さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

変わらないもの

2020-05-19 09:33:51 | 辰吉丈一郎


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辰吉丈一郎の試合を見ることは、例えればハリウッドの脳天気なアクション映画を見るような行為だった。
単に期待し、胸を躍らせていればよかった。
今は違う。僕は変わってしまった。

それは、あのラバナレスとの再戦、激闘の判定勝利が最初だったと思う。

あの時僕は、彼が能弁に語る理想とはかけ離れた、泥沼であがくような打ち合いを目にして呆然となり、まるで時間が止まったような感覚のまま、絶叫するアナウンサーと大観衆の声を、まるで遠い世界の出来事のように聞いていた。

それ以後、いくつかの格下相手の快勝を除き、彼は以前ならよけられたパンチをよけられず、当てることのできたパンチを外し続けた。
医学上の規定はクリアしているのだろうが、ボクサーとしての視力低下は明白だった。

しかしそれでも彼は闘い続け、みたび世界の王座についた。

彼は、かつて僕に「ナポレス、オリバレス、レナード、いや、辰吉は誰にも似ていない...彼こそが真の天才だ」と思わせたような力を、とうの昔に失っていた。
肉体的にも衰え始めていた。分厚かった上体の筋肉は衰え、下肢は噂された走り込み不足を裏付けるように細く、頼りなく見えた。

にもかかわらず、彼は無敗の王者、シリモンコンを倒した。

そしてそれは僕にとり、あのラバナレス第二戦での勝利と似ていた。
歓喜とは別のところにある遠い世界で、またアナウンサーと大観衆が叫んでいた。

それまでに彼の負った傷の深さを、そして失ったものの多さを考えれば、あんなことができるはずはなかったのに。


彼は本当に凄い男だと思った。
だが同時に彼は、凄いボクサーではなくなってしまったとも思った。
彼は変わらねばならなかった。普通のボクサーとして、まず我が身を守り、勝利のみを考えて戦わねばならないはずだった。
2度の防衛後、専門誌上には「辰吉の闘いぶりには落ち着きが出てきた」という論評が幾度か出た。

僕は首を傾げるばかりだった。
全然、そういうふうには見えなかった。
彼は変わらず、かつてのように天才ボクサーであろうとしていた。


夏の横浜。ポーリー・アヤラ戦で見せた涙はその証拠だった。
ルール通りに運ばれた試合で勝利を得たにも関わらず、不足を感じて取り乱す姿は、人間的には魅力でも、ボクサーとしてはあまりにも危うい心の持ち主であることをさらけ出していた。

そして、冬の大阪。
あの夜、僕は病院のベッドに横たわって、TVを見ていた。
そこに映し出された、控え室にいるウィラポンの、能面のような貌を見た時、こいつはソーサやアヤラが暴けなかった何かを暴いてしまう男ではないかと感じた。
日頃は滅多に当たらない予感がこんな時に限って的中した。

3Rに試合を決めた一撃があった。ウィラポンの右ストレート。同時に肘が当たったようにも見えたが定かではない。
とにかくそれ以降、試合はウィラポンの独り舞台となり、辰吉は見るも無惨に打倒された。


辰吉は自分のボクシングに対する誇りを捨て切れず、再戦を望んでいるのだろう。
あくまで、医学的に、というだけの話に過ぎないが、目に問題がないという診断が下れば、遠からず再戦は実現するのだろう。

多くのものを失い、それでも彼は闘い続けてきた。
しかもかつて自分が無条件で強者であったときとほぼ変わらぬやり方で。

ウィラポン戦でも、足とジャブを使って打ち合いを避けていればと思った。
わざわざ海外からカットマンを招いたのに、カットした後もガードを上げようとしないことに関しては、もはや何も言う気になれない。

だが、彼は自分を変えようとはしないだろう。
だからこそ彼は勝ってきたのだ。
そして敗れてきたのだ。

これまでもそうだったし、きっとこれからもそうだろう。

彼の試合を「ロッキー」のように楽しめた時は遠くに過ぎ去り、いまは例えば「レイジング・ブル」を見るのと似た気持ちで見ている。
だが彼に、もう引退すべきだ、などと言いたいわけではない。
彼が闘うのなら、僕はやはりそれを見ずにはいられないだろう。

