この段
階ですでに韓国政府は「談話の作成過程」の検証と「談話内容」の検証をごっちゃにしている)。韓国側は「強制性を認めた談話を無力化させようとしている」と分析。今後、慰安婦の実態に関する白書を発行するなど国際社会への訴えを強める方針だ。

 この韓国政府の強硬姿勢に困惑しているのは安倍総理だけではない。アメリカのオバマ大統領も頭を抱えてしまっているはずだ。
 安倍総理は、オバマ大統領の恫喝を受け入れて、本当は河野談話を否定したかったのだが、「談話の作成過程の検討」にとどめ、談話そのものは継承することを報告書が出る前に明言していたのだから、安倍総理の目的はすでにアメリカによって排除されていたのだ。安倍総理は、当然「検討会」が安倍総理の変心を察して適当な(つまり当たり障りのない)報告書を作成してくれるものと思っていたのかもしれない。が、当初の目的が談話を否定することにあったから、相当優秀な有識者を「検討会」のメンバーに選んでしまったのだろう。
 だったら「検討会」の有識者たちに裏から手を回して、報告書は適当でいいよと指示しておけばよかったのに、自分の意を察してくれると勝手に思い込んだのだろうか。それともそれなりに手は打ったのだが、外交上のトップ・シークレットを完全に白日の下にさらけ出してしまうくらい優秀な人たちだから、「今さら、何を言うか」と総理筋の要望を撥ね付けてしまったのかもしれない。私は後者の可能性が強い、と思っている。
 だから「検討会」の報告書が出た段階で、安倍総理は即座に「河野談話の見直しはしない」と再び断言してしまった。米韓に屈して外交上の不利益になりかねないことは、事実が明白になっても目をつむることにしたのだ。日本が誇りと尊厳を失うことを承知の上でだ。
 こうした経緯で発表された報告書について朝日新聞と読売新聞は、どう見ているか。
 まず慰安婦問題に火を付けておいて、吉田清治の捏造「ノンフィクション」小説が韓国人の反日感情を煽った責任を回避したまま「火を消し忘れた」朝日新聞の社説から抜粋する。
「安倍総理はかつて、慰安婦への謝罪と反省を表明した河野談話の見直しを主張していた。だが、国際社会からの強い反発(※反発したのはどの国?)もあって、河野談話を見直さないとの方針に転じた。もう談話に疑義をはさむのはやめるべきだ。(中略)報告書に韓国政府は猛反発し、せっかく始まった日韓の外務省局長級協議も中断する可能性が出てきた。(中略)慰安婦問題が日韓の大きな懸案に浮上して、四半世紀がたとうとしている(※よくも他人事のように言えたものだ)。(中略)韓国政府に登録した元慰安婦の生存者は54人になった。日韓両政府に、互いをなじり合う余裕はない(※ホント?)。河野談話をめぐって『負の連鎖』を繰り返すことなく、今度こそ問題解決の原点に返るべきだ(※火をつけたのは朝日新聞ではないか)」
 次に河野談話の検証を独自に行い、「裏付けに欠ける」と主張してきた読売新聞の社説はこうだ。
「韓国側の求めで、日本政府は元慰安婦16人の聞き取り調査を行ったが、調査終了前に政府内で原案が作成されていたという。事実関係よりも政治的妥協と外交的配慮を優先したのは明らかだ。極めて問題の多い“日韓合作”の談話と言えよう。(中略)安倍首相は、河野談話を見直さない方針を明言している。日韓関係の改善を模索するための大局的な政治判断だろう(また、安倍さんのヨイショかい?)。(中略)河野談話が起点となり、日本が慰安婦を強制連行したかのような誤解が世界中に広がっている。(中略)河野談話があるために、政府は有効な反論を行えずにいる。談話の見直しは、いずれ避けられないのではないか」

 何度も繰り返すが、「談話の作成過程の検証」と「談話内容の検証」とは別次元の問題である。もちろん前者の検証結果で「談話が日韓両政府のすり合わせでねつ造された」ということになると、当然後者、つまり談話そのものも検証せざるを得なくなるのは当然だ。
 わかりやすいケースでこの違いを述べる。STAP細胞問題である。
 現在、明らかになっているのは『ニュートン』に掲載されたSTAP論文は二つあり、小保方晴子は最初、論文の撤回には絶対に同意できないとしていたが、次々に論文に対する疑惑が表面化したことで、まず副論文の撤回には応じた。が、論文に対する追及はおさまらず、STAP細胞の存否を決定づける主論文の撤回にも応じざるを得なくなった。
 が、理研は「STAP細胞の存在が否定されたわけではない」として、STAP細胞の有無の検証研究を行っている。主論文が撤回された以上、STAP細胞は存在しなかったと結論付けるのが論理的なはずだが…。そうなると理研の権威が根底から覆ってしまうことを恐れているのだろう。
 私は、山梨大学の若山教授が共著者に論文の撤回を呼びかけ、STAP細胞疑惑が表面化した時点で、『小保方晴子氏のSTAP細胞作製は捏造だったのか、それとも突然変異だったのか?』と題するブログを投稿した(NHKがニュース7で報道したのが3月10日、私がブログを投稿したのは翌11日)。が、私は小保方が200回以上STAP細胞の作製に成功したと述べた瞬間から「突然変異説」をいったん撤回することにしたが(突然変異だったら200回も成功するわけがないから)、小保方が参加しての検証研究の結果、ひょっとすると突然変異でSTAP
細胞が生まれる可能性が再浮上したと、いまは考えている。
 つまり、STAP論文がインチキだったということと、STAP細胞が存在しなかったということはイコールではないということを読者に理解してほしいのだ。
 同様に、河野談話の作成過程の検証によって談話が捏造された可能性が非常に高くなったということと、では慰安婦問題はまったくなかったかということは別の問題であって、談話の作成過程が政治的産物だったことが明らかになった以上、改めて事実に基づく慰安婦問題の解明を行う責任が日韓両政府に生じ
たのである。
 このブログの冒頭に述べたように、韓国政府が「白書」を発行して国際社会に訴えるとなると、「白書」の根拠は吉田清治の捏造「ノンフィクション」小説『私の戦争犯罪』に求めるしかない。元慰安婦16人の証言だけは国際社会も容認するだろうが、それは20万分の16にしかすぎず(元慰安婦は20万人いたと言われている。ただし明確な根拠はない)、日本軍当局による強制性の証明にはなりえない。
 となると、これまでは国際社会から証拠として採用されてきた「私の戦争犯罪」が捏造作品だったということも、国際社会で明白になってしまう。当然国連人権委員会の決議も、米下院での決議もすべて無効になってしまう。このブログの冒頭で「韓国政府が墓穴を掘ろうとしている」と書いたのは、そういう意味である。
 そうなると、安倍総理を恫喝して「河野談話は継承する」と言わせた米オバマ大統領も窮地に陥る。いまさらオバマ大統領も「検討会の報告書はなかったことにしろ」とまでは、いくら何でも言えないだろうし、もしそんな内政干渉をしてきたら安倍総理も「はい、承知しました」と報告書を撤回させることまではできまい。
 オバマ大統領としては、おそらく韓国政府に圧力をかけて「白書を作ったりして、寝た子を起こしたりしたら、かえって韓国が不利になる」と朴大統領の説得に乗り出さざるを得なくなる。安倍さんにとっては、韓国政府の予想外の反発は、場合によっては「神風」になるかもしれない。冒頭で「安倍さんは、ついている」としたのは、そのゆえだ。