さうぽんの拳闘見物日記

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拳闘見聞の日々。

自分を曲げずに、変えずに闘い、敗れる 赤穂亮、タイでKO負け

2015-08-07 19:37:02 | タイ国ボクシング



今日の夕刻、ネットで生中継を見ることが出来ました。
タイで行われたWBOバンタム級タイトルマッチは、元王者プンルアン・ソーシンユーが、
日本の赤穂亮を2回ノックアウト。二度目の王座獲得となりました。


初回、やはり地元のプンルアンが好調で、鋭いジャブ、ワンツーを繰り出す。
赤穂はすかさず左ボディ、右クロス。間を置かず打ち返そうという姿勢は良し。
しかしこれまでの試合と同じく、相手と間を詰めて闘うわりにはガードが低く、開き気味。

初回の半ばからか、徐々にラフな展開。赤穂は打ったあと、接近戦で防御の手立てがないので
お決まりのようにクリンチに行くが、これはプンルアンが一枚上手。
赤穂のバランスを崩したり、ラビットパンチを打ったり。赤穂には良いことがない。
しまいには投げられてしまう。この直後にゴング。

2回、映像が映った時点でレフェリーが両者のグローブを拭いている。何かあったのか。
プンルアンが連打、後頭部にもパンチが入る。赤穂は左ボディを突き刺す。
しかしプンルアンが出て、ロープ際で揉み合い、両者もつれてコーナーへ。

後に、スロー映像を見ると、赤穂の肩の上からプンルアンが左の肘打ちを決めているように見える。
これで赤穂がロープに腰を落としたところにプンルアンが連打、右がまともに決まって赤穂ダウン。
あの状態で打たれては、とても立てない。そのままKOとなりました。


客観的に見ても、非常に問題のある試合でした。
試合が長引けば注意くらいはしたかもしれませんが、プンルアンのラビットパンチは野放しで、
最後の一連の攻撃も、かなり悪質な反則だったように見えます。


敵地、しかもタイだから、というのは、従来の古い常識論ではあるでしょう。
こういう、ドサクサに巻き込まれた時点で負けだ、という見解があることも理解はします。

しかし、いつまでもそういうことでいいんですかね、という気持ちも、一方ではあります。
軽量級では、一定数の世界戦が開催されるマーケットであるタイですが、昔から今にいたるまで、
ちょっと度を超した酷い話が、リングの上でも外でも、頻繁に見え、聞こえてきます。

最近もアムナットvsカシメロ戦は、見た人の間で、かなりの「評判」を取っていました。
この試合をダン・ラファエルがネットで視聴して、そうとう厳しい批判をしたらしいですが、
井上尚弥や田中恒成の好ファイトが、Youtubeで広く見知られたのと同様、こうしたタイの現状もまた、
これからは広く世界に知られ、厳しい批評にさらされるべきでしょう。
もっとも、そういう時代はもう、すぐそこに来ているのかも知れませんが。



敗れた赤穂亮ですが、その闘いぶりは、今までの彼の流儀そのまま、という感じでした。
相手と正対して、近い距離から、突き立てるようなパンチを上下に飛ばし、ぐいぐい攻める。
技術的に言えば若干無謀にも見える、まして世界王者経験者、今までの相手と違い、簡単に下がってはくれない。
しかしそれを承知で打つ。逆に打たれる可能性が、五分かそれ以上であっても、攻めて行く。

相手の老獪さ...というか、地元である前提を勘案しての卑怯さに、まんまとしてやられた感のある、
何とも苦い敗北を見てなお、赤穂亮は変わらず、彼自身だった。そんな印象も残りました。
彼の試合をこれまで何度か見て、いずれ彼の流儀が通らない時が、何らかの形で訪れるだろう、と
ある程度想像はしていました。そして、今日の試合が、その時だったのでしょう。

ただ、出来るならもう少し、真っ当な場所での、真っ当な相手との試合であったらな、と。
それが何より、残念に思えました。
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6 コメント

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Unknown (R35ファン)
2015-08-07 22:36:03
赤穂君については、期待されていた分、今回の件に同情する声より、厳しい声が多い気がします。タイでの試合は以前からムエタイまがいのせこい技や不当な扱いが多いですが、それより赤穂君が変わったと言われていたわりにはただの無謀無策な喧嘩上等ボクシングを無謀に挑み、その報いを受けた感もあります。前回より機は熟した時期でのこの負けはあまりに大きい。山中チャンピオンが偉大であるゆえ、なかなか他団体王者の小粒感が否めませんがこんなやつら(特に今回のプンアルンなどまさにそうですが)を地元開催の利でのさばらせてほしくないです。
Unknown (hiro)
2015-08-07 22:55:12
赤穂選手、昨年の横浜国際プールで見た時には、冷静なボクシングが出来るように進化しつつあるように見えたのですが、何よりも其処が残念でした。
Unknown (武衛)
2015-08-08 18:58:46
岩佐・赤穂揃って見せ場なく討死という最悪な結果に終わってしまいましたね。プンルアンのラビットパンチ云々以前に、本当のアウェーで戦う気構えも備えも何もなかったというのが正直な感想です。よりによってタイ人相手にクリンチ多用して首相撲誘発するとか、好きなように甚振ってくださいと言っているようにしか思えません。陣営の心の中では、三男如きにKOされるような奴に負ける訳がない、という気持ちでもあったのでしょうか。ベルトを取り返そうと遮二無二になったプンルアンとは、そもそも本気度からして違っているように見えました。本気で世界を獲りたいなら、帝拳に頭下げてでもタイ開催だけは避けるべきだった。もっとも、日本開催でも私は普通にKOされて負けていたと見ますが。