昔とは変わってしまった心で。
昔と変わらぬままに闘おうとする、彼を。



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これは1998年12月、辰吉がウィラポンとの初戦に敗れたのちに書いたものです。
再戦については、正式決定はしていませんでした。

人生で初めての入院という経験と、辰吉の強烈な敗北...紛れもなくボクサーとしての「死」に見えた敗北が重なり、暗澹たる気分だったことを覚えています。

何故、辰吉丈一郎は、またはその周辺は、彼の「ボクサー像」を冷静に捉えず、幻想の世界で闘おうとするのだろうか。
この頃、辰吉の試合を見る度に思っていたことです。
対戦相手にいかに勝つか、ではなく、世間が辰吉に期待する「絵」を見せることを優先して闘っているのではないか、と。

そして、本人がそれを自覚せず、周囲もそれを正せない。
メディアの評論も、勝てばそれを称え(危惧を語る個々の記者もいるにはいましたが)負ければ分析とも呼べぬ、後出しで「粗」を語るレベルの批判、という具合。
辰吉の持つ才能が優れているものであるのに反し、周囲の環境、状況は、それに見合わぬレベルのものでないことが浮き彫りになっていました。


その行き着く先として、辰吉を待ち受けていたのが、これ以上無いほどに然るべき、痛烈な敗北だった。
後に、そんな風に思ったものです。
実際、それが起こったことの全てだったわけではないでしょうが、けして的外れでもないだろう、とも。



そして、井上尚弥の生きる「今」は、当時のそれと比べて、進歩したものだと言えるのかどうか。
ふと、そんなことを考えたりもします。
本人の個性や、自覚の言葉は、実に冷静で客観性が感じられるものではあるが、それでもなお、今は誰にも見えていない陥穽があるのではないだろうか。

取り越し苦労に過ぎないかもしれませんが、辰吉丈一郎の持つ希有な才能が、十全に発揮されぬまま終わった事例を繰り返してはならない、と改めて思ったりもします。




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やはり変わりなく、誰にとっても大きな存在 辰吉生誕50年特集

2020-05-18 12:29:00 | 辰吉丈一郎


ということで、先週紹介したボクシング・マガジンの、辰吉特集号ですが...。

考えたら、ひとりのボクサーの「生誕50年」の特集を、表紙に持ってきて大々的にやるというのは、記憶にありません。
海外ならアリなど、いくらでも対象があり、事例もあることでしょうが、国内のボクシング専門誌では、多分なかったと思います。

多くの記者、批評家、ボクサー、関係が、心中にある辰吉丈一郎について語っていて、それぞれに味わい深い内容でした。
個人的には、増田茂氏の苦渋に満ちた、抑制的な文章が印象的です。

他の方々も、色々と思うところを語っておられますが、改めて多くにとり、辰吉丈一郎の存在が大きなものであるか、を思わされました。
辰吉丈一郎について語る場のはずが、自分自身がボクシングに心惹かれていく過程を語っている書き手が、何人もいました。

つまり、ボクシングを愛することと、辰吉丈一郎に惹かれることは、イコールで繋がっている。
この一点において、辰吉はやはり偉大なのだと。とてもよくわかる話ばかりでした。
やはり、辰吉丈一郎とは、誰にとっても大きな存在であり、その記憶はけして消えないものなのでしょう。



辰吉については、この拙いブログを始める前、写真観戦記などを載せるHPをやっていたことがあり、そこに数は少ないですが、観戦記などを書いていたことがあります。
今回、マガジンの特集を読んで、当時の自分が抱いていた思いが甦ってきました。
やはり、誰の思いも似たようなものだなぁ、と思ったり、ここはだいぶ違うなあ、とも思ったり。

改めて、辰吉について何か書くかな、と思ったりもしていますが、とりあえず明日から、過去に書いた観戦記を引っ張り出してきて、アップしてみようと思っています。
その先に、思うことがあれば、その時はまた...ということで。




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前後左右を空けて、観客アリの興行も?

