小林紀興の「マスコミに物申す」

第三の権力と言われるマスコミは政治家や官僚と違い、読者や視聴者の批判は一切無視、村社会の中でぬくぬくと… それを許せるか

東電女性社員殺害の犯人になぜマイナリ氏が仕立て上げられたのか !?

2012-11-09 20:12:12 | Weblog
 日本の恥、と言わざるを得ない。東電女性社員殺害事件の裁判で明らかになった日本の司法制度の問題である。
 「検察は一枚岩」としばしば言われる。一枚岩とは、たった一人の検事の過ちであっても、その責任は検察全体で負わなければならないということを意味する。だからこそ、検事の肩にかかる責任の重さは「地球より重い」のだ。私たち国民が検察を信じることができなかったら、アメリカのように自己防衛の権利を要求せざるを得ない。
 すでに多くの人が知っていると思うが、改めて東電女性殺害事件の概要を簡単に説明しておきたい。「そんなこと説明してもらわなくても知ってるよ」と言わず、読んでいただきたい。マスコミ報道とは全く違う視点から私は説明するので……
 1997年3月18日、東京都渋谷区円山町のアパートの1室(当時空室)に女性が横たわっているのをアパートの管理人が目撃した。その時点では管理人は事件性を感じなかったようだ。が、翌日午後5時過ぎになって気になりもう一度見に行ったところ、女性が全く同じ姿勢で横たわっていたため不審に思い女性の体に触って死んでいることを知り、あわてて警察に通報したという。女性の身元は所持品からすぐ判明し、39歳の東電社員だった。被害者は3月8日には出勤しており、その日から帰宅せず行方不明だったこともすぐわかった。
 「犯人」はあっけなく割れた、はずだった。後に逮捕され起訴されたネパール人のゴビンダ・プラサド・マイナリ氏が自ら渋谷警察署に出頭したからである。ただしマイナリ氏は「殺人を犯した」と自供するために出頭したわけではなかった。むしろ殺人犯として嫌疑をかけかねられない状況にあると思い込み、嫌疑を晴らすために出頭したという(マイナリ氏の主張)。
 実はマイナリ氏はビザの期限が切れており、しかも資格外の仕事に従事していたという後ろめたさがあリ、そのうえ被害者と何度か殺害現場となった部屋で性的関係をもっていた。そのため、入管難民法違反で逮捕されることを覚悟の上で、殺人事件とは無関係であることを訴えるために出頭したという(マイナリ氏の主張)。
 が、すでにマイナリ氏に目をつけていた警察にとっては「飛んで火にいる夏の虫]であった。とりあえず入管難民法違反の容疑で逮捕し(いわゆる別件逮捕)、東電女性社員殺害の自供を取り付けるための尋問を始めた。
 マイナリ氏にとって不利な状況も確かにあった。被害者と性的関係をもったときに使用したコンドームがトイレの便器に放置されており、そのコンドームに残っていた精液のDNA型がマイナリ氏のものと一致したのである。
 さらに殺害現場の部屋の鍵を管理人から借りていたことがあり、その鍵を管理人に返したのが、被害者が行方不明になった2日後の3月10日であることも判明した。
 これだけ状況証拠が重なれば、マイナリ氏に強盗殺人の嫌疑がかけられたのはやむを得ないと言えよう。
 しかし「物的証拠」とみなし得るのは、客観的に考えてコンドームに残っていた精液のDNA型がマイナリ氏のものと一致したという事実だけである。被害者が帰宅せず行方不明になったのは3月8日の退社後。アパートの管理人が被害者を初めて確認したのが3月18日である(状況から考えて8日の夜に殺害されたと推察できる)。
 警察もこれだけでは送検できないことは百も承知だった。当然「物的証拠]らしき精液の鑑定を行う必要があった。被害者がマイナリ氏と性行為を3月8日に行ったことが、精液の鑑定から立証できれば、マイナリ氏に対する容疑の確実性が相当程度高まる。
