さうぽんの拳闘見物日記

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拳闘見聞の日々。

闘う馬耳東風、リゴンドー「復活」の勝利

2020-03-03 12:05:39 | 海外ボクシング



昨夜はWOWOWエキサイトマッチで、ギジェルモ・リゴンドーvsリボリオ・ソリス戦を見ておりました。
出来れば生中継で見たいくらいのカードで、楽しみにしていた一戦でした。

昨年のフリオ・セハ戦では、ホンマに「どないしはったんですか」というくらい、足止めて打ち合って、時に打たれて打ち返し、とやっていたリゴンドーですが、今回、そういう「サービス」は初回3分間で打ち切り。
2回以降は、それまで通り、というか、本来の「馬耳東風」ぶりが完全に甦った、という試合ぶりでした。


相手の踏み込みと、打とうとする判断を、まるで予知するかのような、打つ判断そのものを止めさせる足捌き。
いざ打ってこられても、際どく外す。
時に打たれてもすぐ回復するタフネス。ダメージも最小限。
打ち返して効かせ、ダウンを奪っても「詰め」たりせず、また次の機会を探る構えに戻って、やり直し。
「その先」に進もう、なんて気はさらさらない。
その姿勢にブーイングが飛んでも、表情も変えず、淡々。

ある意味「リゴンドーが帰ってきた」という試合でした。何もそれを喜んでいるわけではないんですが...。


井上尚弥との対戦希望、という話が、どの程度実現性のある話かどうかわかりませんけど、単に勝ち負けの話をしたら、未だにかなりの難敵だと見えます。
年齢も39歳(もっと行ってる説もあるとかですが)118ポンドに落として、それでもほとんど違和感のようなものがない。
外されて、数少ないけどヒットもされて、悪く回る...というような「絵」の中に、井上尚弥が嵌まったきり、大人しく12ラウンズを過ごすとも思えない反面、攻略はなかなかの難事なのではないか、と。

ただ、勝つ時は凡戦でも平気、負ける時は「決着」の手前で、自分で勝敗を見切って棄権する、そんな「勝手」な相手と、何で闘わないかんのか、という意味では、井上に限らず誰にとっても、やり甲斐のない相手ではあります。
それもまた、以前と同じ、変わりなしです。

唯一「無敗」であるという売りも、ロマチェンコ戦によって崩れた今となっては、リゴンドーの「価値」は、大きく下落している、とも言えるでしょう。
井上という、軽量級ナンバーワンのスターボクサーとの対戦相手として、リゴンドーは興味深い対象ではあっても、待望される存在ではないでしょう。
それこそバンタム級の上位やタイトルホルダーを数人、連破してくるぐらいならともかく、やっと一試合だけでは、と。


それにしても、本人がどういう情緒でいるものか、本当によくわかりませんが...これだけプロとアマの競技性、その内実がお互いに「寄って」きている時代にあっても、これほど「馴染め」ないでいるボクサーというのも珍しい、と思います。
いずれ、誰に負けるというのでなく、時に負けるんだろう、と思いつつ、その才能と資質は、まだそういうところに行き着いてはいないようですし...。

井上との対戦がどうというのを抜きにしても、本当にこれからどうなるものか、興味深い存在ではあります。
その試合ぶりを見るのが楽しい、というわけでは全然ないのですが、なんかこう...「しげしげ」と見てしまう、というところですかね。





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6 コメント

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Unknown (アラフォーファン)
2020-03-03 19:29:00
こんばんは。
ネーミング見て、笑わせていただきました。素晴らしく的確。今回もソリスをぐらつかせて、部分的に「おお」と思ったら、すぐ収まる、でしたね。
ただでさえつまらない試合で干されたのに、ロマチェンコに負けて、完全に終わって、、、なかったんですね。
やれやれ。わざわざ尚弥様とやらせたいプロモーターいないでしょう。
リゴンドーは、違法常習犯のネリとなら、、これもダメですかね。
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コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2020-03-03 23:13:06
>アラフォーファンさん