2020-05-17 08:14:33 | 話題あれこれ



協会とコミッションの協議会で、7月にも、とされている興行開催のガイドライン策定が協議された、という記事です。

やはりというか、こういう方向性を探り、打ち出していかないことには、どうにもならないのだろうなあ、という感じです。
配信や放送がビジネスとして成り立っているレベルの試合など、世界戦のうち一部に過ぎない。
個々の業者の都合、限界を変えようという気のない前提で組まれた試合に、コンテンツとしての価値がない、という現実は、危機において、改めて違う形で、業者を苦しめています。

それはひとまず置いて、先の話をしますが、気になるのは客席について「前後左右を空けた」状態であれば観客試合を認める方針、という部分。
実質、収容人数が3分の1くらい、ということですが、細かいことを言えば、前後左右のみならず、左右斜め前、及び斜め後方も空けないといかんのやないかなあ、と。
その場合、3分の1で済むのでしょうかね。

何しろ、チケット販売ゼロでは到底立ちゆかないでしょうから、この辺は大きな課題ですね。
まあ、普段から、ほとんどの興行が「実売」「実券」で客席が埋まっているわけでもないやろう...というのは、こんな時に皮肉が過ぎますね。すみません。



やっぱり、業界挙げて、業者全体で一致してのカード作りをして、それをパッケージで放送、配信媒体に売る、というビジネスが構築されていれば、この危機にあっても、なんとか窮状をしのぎ、事態が改善するときまで...という希望も持てたでしょうに、という繰り言が、心中から消えません。
本当に今さら、そんなことを言うたところで、というのも、よく分かってはいるんですが。

少なくとも、従来型の常識が通じない時代が、これからやってくるのだとしたら、そこで色々と変わって行かねばならない、のでしょう。
しかし、時代に「強いられた」変容は、大抵の場合、良い形では根付かず、また継続性も持てないものになる、というのがお定まりです。
何もボクシング業界に限った話ではなく。
まあ、あまり大きな話にしてしまうと、自分で自分の首を絞めるようなものですので、この辺で止めにしますが...。




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さすがに再起即とは...高山勝成に世界戦「オファー」

2020-05-15 05:57:47 | 高山勝成



再起表明したが試合延期、定年の延長は認められている、という状況の高山勝成に、タイから世界戦のオファー、という記事。
そういえば、昨年秋、まだプロでの再起を表明する前には、こんな記事もありましたが。

軽量級ボクシングが「メジャースポーツ」である国のひとつ、タイでは、日本以上に有名であろう高山に、ワンヘンではなくノックアウト陣営からオファー、というか「打診」程度の話が来ただけなのか、と普通なら思うところですが、この記事のトーンはそういう段階では無い、というものです。
もっとも「関係者」の実名が出ているわけでもないので、今のところ、ぼやけた感じでもありますが。

まあ、さすがに一試合もしないで、もう何年もプロで試合してない選手が...と思うんですけど、この記事の書き手は、もうそういうことを指摘すらしませんね。
もう、誰も彼もが、感覚が麻痺した状態やなあ、と改めて思った次第です。

率直に言って、この試合が実現した場合に何を期待するか、とかいうところまで、今のところ、思いが届かない状態です。
しかも事態が収束した後、大阪で...まあ、色んな意味で「遠い」話だとしか思えないんですが...はてさて、ですね。



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明後日は専門誌発売日 マガジン、こう来たか...。

2020-05-13 17:05:22 | 辰吉丈一郎
明後日は専門誌発売日です。
試合はないわ、当然展望もないわ、インタビュー取材も色々難しい、紙面作りは大変でしょうが...。

そんななかでも、色々工夫して、それぞれに特色ある紙面を作っている両誌の健闘を、まずは称えたいと思います。
普段、あれこれ文句ばっか言ってますけど...。

で、明後日の両誌、表紙がこれ。







ビートの方は想像の範囲内ですが、マガジンは...。
なるほど、こういう「カード」を切ってくるか、という感じですね。

これ、それこそ普段買わない層まで、書店やネット(Amazonなど)で目にしたら、手に取って(購入ボタンをクリックして)しまいそうな感じですね。
もちろん年齢層などは偏るにしても。