 しかし、コンドームの発見が、犯行後すでに10日も経っていた。いつの性行為による精液だったのかは、少なくとも3人以上の専門家による鑑定が必要なはずだ。
 さらに被害者の膣内に精液の残滓の有無を調べる必要もある。もしコンドーム内の精液と被害者の膣内の残滓精液が一致すれば、マイナリ氏の犯行である決定的な証拠になる。
 まずあり得ないはずだが、警察が精液鑑定を依頼したのは帝京大の押尾茂氏だけだった(厳密に言えば押尾氏の鑑定結果だけを検察に送っており、担当検事はそのことに不審感を抱かなかったようだ)。さらに押尾氏も鑑定方法として、これもあり得ないはずだが、清潔な水を使って精液の劣化を調べた。その結果コンドームに残っていた精液は20日以上経過したもの、という鑑定意見書を提出した。押尾氏が提出した「意見書」がそれで終わっていれば、その時点で犯人はマイナリ氏でないことが立証されていた。マイナリ氏自身が2月末から3月初めごろに被害者と性的関係を持ったことを認めており、マイナリ氏の証言の信ぴょう性を裏付ける鑑定だからである。
 が、押尾氏が提出した意見書には「トイレの水は汚れているので清潔な水を使って実験した結果より精液の劣化が急速に進んだと考えても矛盾はない」という一文が書き加えられていた。なぜ押尾氏は少なくとも犯行以降一度も使われていないトイレの水(マイナリ氏の精液が入っていたコンドームが便器の中に残っていたという事実が、犯行後トイレが使用されたことがないことを物語っている)を使って実験しなかったのか。警察もまた精液が入っているコンドームだけでなく、コンドームが捨てられていたトイレの水も鑑定用としてなぜ押尾氏に提供しなかったのか。そこに何が何でもコンドームに残っていたマイナリ氏の精液を犯行の物的証拠に仕立て上げようという作為が全くなかったとは到底思えない。 
 さらに被害者の膣内の精液の残滓のDNAとマイナリ氏の精液のDNAの照合である。これが一致していれば、マイナリ氏の犯行であることは完ぺきに証明できたはずである。
 その調査を、実は警察は行っていた。行っていながら、一致しなかったことを隠ぺいした。ほかにも真犯人がマイナリ氏とは別人である可能性が相当程度高いと考えて差し支えない証拠を二つ警察はつかんでいた。一つは現場に落ちていた体毛が別人のものであったこと、二つ目は決定的とも言える証拠物で、被害者の爪に付着していたもの(おそらく真犯人の皮膚の断片)は、被害者が抵抗しただろう時に引っ掻いて付着したと考えるのが論理的妥当性を持つと考えて差し支えない。が、その付着物のDNAがマイナリ氏のDNAとは違っていたのである。
 この二つの決定的な証拠物を渋谷警察署は東京地検に提出しなかったようだ。
 いくら警察と検察がツーカーの関係にあったとしても、この二つの証拠物を東京地検が入手していたら、渋谷警察署に対し、マイナリ氏以外に真犯人がいる可能性が高いと、再捜査を命じていただろうと思う。いや、そう思いたい。
 さらに東京地検は、この二つの決定的証拠物の提出を受けていなかったとしても、渋谷警察署に対し、コンドームに残っていた精液のDNAと被害者の膣内の精液の残滓の照合を警察に命じていれば冤罪はその時点で防げた。
 そこに人種的偏見を感じるのは私だけではないだろうと思う。マイナリ氏が無罪確定後に「僕とネパール人に謝って」と万感の思いを込めて記者団に語った言葉に、マイナリ氏が日本で受けてきた屈辱感が無限大の重みで私たち日本人にのしかかってきている。
