TVで生中継を見ておりました。簡単に感想。
初回、2回までは、斜に構えて右ジャブ、左ストレートを伸ばせる距離の時間帯が長く、
久保隼はまずまずのスタートを切ったかな、と見えました。
しかし2回途中から少し、3回からは目に見えて、ダニエル・ローマンがボディから攻め、
ねじ込むような右ショートを上に狙える距離に変わっていきました。
久保はこの距離でも左アッパーをボディに返すなどしていましたが、
近い距離での攻防において、力強さ、バランスの維持、攻め手の多彩さいずれも劣り、
これが続けば勝機は無い、とはっきりわかる展開を変えられませんでした。
時折左上下ともに好打はあったものの、それに倍する数を打たれ、
ボディから攻め上げられ、打たれっぱなし。
6回などは完全に捕まった印象で、7回、8回のダウンの際は、
いつセコンドがストップ要請するかなと思っていたら、何も無し。
9回、レフェリーが止めるまで、セコンドが続行させたことに驚くような展開でした。
久保は4月のセルメーニョ戦では、久保が苦手な接近戦を得意としないベテランに
序盤から良い距離で左を当て続けて勝利しましたが、今回は初防衛から上位のローマンであり、
しかも好戦的で、インファイトが強そうな相手とあって、踏み込まれたら不利、
いかに離れた距離を維持できるか、と見ていましたが、その甘い予測は、序盤で意味を失いました。
あの距離での攻防では、質・量ともに、はっきりと世界上位のローマンが上でした。
その差を補うために、長い距離での展開を長く続けたかったところですが、
今の久保の実力では、それがかなわなかった、というに尽きるのでしょう。
ベテランの技巧派、セルメーニョには勝てたが、若く世界上位のファイター、ローマンには敗れた。
今年、久保隼はそのキャリアにおいて、初の強敵相手に二試合を戦い、一勝一敗の戦績を残しました。
世界タイトルマッチとして、チャンピオンとして、という前提を抜きに見れば、
世界ランカークラスの相手に、チャレンジをして残したこの二試合の内容と結果が、
彼のキャリアにどういう意味を持つのか。それは彼の今後にかかっている、ということでしょう。
そう見れば、敗北自体は残念ですが、見るべきところのある一戦だったと言えるでしょう。
逆にいうと、世界云々と言うには、様々に不足もあった、ということですが、それはもう...。
それにしても、もうちょっと徹底して離れ、動き、突き放し、何ならクリンチやホールドでもして、
自分の良さを出すことに専念する、悪く言えばエゴを押し出した凡戦覚悟の闘いぶりでも良いのにな、
と思ったりもしました。
それを見て、楽しめるかというと違いますが、そのくらいの割り切りがあっていい立場、段階にあるのが
今の久保隼の現実ではなかったのかな、とも。
それが出来なかったのが、単に実力どう以前の、体調面などの問題なのかもしれない、という印象もありました。
実際、見るからにきつそうですものね、体つきなど見ると...。