辰吉丈一郎について、改めて思うところを書けったって、どこから何を書いていいものやら、もう手のつけどころさえ見失ってますが...。
そのうち、やってみようかな、とか、ちょっと思っています。
とりあえず明後日、両誌読むのが楽しみですね。



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「倒したい人もいましたが」加藤収二、引退表明

2020-05-11 17:59:58 | 関東ボクシング




少し前の話になりますが、竹迫司登との二戦で惜しくも王座奪取ならず、しかしその名を大いに上げた加藤収二が、引退表明
心臓疾患、それも難病と言われる部類の可能性大いにあり、という状態であり、やむなく、ということでした。

新人王の頃は、申し訳ないですがこちらも適当な見方しかしていなかったのでしょう「日本的な、あまり強くないミドル級」という印象しかなかったんですが、竹迫との二試合には驚かされました。
初戦は論議を呼ぶ判定、再戦も非常に問題のある終わり方、ということで、結果はともかく、竹迫の王座にもう一度挑み「決着」となる試合がいずれ見られるだろう、と思っていたところでした。

「倒したい人もいました」という思いがありながらも、引退という決断を下したことは、本当に無念だったと思います。
傍目に見ている者には、計り知れないほどの懊悩があったことでしょう。

しかし、村田諒太を除けば、半ば竹迫司登の独走になっていたかもしれない日本のミドル級シーンにおいて、本当に貴重な技巧派のタレントでした。
こういう選手のことは、しっかり覚えておかないかんなー、と改めて思った次第です。
結果や記録にチャンピオンとしてその名が残らないのは残念ですが、良い選手だったなあ、という記憶は、多くのファンの心中に残ることでしょう。
お疲れさまでした。




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コロナ危機がなくとも危ういが WBSS、シーズン3も構想

2020-05-09 19:29:12 | 海外ボクシング




昨年のさいたま決戦のとき、日本に来て、根拠も無く日本のスポンサーを当てにして?ライトフライなどの軽量級でもWBSSをやりたい、みたいなことを言っていた、頼りないドイツ人プロモーターが、またも「ふわっと」した話をしているようです。

シーズン2は、クルーザー級が終わっていなかったんですね。
ラトビアの狼藉者を、ドルティコスが「成敗」してくれるか、という以外に、何の期待もないですが...。

で、シーズン3も「少なくとも2階級で」という以外、今のところ何も言えない段階のようです。
ライトフライでやってくれれば、良い意味での「外圧」となって、拳四朗vs京口戦が実現するか、と期待するところですが、コロナ危機が起こる以前から、色々と苦しそう、頼りない、という印象ばかりのWBSSですから...。

基本、これまで通り、欧州で闘う選手の多いクラスか、人気選手がいるクラスということになるんでしょうね。
3シーズン連続でクルーザー級をやったりして。と、冗談にならんかったりするかも。


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井上尚弥の次戦は?トップランク、6月から興行再開へ

2020-05-08 19:48:37 | 井上尚弥

トップランク社が、延期になっていた試合を6月から開催すると表明
ボブ・アラムが「ESPNの」インタビューで語った、ということです。

尋ねて、その答えを報じたのが当のTV局なんですから「そういうこと」なんでしょう...ね。
これから、事態が急速に終息へと向かうならともかくも、果たして、という気がしますが、もう色々待ったなし、というのが実際のところなんでしょう。

それに、プロレスのWWEは、普通に無観客で試合して、それが放送されているようですし、ボブ・アラムのような類いの人間は、それを横目でじーっと見てられんのでしょう。
話としては、あくまでプロモーターの側からのものですが、ことここに至っては、選手側の意向などは関係ないのかもしれません。
また、あちらでは、こういう状況に関係なく、短い調整期間でもリングに上がる準備が出来ている者こそ、真の一流だという認識でもあるのでしょうね。

