さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

Who's Next? 彼がその答えだ 小林豪己、無敗エコを4回TKO

2023-05-08 00:07:33 | 関東ボクシング




ということで土曜日のU-NEXT、ダイナミックグローブ配信についての感想です。


デビュー2戦目で既に経験済みの後楽園ホールに、タイトルホルダーとしては初の登場となった小林豪己。
この試合で、ミニマム級国内トップシーンに相応しい、そのタレントを披露してほしい、と期待していましたが、期待どおりの試合だったと思います。


初回始まって25秒くらいまで、10戦全勝というフィリピンの若手、ロスラン・エコの先制攻撃に受け身となり、一発良いのをもらった?小林ですが、すぐ相手の右パンチの下を通す左ボディを突き刺し、流れを止める。

そこからはコンパクトな振りの右クロス、左ボディを決めていき、ペース掌握。
2回は右ストレート、クロスを鋭く飛ばす。肩のスナップを使って打つ右ストレートは、打ち出しも打ち終わりもコンパクト。

対するエコは若手の段階とはいえ、負け知らずの果敢さ、自信がパンチの振りにも出ていて、小林のボディに合わせて打ち返す場面も。
しかし小林、右ショートから返しの左フックを決めて、ぐらつかせる。エコ、果敢に打ち返してはいるが、その後小林のジャブでふらつき、自分の左フック空振りでよろめく。

3回からはワンサイド。右ストレート、左右ボディ、ジャブで突き放して左ボディ。
小林は右フック、次はショートストレートと微妙に打ち分ける。元気の良かったエコが打たれ続け、後退一方に。
KOは時間の問題と見えたが、4回、右ボディで後退させ、さらに攻めようとしたところで、比国コーナーが棄権の意志表示をしたようで、TKOとなりました。

試合後、コーナーに座ったエコ、うがいの水を漏斗に吐こうとして、その前に口からこぼしてしまう様子が映っていました。
ボディのダメージでは無く、アゴに異常があって棄権したのかも、ということですが、その通りなのかもしれません。



小林豪己、WBOアジアパシフィック王座の初防衛となりました。
この選手が最強の挑戦者ということではないはずで、無敗同士とはいえ若手対決、という見方で良いとは思いますが、しかし自信を持って果敢に攻めてくる相手を、上下ともに鋭く正確なパンチで打ち込んで食い止め、失速させていく様は、強烈な印象を残しました。

関西リングでは既に、ボディブローを多用する、ミニマム級とは思えない倒し屋として知られていましたが、全国区でも名前が知られるための第一歩を、良い形で踏み出したといえるでしょう。


U-NEXTに移ったダイナミックグローブは、番組タイトルに Who's Next と銘打って、次代を担う選手をこの番組から輩出する、というテーマを掲げている(はず)ですが、第一回の永田丈晶に続いて、二回目はこの小林豪己がその「答え」として、存在をアピールしました。

今後は、早々に初防衛戦が決まったという日本チャンピオン高田勇仁と、世界への出世争いが楽しみです。
今は若干、カードの弱さが言われるダイナミックグローブですが、徐々に好カードを構成しうる選手が排出されていくことでしょうし、その際には、放送配信の垣根を越えたマッチメイクにも期待ですね。




メインの山中竜也は、安藤教祐からダウンを奪って大差の勝利。
最終回だけ、ちょっと攻め込まれましたが、それ以外はグローブを上下に揺らしてリズムを刻み、巧みにジャブを当てて行くボクシングで、安藤の機先を制し続け、ポイントを積み重ねていきました。

要所で追撃の右、ワンツーも決まっていましたが、これは防御動作への移行を優先したフォームで、打ち込み自体は浅く、KOパンチとはならず。
この辺は課題というか、不足ではあります。もっと強い相手、上位と闘うときは、この「設定」が正解なのかもしれませんが。

実際、日本ランクでは4位と5位の対決だったわけで、山中が世界をと言うなら、そのような試合で結果を出さなければなりません。
今回の試合が、国内ないしは東洋圏内で、挑戦的マッチメイクが行われる「ため」の足がかりを得た、という見方が後に出来る試合だったのか。
今後に注目したいと思います。



帝拳ジムのB級デビュー勢はふたり出場、揃って8回判定勝ち。
どちらもアマチュア歴があり、こなれたボクシングをしたり、コンビネーションが速かったりと、良さは出ていました。
しかし、フィリピンのやる気がある選手相手だと、好きに打ちまくって倒すとは行かず。

タイの噛ませさんではないものの、階級も下に見える相手で、さりとて強豪というわけでもない。しかし、普通にやる気があって打ち返しては来る。
当たり前のことなんですが、その当たり前に、けっこう苦しんでいるなあ、と見えました。
まあ、色々と言いたい気持ちもなくはないですが...こういう試合を経て、どれだけ力を付けられるか、その過程を見ているのだろう、と思うことにします。



第一試合は水戸黄門の「格さん」役で知られる伊吹吾郎さんの孫、という選手が登場。
ミドル級の新人王戦でしたが、両足を左右に広げたスタンス?のまま、重心を前に倒して突っかかりながら打つ、という、昭和の喧嘩ボクシング。
ビックリしました。今時、まだこんな選手いるんやなあ、と。
2回TKO勝ちでしたが、こちらは先がどうというより無茶やなあ、と。重いクラスですし、何かを思うより先に「心配」でした。


コメント (5)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« いみじくも見えた「スルタン... | トップ | 行方不明のSバンタム、タイ... »
最新の画像もっと見る

