小林紀興の「マスコミに物申す」

第三の権力と言われるマスコミは政治家や官僚と違い、読者や視聴者の批判は一切無視、村社会の中でぬくぬくと… それを許せるか

再び「女性宮家」問題についてー朝日はなぜ①案をでっち上げたのか。

2012-10-11 10:20:17 | Weblog
 再度、皇族問題を論じる必要が生じた。朝日新聞のとんでもない社説がその原因である。
 10月10日の朝日新聞社説『皇族の在り方 国民の支えあってこそ』はこう述べている。
「示された案は、①女性(内親王のことー筆者注)も結婚後に宮家を構え、皇室にとどまる。夫や子も皇族とするが、子は結婚すると身分(皇族のー筆者注)を離れる②宮家をつくるが、夫や子は皇族としない③(結婚後、内親王はー筆者注)皇族ではなく、特別な公務員として皇室活動を手伝うーーの三つ。天皇の子や孫である内親王に絞り、本人の意思を尊重するとしている」
 私が10月8日に投降したブログ記事ではこう書いた。
「現在の未婚の女性皇族(内親王という)3人が結婚後も皇族の身分を維持し(ただし一代限り)、皇室活動の一翼を担えるよう『女性宮家』を創設するというのだ(もちろん構想段階)。その場合、内親王という皇族の身分を持ち続ける案も検討されたようだが、現時点では実施困難という結論になり国家公務員の身分で皇室活動を支援できるようにする案も併せて検討しようというのだ」
 つまり政府案は二つという理解で、政府案に対する読売新聞社説(10月6日)の安易な支持を批判したのが、このブログの趣旨であった。読売新聞社説はこう述べている。
「(女性宮家の創設について)妥当な内容だろう。財政支出を抑制する観点から、結婚後も皇室にとどまることができる女性皇族を天皇の子・孫である内親王に限定した点も理解できる」
 実は政府が「皇族の在り方」について国民の総意を問うべく有識者へのヒアリングを踏まえた「論点整理」を公表したのは10月5日の午前であった。その日の夕刊各紙はいっせいに政府が公表した論点整理を記事にした。すべての記事を併記するのは消耗なので、論点が三つだったことを(記事の訂正を行わずに)社説で明らかにした朝日新聞の5日夕刊1面の記事の要点を原文に忠実に転記する。
 まず3段抜きの大見出しでは「女性宮家・公務員案を併記」と記し、サブタイトルでは「対象は内親王限定」とある。この記事の冒頭で朝日新聞はこう述べた。
「野田政権は5日午前、皇室典範の見直しに向けた論点整理を発表した。女性皇族が結婚後も皇籍にとどまる『女性宮家』創設案を盛り込む一方、皇籍を離れて皇室活動を続ける案も併記した」「論点整理は、(中略)女性女系天皇誕生につながる反発が根強いことに配慮し、皇位継承権には踏み込まない前提で2案を併記した」「女性宮家創設案では、女性皇族が結婚後も皇族の身分を維持することから『皇室のご活動を安定的なものとすることができる』と明記。女性皇族の夫と子を皇籍に入れる案と、入れない案の両論を並べた。子を皇籍に入れる場合は女系の宮家後継者となって皇位継承権に踏み込みかねないことから、子は結婚後に皇籍を離れることとした。夫や子を皇籍に入れない場合は戸籍や夫婦の氏の扱いなど『適切な処置が必要』と指摘した」「一方、女性宮家を創設せず、『皇室離脱後も皇室のご活動を支援することを可能とする案』も併記。皇籍を離れた元女性皇族が『尊称』を使うことは困難とする一方、『国家公務員として公的な立場を保持』して新たな称号を付与することを検討課題にあげた」
 この記事では政府が発表した論点整理では「2案」と記載されている。ところが、10日の社説では「示された案は(中略)の三つ」と記載されている。社説では「(政府案は)全体としてわかりにくい印象になったのは否めない」とあるが、朝日新聞だけでなく読売新聞や毎日新聞も5日の夕刊や社説(読売新聞の社説の主張については前述のブログで批判した)でも「2案」あるいは「両論」と表記している。朝日新聞は「2案」が誤報で「3案」が正確だとするなら、5日夕刊の「2案」記事の訂正記事を掲載するのが新聞社としての当然とるべき姿勢だろう。
 では5日夕刊の記事が誤報だったのかどうか、いくつかの報道機関(マスコミ)に聞いた。その結果、誤報ではないことが明らかになった。ではなぜ朝日新聞は10日の社説で、政府発表の論点整理の案を二つから三つに増やしたのか。その理由は3案に増やした直後の主張で明らかになった。社説はこう述べている。
「イメージしやすいのは①案だろう。②案は一家の中で身分や待遇がばらばらになり、違和感が残る。③案はまとめの段階でやや唐突に出てきた。なお詰めるべき点があるように思う」