場所はベガスのホテル会場、ということですが、そもそもホテルやカジノの客寄せとして、ボクシングの試合会場に最適、という従来の常識から言えば、人が集まってはいけないという条件とは矛盾するようにも思います。
まあ、トップランク本社の近くで、というだけの話なのでしょうね。あちこち飛び回るわけにもいかないと。


で、従来のスケジュールでいくと、ラミレス、ポストル戦が一番先で、シャクールの試合が続き、順番としてその次に来るのが井上、カシメロ戦だったはずなんですが...。
トップランクが、米国内に滞在しているボクサーの試合のみから、順次行う、という普通の話「だけ」をしているのか、その話の枠内に井上が込みになっているのかどうか。
その辺がちょっとわかりにくいですね。

普通なら、井上については、ひとつ先送り、ということになりそうなんですが、急転直下...となる可能性はあるのでしょうか。

いずれにせよ、何もかもが従来と違う形で動き出すとしたら、その変容に対応出来る者が、次代のリングにて勝者となるのでしょう。
井上尚弥の今後が、従来思い描いていたものとは色々違う状況の中であっても、変わることなく、栄光に包まれていてほしいものです。



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大橋ジム、タイトルマッチ二試合のみの無観客試合開催構想

2020-05-07 22:11:14 | 関東ボクシング



7月16日、大橋ジムがOPBF、日本のタイトルマッチ二試合のみを、無観客で開催する計画を明らかにした、とのことです。

当初予定されていた、日本スーパーライトの井上浩樹vs永田大士戦に加え、OPBFの方はというと、清水聡の再起戦で、相手が殿本恭平。
これがOPBFフェザー級タイトルマッチとのこと。

え?と一瞬思ったのですが、清水が負けたのはスーパーフェザー級の試合なので、フェザー級のタイトルが空位になることはないのですね。
とはいえ、長い間、防衛戦してなくても、何も問題なく、選択試合というか、5位14位の選手と闘えるというのは...自由やなー、と。

※殿本の順位を誤記していました。訂正します。


まあ、細かいことはおいといて、何とか無事に、構想通り開催出来て、選手も良い状態で闘えるなら、何よりです。
実現すれば、普段とは違う注目が集まる試合にもなるでしょうし。

とはいえ、TVはいつも通り、フジテレビ地上波、関東ローカル、数日後の深夜録画、つまり「そのまんま」だと思います。
ライブで見られるかというと、そんな期待はさらさらしていません。
どうでもライブで見たい、見ないかんという試合なら、会場に足を運べば良いんですが、その選択肢が無いのは辛いところですね。
もし、これを配信なりCSなり、或いは何らかの方法で、ライブ観戦出来るようにしてくれたら、掌返して大絶賛するところですが。


話は戻って清水聡、また関西ボクサーとの対戦です。
これまでも、なかなかの「関西キラー」ぶりでしたが、殿本には是非、その流れを断ち切ってもらいたいものです。健闘を!
しかし、真面目な話、関東には清水とやる選手、おらんのですかねー。


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ミニマム級、この階級こそ一択?とも限らない?

2020-05-04 10:02:08 | 海外ボクシング






さて、最後になります、最軽量の新設階級、ミニマムです。
世界的にはどうか知りませんが、日本のファンとしては、軽んじることは出来ないくらい、良い試合、凄い試合があったクラスではあります。
最近はその辺が、ちょっとお寂しい感もありますが。


ということで、マガジンによるエントリー、一回戦は以下の通り。

リカルド・ロペスvs新井田豊
大橋秀行vsイーグル・デーン・ジュンラパン
ロセンド・アルバレスvsワンヘン・ミナヨーティン
高山勝成vsイバン・カルデロン


...中には言及しろと言われても、気が入らないような選手もいますが。



さて「エル・フィニト」リカルド・ロペス。
ある意味、日本のスターボクサー以上に、日本のボクシングファンが「敬愛」するボクサーですね。

大橋秀行戦の衝撃はいまだに忘れられません。ボクシングファン人それぞれに、忘れ得ぬ衝撃の一戦があるものでしょうが、1990年10月25日の後楽園ホール、そしてその生中継放送がそれだ、という人は、ごまんといることでしょう。