 またマイナリ氏にとって不幸だったことは、弁護人(たぶん国選弁護士)が無能だったことだ。①押尾氏の鑑定に対し、「なぜコンドームが入っていたトイレの水を使用して鑑定しなかったのか」と追及し、裁判官に対し別の専門家にトイレの水を使えば10日間でどのくらい精液の劣化が進むのかの再鑑定を要求すべきだった。ただしコンドームが捨てられていた便器の水はいったん流して(というのは便器の水は公判が始まるまでマイナリ氏がコンドームを捨てた時のままだっただろうから、その水を再鑑定のために使用すると正確な鑑定ができない)新しい水を使って新しいマイナリ氏の精液を採取し、帝京大の清潔な水(たぶん水道水)との劣化の度合いを調べれば、それで十分である。②もっと決定的なこと(つまりコンドーム内の精液と被害者の膣内の精液の照合)を裁判官に要求しなかったのは刑事事件の弁護士として失格、と烙印を押されてもやむを得ないだろう。
 むしろ警察と検察が共同でマイナリ氏の有罪判決を勝ち取るためには裁判で弁護側からこの2点を追求されたら決定的に不利になると考え、最後の手段としてマイナリ氏の自供を何が何でも取ることを最優先しただろうことである。しばしば冤罪を生まれるのは、この自供をとることに巧みな尋問担当警官が「落としの名人」として署内で一目置かれる状況が日本の警察社会に残っていることである。だから自供をとるためには尋問担当警官は手段を問わず手練手管を駆使して落としにかかる。つまりオウム真理教と同じで、容疑者を完全にマインドコントロール下に追い込むことによって、容疑者自身が「ひょっとしたら自分がやったのかもしれない」と錯覚症状に陥らせるのが尋問の目的なのだからである。
 直近に生じたケースでは「パソコンの遠隔操作による脅迫メール」事件がある。
 この事件の捜査について警察の捜査の在り方について日弁連の山岸憲司会長は以下のような声明を公表した。
「ウェブサイト上やメールで犯罪を予告したとして、男性4人(うち少年1人)が逮捕されていた一連の事件について、真犯人を名乗る男からパソコンを遠隔操作するなどして実行した旨の犯行声明メールが送られたことを受け、警察庁長官は、当該男性4人は誤認逮捕だった可能性が高いことを公式に認めたと報道されている。
 これら事件では、逮捕・拘留手続きについて今後十分に検証する必要があるが、加えて看過されてならないのは、これらの事件のうち少なくとも男性2人の虚偽の自白調書が作成されていることである。報道によれば、供述調書には、ありもしない「動機」までが書かれているとのことである。全く身に覚えのない脅迫行為について自分がやったと認め、動機まで記載された調書が作成されているということは、捜査機関による違法または不適切な取り調べがあったと考えざるを得ない。
 今回は、たまたま真犯人がほかにいることが明らかになったが、そうでなければ、これらは隠れた冤罪になっていたであろう。このことは、虚偽自白による隠れた冤罪が決して稀なものでなく、現在も冤罪が起こり続けていることを示している」(以下省略)
 特筆すべきは、この事件で尋問担当警官が大学生を「自白」させるため「自白すれば、観察処分ですむが、あくまでシラを切ると少年院送りになるぞ」と脅して「自白」に追い込んだ悪質さである。この悪質さは少年院がどういう世界かおそらくまったく知らない少年に、少年院の恐ろしさを針小棒大に説明して震え上がらせ、かつ自分のパソコンから脅迫メールが送られたという事実から「ひょっとしたら彼女がやったのかもしれない。もし彼女が少年院に送られたりしたら大変なことになる」と思い込み、女友達をかばうために「自白」したというケースである。
 確かに詐欺師などは人を騙すことを生業としているプロだから生易しい取り調べでは到底太刀打ちできない。詐欺師を自白に追い込むには「落としの名人」がそれこそ詐欺師まがいの方法で脅したりすかしたりして取り調べる必要があることは私も認める。また詐欺犯罪者でなくても口八丁手八丁のしたたかな犯罪者もいる。そういう輩に対してはある程度の手練手管を要する必要があるだろう。しかし脅迫メール事件の犯人として誤認逮捕した4人は普通の社会人や学生である。何年も容疑者の取り調べを経験してきた尋問担当警官なら,二言三言言葉を交わせばどんなタイプの人間かわかるはずだ。