この二人、結局の所は東洋レベルまでならどうにかなっても、本当の意味での世界王者候補ではなかったという事でしょう。自分にとって都合のいい展開にならねば、強者相手には何も出来ずに終わってしまう。酷な言い方ですが、今の彼らはその程度のボクサーでしかない。バンタム級トップコンテンダーと名乗る資格すらない存在でしかなかった。その事実を確認した後に、この二人は日本開催でなら容易く世界取れるという過去のボクシング関係者の言説を見ると、溜め息が出て来ます。

タイという『国柄』については……例え世界で広くその蛮行が知られるようになったとしても、決して変わる事はないでしょう。現実的にタイを国際市場から締め出す力も法的権利も、四つの団体には存在しないですからね。日本含む海外勢が断固としてタイ開催を回避する流れになって、結果としてタイが損失を被る事はあると思いますが……。
コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2015-08-08 20:39:26
>R35ファンさん、hiroさん、武衛さん

私はこの試合、というか赤穂亮というボクサーに対して、その他の、普通に世界王座獲得を期待される選手とはまた別の見方をしていました。彼のボクシングの作り自体が、そもそも打たれる可能性、危険を承知の上で打っていく、という行為の繰り返しであり、なおかつ接近した位置での打ち終わりの後、防御の技術を持たないのでクリンチ、揉み合い以外に出来ることがない、歪なものでした。打っていって相手が下がり、倒れれば良いが、相手が世界上位になったときどうなるか。その答えが今回の試合だったのかどうかは、ちょっと微妙な印象もありますが。

今回の試合、単に勝てるかどうかの話をすれば、もちろん勝って欲しいという願望はありました。日本での挑戦であれば勝機はあるだろうとも。しかしタイでの開催であれば、とてもそういう予想は出来ませんでした。
それは赤穂が、彼の過去の闘い方自体を変えられず、正面から低いガードのまま打っていくのは間違いない、その結果、プンルアンの耐久力が限界を越えるよりも、赤穂が致命的なダメージを受ける方が先だろう、としか想像できなかったからです。

そして、善し悪し以前に、それが赤穂亮の闘い方であり、それ自体を魅力的というのではないですが、何というか、こういう闘い方、さらにいうなら生き方もあるんだな、という気持ちで見ていました。「評」の言葉とはまた別に、いかにも今時ではない、こういう選手もいるのだなと。

世界挑戦者としての質の不足、というのは、武衛さんの仰るとおりだろうとは思います。バンタム級コンテンダーとしての実績や実情もまた、残念ながら不足がありました。岩佐、赤穂といったところが、別々に世界挑戦をしている時点で、甘い、と言われて仕方が無いでしょうね。さらに言うなら、ツニャカオやロリー松下との試合も経ずに、何故世界ランキングの上位に進出できているのか、ということも。
Unknown (hiro)
2015-08-10 14:07:24
赤穂選手の試合、動画で再確認することができました。鮮明な映像を見れば、また違った印象があるのかも知れませんが、プンルアンのみがダーティという印象にはこの試合を見て思えなかったです。

体格に勝る赤穂選手が、パンチを打ったまま強引なクリンチ。そのままロープへと押し込み、対戦相手の体力を削ろうとする。国内なら押し通せるその行為に対する対戦相手の対処法が、タイでは異なった、そう思えました。ラフな行為をしてくる赤穂選手への「制裁」としての後頭部への打撃のレベルが、それでも同じ行為を繰り返してくる赤穂選手相手にどんどん高くなっていったように感じました。

ムエタイで、対戦相手が反則をしてきた場合には、反則なんかしたくなくなるように、もっと荒い反則行為で制裁しろという不文律があります。かつてK-1にも出たチャンプア・ゲッソンリット選手は、対戦相手のタシス・トスカ・ペドリチェス選手が故意と見えるローブローをした時に、氷のような目で何発も金的への膝連打を見舞っていました。そんなムエタイでは、膝蹴り以外のローブローは休憩時間を取るものの、回復できなかった場合はTKO負けとなります。反則を避けられなかった時点で、「技術がなかった。レフェリーがいなければ身を守れない者は戦士ではない」とされるわけです。

そうした考えが、常に正しいものであるとは思いません。しかし、そうした文化を持つ国で戦う際の意識をもっと持っておくべきではなかったか、そんなことを考えてしまいます。




コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2015-08-10 19:01:52
>hiroさん

なるほど、ムエタイの土壌も含めた考察、興味深いですね。ボクシングにおいても、目には目を、の意識付けは必要でしょうね。その試合のロケーションを充分、勘案した上で、ですが。
赤穂は普段、あのインファイトにおける防御技術の欠損をクリンチで補う、という闘い方を、主に後楽園ホールのレフェリーたちに許容されている選手ですから、その感覚でタイのリングに上がって、結果があの展開での敗戦というのは、色々考えねばならない部分がありそうです。いずれにせよ、あの相手に対するクリンチの展開は、何一つ赤穂を利することはなかったですね。

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