メキシコの名匠にして大物マネージャー、クーヨ・エルナンデスが手塩にかけた最後の愛弟子。
それもあって、大橋戦を見たとき「これはヘルマン・トーレスの失敗を踏まえて、パパ・クーヨが作り上げた、トーレスの改良版だ」と思いました。
同門の先輩カルロス・サラテ同様、高いKO率を誇るが、サパタや張正九を攻略出来なかったトーレスに、ボクサータイプの足捌きを付け加えた選手だ、と。

何しろあの大橋が、試合が進むにつれ、近寄れない、触ることも出来ない有様。
追い足に欠ける大橋にとり、苦手なタイプではあったでしょうが、それにしても。
新設間もない最軽量クラスから、全階級通じて見ても滅多に出ないようなスーパーチャンプが現れ、しかもそれが日本のリングで戴冠したわけですから、二重三重の衝撃でした。


動画については膨大にあります。
ただ、どうしても長くなるんで、ここは短いのを、ということで探しても、良いのが無いんで、自分の手持ちでちょこちょこっと、こさえ上げました。
人様が上げたものを「幅が」とか言う口があるなら、自分でやれと(笑)。限定公開です。近々消します。





あと、やっぱりこの試合だけはフルで貼っておきます。
未見の方、おられないと思いますが(笑)もしおられたら是非、じっくり見てください。見ないといけない試合、です。








さて、対するは新井田豊。
若手時代にメキシコで練習した際、現地の指導者にその才能をロペスに準えて褒められた、というエピソードがあります。
実際、何度か直に見たのも含め、試合数はけっこう見ましたが、スピードやセンス、パワーに恵まれていて、このクラスに大橋以来の才能が現れたかな、と思ったものです。

ただ、日本タイトルの時点で、鮮やかな勝利を挙げた試合でも、名護明彦らに通底する「強打、好打」前提でしか試合を展開できない偏りも見えて、その辺は若干、不足ではありました。
世界戦では好ファイトもありましたが、体調不良か何かで、集中を欠いた試合もありました。
この辺は、体調の部分を除けば、やはり新しい世代の感覚や情緒と、旧弊蔓延るボクシング界との「きしみ」を見ていたのだろう、と思ったりもしますが。

ベストの状態でのイーグル戦が実現しなかったのは残念でしたが、高山やロマゴンと闘って見せてくれたのだから、十分というところでしょう。
難敵アランブレットに雪辱し、王座から引きずり下ろしてくれた試合も、直に見て、あまり良い試合だとは思わなかったですが、いつまでもあんな選手に王者で居られても困るし(笑)誰がやっても難しい仕事をしてくれたのだなあ、と。

引退後はビートの連載コラムなどでその考えを知ることが出来ました。
変容する時代の中で、新世代の指導者として、ボクシング界を支えてほしい、と期待します。


動画はまたまたまたまたこちらから。






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続いては「150年に一人の天才」大橋秀行です。

現役時代を通じて見て、天才というよりはこだわりの人、よく言えば崇高なほど、悪く言えば意固地、という印象です。
足を止めて正対し、ガードと小さいスリップを併用して防御し、ジャブで探って、強打を狙う。時に怖いカウンター狙いも。

追い足に欠けたり、手数を出せる相手に苦しんだりと、目の前の勝ち負けを言うと不足もあったんですが、何試合も見ているうちに、ああ、本人にとってはもう「そういうこっちゃない」んやな、と納得半分、諦め半分で見るようになっていました。
階級の近いカルバハル、或いはさらに大きなところを引っ張り出せばアレクシス・アルゲリョにも通底する、ボクシングの「勝負」どころとは「ここ」なのだ、と思い定めて闘っているようにも見える、こだわりの強さ。
それ故に勝ったり負けたり、ということ自体を受け容れて闘っていた...のかどうかはわかりませんでしたが。