5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (hiro)
2023-05-08 22:41:37
Who's Next、次は誰だ?という視点での番組作りは魅力的ですね。来月は、大橋ジムの保田克也選手がメインとのことで、フジテレビなどとの絡みがありそうなのにと少々驚きました。人材交流が進んでくれることには期待致します。あとは、育った人材の、大きな場での試合の場をもU-NEXTが設けられるかですが…。

「東京で見られる関西のボクシング」といった感じで、ある意味新鮮にも見ることができました。小林剛己選手、トランクスにも名前が入っていますが、RISEアトム級のトップランカーである「倒す以外ほんま興味ない」小林愛理奈選手のお兄さんなんですね。女子きっての強打者である彼女は、『練習から倒す意識でやれ、ヘッドギアの上からでも倒す意識でやれ』とプロボクサーのお兄さんからアドバイスを受けているというインタビューを読んだことがありましたが、まさかそのお兄さんが小林剛己選手だったとは知らなかったので驚きましたが凄く納得しました(笑)。メインの山中選手といい、兄妹で活躍している選手の揃い踏みでもあったのだなあと。
返信する
Unknown (hiro)
2023-05-08 23:04:11
しかしこれ、見直して気付きましたが小林選手の試合は10回戦なんですね。同じWBO-APのタイトルマッチなのに、なんでメインが12回戦でセミが10回戦なのか、視聴者にちゃんと説明しないとあかんのではないかと…。いやもう今更なのですが。
返信する
コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2023-05-09 15:14:19
>hiroさん

掲げるテーマとしては良いものですね。同感です。問題は実際にそのような流れを生み出せるものになるかどうか、ですが。
保田克也ですか...今回の相手がよくわかりませんし、見てみないと、というところですね。人材交流にも色々あって「ご都合」に過ぎないものがほとんどでしょうが、今後前向きなものがあると、一応期待はしています。一応、ですけど...。
今回の神戸興行in後楽園ホール、という趣を、そのように前向きに捉えてくださる向きは、残念ながら少数派でしょうね。客入りが如実にそれを現していたような。残念ですが。山中竜也の相手に、せめてエスネス・ドミンゴのような選手を持ってくるくらいの「センス」が欲しいところです。小林豪己にもそのような妹さんがいるんですか。さすがに実況も触れていませんでしたね。教えてあげてください(笑)。ラウンド数については、もう勝手にしなはれ、というところです。試合の内実を見て、小林がフィリピンの、無敗の若手を下した、という意味があるものだったので、それ以外は基本、どうでもよろしいわ、という構えです(笑)。
返信する
Unknown (hiro)
2023-05-10 10:55:08
どもどもです。後楽園ホールに集まった方の中で、関西圏でもボクシングをやっていることを知っている人、そしてそれに興味を抱く人は……まあ、客入りに表れていますね(苦笑)。昨日の興行もですが。この日は裏番組で、有明アリーナでRIZINがありましたが、動員力の高いエース不在でも実力派同士のカードで超満員になっており、色々と思う所もありました。那須川天心選手が観客席にいるのが映し出されていましたが、どう思ったのかしら(ダイナミックグローブに行きなさいなという突っ込みは置いておいて(笑)。

小林豪己の妹さん、家族の応援で映った時に実況さんが一言だけ触れてて偉いなーと思いました(笑)。いや、解説が「K-1での活躍見てましたよ」とか言わなくて良かったですが(汗)。妹の小林愛理奈選手が2020年デビューと、兄より先にデビューしているので、はじめは兄妹と気付かなかったのでした。いやしかし、同じ血が流れていると感じさせられる選手なのですよ。

次回のダイナミックグローブ、Who's Nestは意外と保田選手の相手たるアピチェット・ペッチマネー選手かなと思っています。タイのトップアマで、WSBを経て28歳で2018年にプロ転向、クリス・ジョンやロマチェンコと戦ったチョンラタン・ピリャピニョを2度下しているタイのTVマッチの人気選手で、未だ無敗。33歳の年齢があり、勝負をかけないといけないとは言え、コロナ禍でも自国内でコンスタントに試合している人気選手が日本に来るとは想定していませんでした。ちなみに、保田選手からダウンを奪ったクライ・セッタポン選手にも9戦目で勝利しています。これ、油断しているとババ引いたことになりかねないかなと・・・。
返信する
コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2023-05-12 16:27:59
>hiroさん

まあさすがに、関西でもボクシングやってるの?なんて人はおらんと信じたいですが(泣)。まあ、普通の感覚で下に見ている人は実際にいますね。ネットで見るのみならず、この目で何人も見ました。今は仕方ないにしても、関西に好選手が増え、チャンピオンも多かった時期でもそうでしたから、今はとなると、推して知るべし、でしょうね。私がホールで直に試合を見られるようになってから、もう四半世紀近いですが、確かに試合や選手毎に、このレベルは凄い、と思うことはあっても、全体的に見たら、そない見下ろされないかんほど、後楽園でやっているボクシングが立派なものか、というのが、全体的な印象ですね。
RIZINはまあ、ボクシングとは選手の集約の仕方など、あれこれ違いますからナニですが、地味目でも有明アリーナが埋まるというのは大したものですね。
小林の妹さん、実況が触れてましたか。失礼しました。
アピチェット、という選手、全然知りませんでしたがえらい経歴ですね。チョンラタンに二勝というのは、ライト級ならばまあ、と思えても、WSBに出てたというのは、ちょっと聞き捨てならんですね。いやはや...年齢のことが唯一引っかかりますが、時間が無いし、世界へ向けてアジアパシフィックを本気で獲りに来るとしたら、これは大変かもしれませんね。いや、情報感謝です。これは要注目ですね。
返信する

コメントを投稿

関東ボクシング」カテゴリの最新記事