リゴンドー「全部乗せ」の復活劇、というのも考えたんですが(笑)よりシンプルなので行こうと。
ほんまに、リゴンドーさんお手持ちの「演目」が、良いのも悪いのも含めて、全部見られた試合でした。
メインのラッセルとちょっと違うのは、試合ぶりがつまらないけど勝つ、巧いし強い、というだけではなく、負けるときに「ああいうこと」をしよる、というのがあるんですよね...自分より巧くて強い相手(今のところロマチェンコだけですが)とかち合ったとき、ああいう勝手な真似しよるんか、という。相手にとり、それこそやる意味がないでしょう、と。
ラッセルがサンタクルスやバルデス相手に色々言うのは聞けても、リゴンドーがもし井上をとやかく言うとしたら、それはちょっと聞けないですね。バンタム級でこの後、どういう活動をするつもりかは知りませんが、相当な実績を積んで、他の誰よりも抜きん出た「対立」候補になり、そうした不信を超越した何かを証してくれたら、話は違ってくるでしょうが。
まあ、ネリーは「それ以前」に色々とナニですけども。名前を出すのは、リゴンドーに失礼かもですね。


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Unknown (Neo)
2020-03-04 16:58:07
相変わらずのリゴさんでしたね。ソリス頑張ってましたが、リゴさんは頑張らない、みたいな。
しかしながら、年取っても落ちずにやれてるのは大したものですね。
リゴさん、オーソドックス相手の防御術は十重二十重といった感がありますので、井上尚弥とて簡単ではないと思います。対左ではロマチェンコが底を見させてくれましたので、対右の強い選手ではどうなのか見てみたい気持ちもあります。
しかしながらご指摘の通り井上尚弥にメリットが少ないですし、試合となるとビジネスとして成立するのか?と思いますね。
自閉症の息子さんのために頑張っているそうですが…いろいろと不思議な存在ですね。
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コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2020-03-06 05:13:58
>Neoさん

頑張る、という表現でいくと、頑張るポイントが違うんでしょうね...で、その「ポイント」が、我々傍目の観客とも決定的に違うというか。ただ、仰る通り、年齢を考えると驚異です。
強い右の相手、となると、ドネアということになるんでしょうが、考えたら今回もセハ戦も、そしてドネア戦も、共通して初回は足止めてますね。詰めた間合いでの攻防に応じた、という丁寧な言い方で良いのはドネア戦で、セハ、ソリス相手にはけっこう打たれてますが。問題というか、衰えとして語りうるのは唯一、この辺の違いかも知れませんね。
しかし今回、初回が悪かった後、セハ戦とは全く違って「元通り」でした。今後もこの感じなら、捉える好機は初回にこそあり、かもしれません。井上戦はすぐにとは行かないでしょうが、それまでどういう活動をするものかですね。


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Unknown (Neo)
2020-03-06 21:08:57
リゴンドー・ドネア戦のポストファイトや振り返りで、共通認識として互いに非常に優秀だったこと、そして表現は違いましたがともにドネアの戦術ミスを挙げていましたね。
ドネアの左肩の負傷を含めてもドネアからの仕掛けに乏しい試合でした。例えばシドレンコ戦時のドネアくらい仕掛ける事が出来たら、またボディ含め攻撃を散らせたら、とは当時思ったものです。
歳月を経て井上尚弥という逸材が出てきました。当時思った条件を満たしつつ、ドネアよりクレバーな選手。やはりビジネス抜きで考えると、vsリゴンドーは気になりますね。
対右には「絶対」のリゴンドーの稲妻の様な左カウンター、それを多彩な強打とクレバーな頭脳で封じ込める事が出来るのか、出来ないのか。妄想が止まらないです笑
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コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2020-03-08 16:04:37
>Neoさん

ドネアは後年、この頃は心身共に良い状態ではなかったと述懐してましたね。当時、見た感じでは、そんな印象はなかったですが...。リゴンドーを軸に、新たなドネア、という見方で井上を見れば、違った趣がありますね。
井上によるリゴンドー攻略は、まずは初回、狙うことでしょうか。もし出方が違ったものならば、左ストレートからいかに遠ざかるか、外すかでしょうね。距離を慎重に取り、それでも打ってくるのをどう外すか。そういう姿勢でいながら、右ダイレクトの強打で急襲出来るか。ナルバエス戦のときとは、右拳の状態が違うでしょうから、それが無理なら左サイドに食いついて...とやれるか。確かに色々考えると楽しいですね(笑)
でも、実際には当面ないでしょうから...というか、目の前の試合も危ぶまれているんで、まずそっちが心配です。ハァ。

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