 ところが、実は①案はすでに論点整理の過程で葬られた案である。5日の夕刊1面での記事のサブタイトルで、すでに述べたように「対象は内親王限定」と明記している。なぜ対象を内親王に限定したのか。この記事を補足して解説する。
 女性宮家を創設して内親王(天皇からみて直系で2親等以内の皇族女子の身分の称号)を皇族にとどめる場合、夫や子供の処遇をどうするか、論点整理の過程で議論されたことは事実である。その過程で、もともと皇室とは縁もゆかりもない民間人の夫を皇族にするなどということは誰が考えてもあり得ないことで、真っ先に否定された。このことは有識者の間でも議論の余地がない当然の結論だったようだ。
 一方子供の扱いについては議論百出とまではいかなくても、様々な視点から議論されたようだ。皇室典範第1条には皇位継承について「皇位は、皇統(筆者注ーこの言葉は事実上死語となっているので以下「皇族」と記す)に属する男系の男子が、これを継承する」と定められている。もし女性宮家の創設で皇室にとどまった内親王(結婚後は新しい女性皇族の身分の名称がつくられることになる)が男子を生んだ場合、現在の皇室典範によれば自動的に皇位継承の資格を得る。そこで問題になったのは皇室典範で定められている皇位継承資格の「男系」に抵触する可能性が生じかねないということだった。だから論点整理では女性宮家を創設する場合でも一代限りとして、夫は言うまでもなく子供も皇族にはしないことにしたのが論点整理の結論であった。この「皇位継承問題」を正確に理解するのはかなり高度な論理的思考力が要求される。前ブログでも一応説明したが、やはりわかりにくいという読者の声があったので、後で現在の皇室の構成を踏まえてわかりやすく説明したいと思う。
 その問題は、したがって後回しにするとして朝日新聞は社説でなぜ「3案」に増やしたのか、の問題に戻る。
 朝日新聞社説はこう述べた。「イメージしやすいのは①案だろう」と。では①案はどういう内容だったか。読者に画面をスクロールして読み返していただくのは恐縮なので、もう一度①案だけ転記する。「女性も結婚後に宮家を構え、皇室にとどまる。夫や子供も皇族とするが、子は結婚すると身分を離れる」。
 こんな案は論点整理の中にない。子供の扱いについて論点整理の過程で議論されたことは事実であり、それは私も認めている。しかし、その議論の過程ですでに除外され、女性宮家を創設する場合でも一代限りにすることにした理由も私はすでに述べた。
 つまり5日夕刊の第1報の「2案」が正確なのか、10日社説の「3案」が正確なのかの問題では、もはやないということを賢明な読者はもうお気づきだろう。
 実は朝日新聞は6日朝刊2面トップ記事で続報している。大見出しは「女性宮家 踏み込まず」でサブは「政権『本命』案 反対受け後退」である。この記事のリードで記者はこう書いている。
「野田政権は皇室典範の見直しに向けた論点整理で、『女性宮家』創設案と皇籍を離れて国家公務員として活動を続ける2案を示した。女性女系天皇容認につながるという強い懸念を背景に、当初目指した女性宮家の創設は後退した」と。
 このリード文には読者の誤解を確実に招く誤った表記が含まれているが、それは後で指摘する。とりあえず論点整理は、①内親王が結婚後も皇族として皇室活動を行えるよう「女性宮家」を創設する、②それが不可能な場合国家公務員として云々(この案の表記が不正確)、の2案に絞られたことを明記している。
 その後、朝日新聞には女性宮家問題に触れた記事は掲載されていない。したがって10日社説の「3案説」は朝日新聞論説委員の完全なでっち上げであることが明らかとなった。なぜ朝日新聞論説委員は追加の①案をでっち上げたのか。そういう意図的なでっち上げをする場合、それなりの意図なり目的があってのことであることはジャーナリストにとって常識である。
 その朝日新聞のでっち上げの真意を忖度する前に6日の続報リード文の間違いをここで指摘しておこう。あまり後に延ばすと読者が忘れてしまいかねないからである。私はなんて読者に親切なんだろう(自画自賛)。
 リード文の2案について記者は「皇籍を離れて国家公務員として活動を続ける」と記載した。皇籍を離れれば、当然のことだが民間人になる。民間人になれば国家公務員になれる。通常国家公務員になるには採用試験に合格しなければならないが、そういう揚げ足を取るようなことはやめておく。問題は国家公務員の場合行政機関に所属する、つまり政治と密接不可分な仕事をするのが国家公務員の仕事である。だから国家公務員には高度な守秘義務が課せられているのである。そういう特殊な職務に就く国家公務員が、元皇族であっても皇室活動を続けられるわけがない。だから論点整理では「国家公務員の身分で皇室活動を支援する」と、多少意味不明と取られかねない文章にしたのである。この文の意味するところを正確に理解するには多少の困難さが伴うが、正確を期すため難解な表現にせざるを得なかったのだ。