それは全部ひっくるめて言えば、けっして悪いものではありませんでした。好きな選手でした。
好きな子のことほど、あれこれ言いたくなってしまう、という心理です、ハイ(笑)。

とはいえ、当時世界の軽量級シーンを制覇していた韓国勢を攻略するにあたり、多少の妥協というか、改善はあって、打ち合うときも強打一辺倒じゃなく、軽打を織り込んで緩急を付ける、という風に変わってもいました。
「国民的関心事」に近いレベルで注目された初戴冠、崔在煥戦は、その改善あらばこその勝利だったかもしれませんね。


動画はまたまたまたまたまたこちらから。





喜友名朝博戦も入っていますね。これも出来ればフルで見てもらいたい。
CS-TBSで高画質の再放送が何回かありましたが、改めて見て、良い試合でした。
今なら十分世界戦、と思う試合のひとつですね。




イーグル・デーン・ジュンラパン、スポンサーの関係で数回、名前が変わっていますが、本名はこれなんですね。

この選手は戴冠戦のホセ・アントニオ・アギーレ戦、二度目の戴冠戦である高山勝成戦、激戦となったロデル・マヨール戦を直に見ています。
ことにマヨール戦は、最軽量級ゾーンを頭ごなしに軽視する向きに、是非これは見てもらいたいと思う、本当の「世界」を見られた、という満足感のある試合でした。
しかし、この試合でのダメージが残ったものか、次のロレンソ・トレホ戦は大苦戦、八重樫東戦は完勝したものの、その次、タイでの試合で陥落。
実力の割に「その時」が早く来たなあ、という印象でした。

長短の打ち分けが巧く、パンチ力もある。本格派、というイメージが残ります。
ミニマム級歴代王者の中でも上位に置くべき、と思う選手でした。
最近は五輪予選に挑んだ高山勝成とのトレーニングの様子を、ドキュメンタリーで見ることが出来ました。
なんか、まだまだ強そうでしたけど...(笑)。


動画はうまくまとまったものが無いみたいで、とりあえずこれ。
あと、マヨール戦は、是非、フルで見ていただきたい試合のひとつです。





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ニカラグアの頑健な強打者、ロセンド・アルバレス。
なんといってもリカルド・ロペスをダウンさせた男として、勇名を馳せています。

日本にも二度来てますが、TV東京系列で、うちの地元じゃ見られなかった塩濱崇戦を含め、あまり注目度が高い試合ではありませんでした。
なので、ロペスとの初戦は驚きでした。
この試合は負傷判定でロペスが辛勝しましたが、アルバレス支持の声も多かったと思います。

WBA、WBCの統一戦だったことが、判定にに影響したとかしないとか...WBCの方だと思うんですが、何せ役員だか立会人だかが、採点の合計を書いたメモだけを残し、各ラウンドの内容を記入したスコアカードを鞄にしまい込んで、会場からトンズラこきよったって話もあり、中南米って凄いなあ、と呆れるやら感心するやら、という。

何しろ気の毒な話でした。ロペスを下していれば、それは歴史に特筆される金星だったでしょうから。
しかし、その同情する気持ちも、再戦における、意図的な体重超過で消し飛びましたが。
また、キャリア晩年にドーピング陽性が発覚したり、体重超過も、もう一回やってましたかね。
ロペス初戦のダウン奪取がなければ、ここに名前挙げるのもどうかな、と思います。まあ、強いことは強いんですが。


とりあえず動画、ロペス初戦と、再戦の最終回。再戦の方は、SHOWTIMEの30周年記念による、高画質のものがフルでもあります。
初戦の方は、ミステリ仕立て?ですね。










対するは現役、メイウェザーの連勝記録を超え、防衛も目出度く11度を数える、WBC王者ワンヘン・ミナヨーティン。

戴冠試合と初防衛は、YouTubeで探して見た覚えがあります。その後もちょこちょこ、最近は福原辰弥との二試合を見ました。
この福原との再戦が酷い終わり方で、ワンヘンの小さい傷から、ちょっとだけ血が出ると、負傷判定勝ちで防衛。
昔なら、詳しいことなど報じられずに終わったでしょうが、ネットを通じて、見ようと思えば世界中で見られるわけで、当然その悪評も広まっていることでしょう。