 容疑者イコール犯人と思い込んでしまうと、自白させることが尋問担当警官にとっては自分の義務であり責任だというプレッシャーを感じてしまうのかもしれない(きわめて好意的に解釈しての話だが)。
 特にビザが切れているのに帰国せず、しかも資格外の仕事をしていたマイナリ氏に対して、尋問担当警官があらかじめ犯罪者という先入観をもって取り調べに当たったであろうことはほぼ間違いないと思う。
 ここまで書いて(9日午前1時ごろ)そろそろ寝ようと横になって朝日新聞の夕刊(8日付)を広げたら、社会面の準トップ記事で誤認逮捕された男性(アニメ演出家の北村真咲(まさき)氏・43歳)の弁護人(土橋央(おう)征(せい)弁護士)が7日夜、大阪府警や大阪地検による北村氏に対する取り調べの実態を日弁連などが主催した集会で報告したという。「犯人はお前しか考えられない」「否認は一層傷口を広げる」などと強引に自白を迫られたようだ。以下同紙の記事を転載する。

 土橋弁護士によると、北村さんは府警の取り調べで「逮捕直後に自白したら、警察の判断で釈放も可能だった」「本当のことを言うのを待っている」と迫られた。否認しても「確たる証拠がある」との一点張りだったという。
 地裁の検事からは「調べれば調べるほど君はクロ。やったとしか思えない」と言われた。北村さんが「自分には動機がない」と主張すると、「動機は要らない。通り魔に動機がないのと同じだ」と否定された(※「無視された」あるいは「突っぱねられた」が正しい表記)。北村さんは「何を言っても無駄だと感じた」と振り返っているという。
 逮捕当初、北村さんは「自分は何も遣っていないので信用してもらえる」と考えていた。だがいくら説明しても理解が得られず、精神的・肉体的な苦しさの中で(※「極度の精神的・肉体的苦痛に追い込まれ」が正しい表記)「自分はやってしまったのではないかと錯覚することすらあった」という。
 土橋弁護士は「密室で無制限に取調べができる日本の刑事司法の問題点を示す事件だ」と述べ(※アメリカでは州によって多少の差があるが、基本的に容疑者は取り調べに弁護士の立ち合いを要求する権利が認められている)、身柄を拘束し続けて自白を迫る「人質司法」(※意味不明。「人権無視の司法」なら意味が通じる)を批判した。

 民主国家としては恥ずかしい限りの冤罪多発の原因が、日本の司法制度によるものであることを、いみじくも北村氏に対する取り調べの実態を土橋弁護士が明らかにしてくれたおかげで、私がこれまで想像力を駆使して書いてきたことを完全に裏付けてくれた。脅迫メール事件で誤認逮捕された北村氏は「アニメ演出家」という職業を考慮すると、ある程度の社会的地位が認められてしかるべき人物だと考えられる。そういう方に対する取り調べの実態が土橋弁護士が明らかにしたようなものだったとしたら、すでに弱みを抱えていたマイナリ氏に対する取り調べの熾烈さはもう私の想像力を超える。
 こうした冤罪事件をほぼ完全に防げる方法が実はある。「自供」の内容に「秘密の暴露」が含まれていない場合は証拠として採用しないという司法ルールを定めればよい。「秘密の暴露」とは、真犯人でなければ知りえない事実(たとえば警察も発見できていなかった凶器を捨てた場所など)が自供の中に含まれているか否かで自供の信ぴょう性は全く異なるからだ。
 ひょっとして1日早く(つまり昨日)このブログを投稿していたら、「素人が何を知ったかぶりして偉そうなことを書いているのか」と非難を浴びかねない可能性があることを、実は私は百も承知でマイナリ氏の冤罪事件がどうして発生したのかの検証をすることにしたのであった。
 これまで述べてきたこと以上に渋谷警察署は証言のでっち上げや誘導による「錯覚証言」を証拠として提出していたようだが、微に入り細にわたってそういった限りなく犯罪行為に近い手練手管の数々をこのブログでこれ以上検証する必要はないであろう。とりあえず事件と裁判の経緯と、マイナリ氏の無罪が確定した7日の東京高裁の判決要旨を、朝日新聞から転載させていただいてブログを終える(経緯は7日の夕刊、判決要旨は8日の朝刊)。