 まず「国家公務員の身分」という新しい概念を作り出しておきながら、その意味の説明をしていない(というより、できない)ことがひとつ。また「皇室活動を支援」とはどういう行為あるいは活動を意味するのか、私にも依然としてさっぱりイメージがわかない。論点整理をまとめた方も苦肉の策として意味不明な表現を採用せざるを得なかったのだろう。
 たぶんリードを書いた記者自身がこの難解な文章が意味しようとした意図をまったく理解できなかったがゆえに、読者に対する親切心で、誰にでも理解できる文章にしようとしたことがそもそもの間違いのもとだったのだろう。本来なら原稿段階でデスクがチェックして多少難解でも正確な文章に書き換えるべきだったのだが、デスクも無能だったため「誤訳」がそのまま活字になってしまったのだろう。
 さて朝日新聞の社説は①案をなぜでっち上げたのか。朝日の真意はどこにあるのか。
 ここまで綿々と批判しながら、いったい何が言いたかったのか、という読者のお叱りを、実は私は最初から覚悟の上でここまで書いてきた。社説の締めくくりと私の全部ロブの締めくくりを併記する。まず朝日新聞。
「悠仁さまが生まれ、皇位継承への差し迫った不安はない。今考えるべきは、皇室活動の内容や規模はいかにあるべきかで、それを皇族方にどう担ってもらうのが適切かという問題だ。政府案を踏まえ(筆者注ー政府案を踏まえたという形式にこだわったため①案をでっち上げることになってしまった。まさに痛恨のでっち上げと言えよう)、合意を探る努力を重ねる必要がある」「将来、皇位継承の問題を真剣に検討しなければならない時が来る可能性はある。そうなった時は、その時点で考えられる選択肢の中から、その時の国民が答えを出せばいい」「今の世代は判断の幅を残しながら次代に引き継ぐ。この問題にはそんな姿勢でのぞみたい」
 次に私の前ブログ『なぜ読売新聞論説委員室は政府の「女性宮家」創設案に賛成したのか!?』(10月8日投稿)朝日新聞社説が問題提起した点に対応した個所を再記する。まず「今考えるべきは、皇室活動の内容や規模はいかにあるべきで、それを皇族方にどう担ってもらうのが適切かという問題だ」という朝日新聞社説に対応する個所を再記する。
「皇室の公務は大きく分けて、国内の大きな行事への出席と、いわゆる皇室外交の二つである。二つのうちあまり減らすべきではないのは皇室外交のほうだ。国内行事についてははっきり言ってどうにでもなる」「通常独立国の外交力を左右する要因は、軍事力と経済力の両輪である。中国が急速に国際的発言力を強化できたのは、この両輪で世界を脅かすほどの存在になったからである」「現在の日本がどうかというと、日本の軍事力は他国にとって脅威の対象ではまったくない。相当の軍事力を持ってはいるが、憲法の制約もあり、軍事力を外交の切り札に使うことができないからだ。誤解を避けるために言っておくが、私は事実を述べているだけで、日本が保有する軍事力を外交手段に使えるよう憲法を改正した方がいいなどとは毛頭考えていない。ただ日本の防衛力を高め、国土と国民の安全をより確実なものにするため集団自衛権については国民的議論を行うべきだとは考えている」「さらにもう一つの外交力である経済力については、残念ながらひところの威力を失っている。単に数字の上でGNPが中国に抜かれたというだけでなく、国内の産業空洞化(実質的に日本が世界に誇ってきた最先端技術の海外進出を意味する)に歯止めがかからず、最先端技術製品の分野すら日本メーカーのブランド力は低下の一途をたどっている」「そうした状況の中で皇室外交が果たすべき使命は今まで以上に大きくなりつつあることは疑いを容れない事実である。が、皇室外交は皇族の数を増やせば解決できるような話ではない。いま皇室外交の要は皇太子が事実上お努めされている。秋篠宮さまも力の尽くせる限りご努力いただいている。日本人の一人として感謝の念に堪えない」「外交はいかなるケースも含めて微妙な問題を含んでいる。そういう教育を子供のころから受けてきたのは親王(男性皇族)だけである。そういう教育を受けていない内親王(女性皇族)に、付け焼刃で教育したところで親王に匹敵する外交手腕を身に付けれるようになるかといえば、それは不可能と言うしかない」「確かに国際的にみて女性の地位は高まってきている。そのことを考えると、女性皇族の教育方針も考えるべき時期に来ているのではないかとは私も思う。が、それは今後の親王、内親王の教育の在り方について有識者会議で検討し提案してもらいたいとは思う。しかし、今3人の女性宮家を創設することと直結するような話ではない。少なくとも「有識者」とされるジジイやババアの感覚で考えるような問題でもない。もっと長い目と複眼的視点で将来の皇室の在り方、皇室に何を期待すべきか、皇室の公務はどこまで求めるべきかなど、若い人の感覚で考え提案してもらいたいと思う」