コロナウィルスの影響で、新たにGBPと契約しての米国進出も延期になっていますが、実力自体はないわけではないので「平場」に出ての闘いで、堂々と王者らしいところを見せてもらいたいものですね。

動画は短くまとまったものを。タイ語がわかれば、いろいろ検索出来るんでしょうが、無理です。すみません。






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高山勝成、私にとっては、今更多くを語る対象ではないというか。
何しろ、新人王戦に出ていたときから、数多くの試合を見た選手です。

小柄でパワーには欠けますが、リズミカルな動きで、左右に足を使い、攻防一体のボクシングを志向していて、新人王トーナメントの関西ブロックに好選手が揃っていた中、国重隆や楠浩明らを破り、全日本でも優勝。
その後も会場で、何度も試合を見ています。藤原工輔との試合も良かったなあ。

世界の舞台に上がるようになってからも、イーグルや新井田、ローマン・ゴンサレスにヌコナシティ・ジョイなど、強豪王者と悉く対戦し、遂に海外でのIBF王座奪取、WBO王者フランシスコ・ロドリゲスとの、敵地メキシコにおける名勝負など、勝ち負け以前に「こうでなくては」と納得感のあるキャリアを積み上げました。

ただ、これら歴戦の代償として負った瞼の傷が、現状、ボクサーとしての活動にどう影響するのか、心配なところではありますね。

動画はまとめたものが見つかったのでご紹介。
しかし、ロマゴン相手に臆せず挑んだ試合はもとより、南アフリカやメキシコで闘っている様子は、フルでも見る価値あり、だと思います。






ラストはイバン・カルデロン。米大陸中心の「ボクシング観」でいえば、近年の最軽量級ゾーンでは、この人が最高の選手ということで決まっているみたいですね。
小回りの利くサウスポーで、スピードがあって、好調時は鮮やかに外して当てて、という繰り返しで、まさに「妙技」やなあ、と思ったものです。
しかしライトフライに上げて以降、負傷判定が多くなったのは残念でした。

この頃の軽量級で、日本の選手と絡むことは一切なかったですね。
今は田中恒成がティト・アコスタと真っ向勝負をするくらいですから、時代はだんだん、良い方向に変わりつつある...と言うて言えんことはないんでしょうが。


動画はまとまったのがありましたので。
しかしウーゴ・カサレスは、本当に108ポンドに落ちてたんでしょうか...。







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さて、対戦を。やる前から結果はわかっている?
いえいえ、それはやってみないとわかりません(笑)。


ロペスvs新井田、クレバーな新井田が低い姿勢で仕掛ける側に回るが、ロペスの正確なワンツー、左右ダブルに打ち込まれる。ロペス。

イーグルvs大橋、強打対決だがイーグルが止まって打ち合う危険を察知、ワンツー中心の突き放しに切り換える。イーグル。

アルバレスvsワンヘン、ワンヘンが警戒して捌こうとするが、アルバレスがパワーで圧倒。アルバレス。

高山vsカルデロン、互いに手数とスピード全開も、カルデロンの正確さがまさる。カルデロン。


準決勝、これが事実上の決勝か、ロペスvsイーグル。頑健かつシャープなイーグルがロペスを苦しめるが、ロペスの長い左フック、アッパーをセットにしたダブル、そこから一気呵成に連打。ロペス。

アルバレスvsカルデロン、アルバレスの強打を、カルデロンの足捌きが単発に終わらせる。カルデロン。


決勝、ロペスvsカルデロン。速くてサウスポー、ロペスの苦手科目そのもののカルデロンだが、我慢して右リード、左ダブルで追い、攻勢でまさる。ロペス。


...やっぱりこうなりましたね(笑)



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ということで、出来心で始めたマガジン、オールタイムトーナメント追随企画(笑)も終わりです。
こちらにどしどし投稿してください。
拙ブログが多少なりとも、その参考になれたとしたら嬉しいです(^^)





コメント (3)
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