金曜日の感想文、続きですが、セミの終わり方は、本当に酷いものでした。
ダニエル・バラダレスは、要所では右のフック好打もあったりしたものの、始まってすぐに見せた「アタマさん」ぶりを見て、ああやっぱり、こういう感じかあ、と嫌な気持ちになりました。
ボクサーというもの、普通は左打って、次は右を打ちますが、左にアタマがついていったり、右の前にアタマが出たり。同時だったり。
単に対サウスポーで、背丈や構え、行くときの姿勢、その高低が合うの合わんの、というんではない、意図したアタマの「運び」。
もちろん、それを嫌がらせに使ってパンチを狙うことを、ルール上咎めることは出来ませんが、それに収まらず、早々にぶつけてたりする。
しかし重岡銀次朗、スタートはえらく力んでたものの、怯むことなく構え、じわじわ出て、徐々に動きもほぐれてくる。
2回に右ヒットを喫したものの、左ボディが再三決まり、なおかつ打った後のバックステップも速い。
これがあるから、顔をさらして正面から左のボディブローが打てる。
さらに、ボディのヒットに加え、左ショートが上にも当たりだす。
これなら中盤以降、確実にヤマが作れそう、と思った3回、試合が終わりました。
スローを見るまでもなく、自分でアタマ下げてぶつけて、相手を怯ませたバラダレスの方が、頭痛を訴えて続行不可能とは、いくら何でも...こんなことがまかり通るのか、と、腹が立つよりも驚いた、唖然とした、というところです。
スローリプレイは試合の裁定に影響しないルールだった、とのことですが、そんなもの見るまでもないだろう、レフェリー何見てたんだ、という話です。
さらにいうと、あの程度の接触の仕方で、頭痛がし、目眩を起こすような状態なら、そのような者を、プロボクシングのリングに上げて良いのでしょうか?
頭部に何らかの障害があるんではないか、と心配になっちゃいますね。
ま、そんな皮肉はさておいて。
重岡銀次朗の世界挑戦が云々されるようになった頃、WBAとWBCの、タイ人王者どちらかを、日本に招聘出来ないものかなあ、と思っていました。
IBF王者バラダレスについて、試合映像は見たことがなかったですが、聞けば前の試合、グローブのテープが剥がれたことを理由に、相手が減点されるという、あまり聞かない事態があり、それが僅差判定に影響したとかいう話でした。
メキシカン贔屓の裁定といえばWBCのお家芸ですが、この選手の陣営、関係者の中に、IBFと変なコネのある者がいるんじゃないか、と想像した次第です。
何か、色々ややこしそうな奴やなあ、と。さすがに今回のような、想像を絶する事態を予見したわけではないですが。
そして、今回の裁定も、その延長線上にある話なんじゃないか、と思ったりもします。
レフェリーもスーパーバイザーも、間近で何が起こったか見ていた。
JBCのコミッションドクターが、続行不可能を進言したというわけでもないようですし。
そもそもバラダレス本人が、先日の赤穂亮のように、足が立たずふらふら、という状態でもなく、自分の足で立ったまま泣き言を言い続けている。
でも本人が頭痛い、やれないと言った。
それだけの理由で試合を無効にするわけですから...ルール通りの裁定であることは仕方ない、と思う反面、その運用、判断の基準が異常だ、と思います。
そして、日本のコミッションも、プロモーターも、もっと厳しく意見したり、強硬に抗議するべきじゃないかと思ったのですが、割とすんなり引き下がった印象です。奇異に感じるところです。
で、早速というか、4月16日に再戦という話が出ています。
頭部にダメージを訴え、試合を打ち切った選手の状態を脇に置いて、診断書なども公に出ないまま(そもそも、病院で診察を受けたかどうかも不明)こんな話が出ること自体が異常ですが...。
いずれにせよ、こんな詐欺みたいな真似をする者を、二度も日本に呼んで稼がせてやる必要はありません。
さらに言うなら、こういう者は事実上、日本のボクシングビジネスから「パージ」するべきです。悪しき前例を残さぬために。
そして、前記事にいただいたコメントのとおり、重岡が挑む先は、真に王者と言えるWBOチャンピオン、メルビン・ジェルサエムであっても良いと思います。
しかし、現実がどのように動くかというと...まあ、ここから先は、時が答えを出すのを待つしかありません。
その過程で、色々と見えてくるものがあることでしょう。