≪事件と裁判の経緯≫
97年3月19日 東京都渋谷区のアパートで女性の遺体が見つかる
     23日 不法残留容疑でマイナリさんが逮捕される
   5月20日 強盗殺人容疑で再逮捕される
   6月10日 強盗殺人罪で起訴
00年4月14日 東京地裁が無罪判決
  12月22日 東京高裁が無期懲役とする逆転有罪判決
03年10月20日 最高裁が上告を棄却。その後、有罪が確定
05年3月24日 マイナリさんが東京高裁に再審請求
11年7月    新たなDNA型鑑定で、マイナリさんとは異なる第三者の犯行
        の可能性が浮上
12年6月7日 東京高裁が再審開始と刑の執行停止を決定
    16日 マイナリさんがネパールに帰国
  10月10日 東京高検が、追加鑑定で被害女性の右手の爪からも第三者の型
       が出たとの鑑定書を弁護団に開示
    18日 東京高検が無罪を求める意見書を高裁に提出
    29日 再審の第1回公判が開かれ結審
  11月7日 再審で無罪とする判決

≪東京高裁の再審判決要旨≫
 1審判決は、殺害現場となったアパートの部屋から、マイナリさんと被害者の体毛のほか、第三者の体毛が発見されており、マイナリさん以外のものが犯行時にいた可能性がぬぐいきれないことを無罪の理由の一つに挙げていた。再審での取り調べの結果、第三者の体毛のDNA型が判明するとともに、同じ型が被害者の体内から検出された精液などの付着物に含まれていることが判明した。
 新たなDNA型鑑定などによれば、被害者の下腹部や、被害者の下着の下腹部から検出されたDNA型は第三者の精液に由来すると考えられる。また、被害者の右胸から検出されたDNAも、第三者の唾液(だえき)に由来するとみて矛盾はない。そうすると、第三者は被害者の右胸をなめ、コンドームを着けずに被害者と性交したと合理的に推認できる。
 デパートの部屋に落ちていた体毛からも第三者のDNAが検出され、第三者が被害者と性交した際に落ちた可能性を示している。
 被害者のコート左肩の血痕は被害者のDNAが主成分だが、第三者のDNAも含まれていると考えられる(※この推認には無理がある)。血痕の形状などから、血痕は被害者が犯人から暴行を受けた際に付いたと合理的に推認できる(※ 「付いたと推認するのが合理的である」と書くべきである)。
 被害者の両手指の爪の付着物は第三者のDNAと考えて矛盾はない。特に右手の指からは明確に出ている。被害者が抵抗する過程で、第三者のDNAが爪に付いた可能性がある(※「可能性が高い」と書くべき)。
 総合すると、第三者が①犯行現場の部屋で被害者と性交した②被害者を殴打して出血させ、その手で被害者のコート左肩に触って血液を付けた③被害者を殴るなどし、首を絞めたーーという可能性を示している。第三者が犯人である疑いが強いと言える(※「犯人である可能性が高いと言える」が正確な表現)。
 検察官は一審では、現場アパートの部屋に残されていたコンドーム内の精液からマイナリさんのDNA型が検出されたことや、室内に残ったマイナリさんの体毛を重要な物証と位置づけ、犯行時に部屋のカギを保管し、出入りできたのはマイナリさんだけであることなどを有力な間接事実として主張した。しかし、再審での取り調べによれば、第三者が犯人と強く疑われ、検察官が主張する状況証拠あるいは間接事実の推認力は、著しく減殺された(※「第三者が犯人である可能性は否定できず、検察官がマイナリさんを犯人であることを立証するために提出した状況証拠や間接事実をもってしても、検察官の主張は説得力に欠けると言わざるを得ない」と書いた方がはるかにわかりやすいし、また表現方法としても正確性が高い)。