 次に朝日新聞の社説にある「将来、皇位継承の問題を真剣に検討しなければならない時が来る可能性はある。そうなった時は、その時点で考えられる選択肢の中から、その時の国民が答えを出せばいい」という主張に対応する私のブログを再記する。
「すでに述べたように現在の皇室典範を継続した場合、皇位継承者がいなくなる可能性は否定できない。そこで女性天皇については多数の国民が賛意を示しており(※)、女系天皇とは切り離して皇位継承問題を考えたほうがよいのではないかと思う」
 ※ 秋篠宮さまに男子が生まれる前は、約40年の長きにわたり皇族に男子が生まれなかった。そのため当時の小泉総理が私的諮問機関を設置して国民の意を問うたことがある。この時朝日新聞をはじめ大マスコミはすべて「女性天皇を容認するか否か」の世論調査を行った。その結果は75%以上の国民が女性天皇を容認するという意思を示した。この時の状況で、国民が望んだのは皇太子の女子である愛子天皇だった。
「私論として提案するのは、皇位継承者候補(「候補」と書いたのは間違いで「順位」と書くべきだったー私のミス)の第1位は男女を問わず天皇の第1子、第2位は第2子、第3位は第3子……とする。要するに天皇の血が1/2受け継がれている子供たちの生まれた順にする。もし万一子供がすべて他界してしまった場合は、子供の子供(つまり孫)をやはり子供の継承順位からはじめて第1子、第2子……とする」「このような皇位継承制度にすれば、最もシンプルで合理的なシステムになる。ただし、この方法だと1/2の確率で女性天皇が生まれる。さらに女性天皇の第1子が皇位に就くと、男女を問わず自動的に女系天皇になる。しかし男系にこだわると、女性天皇は認めても甥や姪が天皇になる可能性は否定できない。そうなった場合、果たして象徴天皇に対する敬意を国民が持ち続けられるだろうか。これは男系にこだわるか、直系の血筋にこだわるかの問題である」「現状では何もことを急ぐ必要はない。ただ『有識者』の意見に頼るのではなく、広く国民の意思を問い、国民の総意に結論をゆだねることが最も大切なことだと思う」

 最後に、読者に約束した皇位継承の順位の定め方について、現在の皇族の構成をベースに解説しておく。すでに読者もご承知のように皇位継承者資格保有の3条件は①皇族であること、②男系であること(父親が皇族であることを意味する)、③男子であること、である。なお皇族の範囲は天皇(今上天皇ではなく、当該者が生まれた当時の天皇)からみて2親等までである。
 その条件を満たす皇位継承権がある皇族を、継承順位から書く。
 第1位 皇太子徳仁親王(今上天皇の第1男子 52歳)
 第2位 秋篠宮文仁親王(今上天皇の第2男子 46歳)
 第3位 悠仁親王(秋篠宮家の第1男子 6歳)
 第4位 常陸宮正仁親王(昭和天皇の第2男子 76歳)
 第5位 三笠宮崇仁親王(大正天皇の第4男子 96歳)
 第6位 桂宮宜仁親王(三笠宮家の第2男子 64歳)
 皇位継承者は10月10日現在この6方だけである。年齢から考えて事実上の皇位継承者は第3位の悠仁親王までである。悠仁親王が無事ご成人され、少なくとも複数の男子のお子様を未来のお妃がお産みになるまでは男系男子の天皇が継続するという保証はない。
 朝日新聞社説は「(男系男子の皇位継承者がいなくなる可能性に触れ)そうなった時は、その時点で考えられる選択肢の中から、その時の国民が答えを出せばいい」としたうえで「(そうなった時の)判断(つまり選択肢)の幅を残す」ことを主張したかったのである。そう解釈して初めて①案をでっち上げた目的が理解できる。つまり朝日新聞論説委員の真意は女性女系天皇を容認すべきと考えている点にあるのではないか。それならそれで姑息な手段によらず、「論点整理」が①案を葬ったことを、皇位継承者がいなくなる可能性を無視していると批判して、小泉総理の時議論された皇室典範改正案の原点に立って皇族問題を考えるべきで、皇族数の増減という一時的な現象で内親王の結婚後の処遇を検討するのは筋が通らないと指摘すべきだったと思う。

 
コメント