さうぽんの拳闘見物日記

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拳闘見聞の日々。

フェザー級のみ、別世界の緊迫 新人王西軍代表決定戦2019観戦記

2019-11-11 07:33:30 | 新人王戦




ということで、遙かなりさいたまスーパーアリーナから戻って3日後、府立の地下で観戦してきました。
超大箱の二階から、ナニワの小箱のリングサイドに席を変え、あまりの距離感の違いに目も眩む思いでした。

...やっぱりお前はホンマのアホやな、という率直なご意見は、謹んでお受けいたします。
結果はこちらの記事にも。以下、簡単に経過と、ちょっとだけ感想です。



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ミニマム級は、丁野拓海(中日)が2-0判定勝ち。

立ち上がり、丁野が仕掛け、初田翔(寝屋川石田)が左突き返す。
初田が左を出していると試合が落ち着くが、続かないのでやや荒れ気味の打ち合い。
初田は右カウンターが単発で好打するが、丁野の仕掛けに巻き込まれた感もあり。



ライトフライ級は、表祥(SFマキ)が3-0判定勝ち。

表が右クロスで先手を取り、田中蓮志(トコナメ)もシャープな左、ボディ打ち。
2回、田中のスリーパンチが出るが、表がより重みのある右でダウンを奪う。
3回、田中バランスが少し乱れ、顔が前に出ている。しかし左ボディを続けてヒット。
4回も田中が捨てパンチを使って左ボディ狙い。

なかなかの熱戦でしたが、採点はいずれも2回のダウンの分だけ表を支持。



フライ級は中村淳希(市野)が2-1判定勝ち。

長身の中村、自ら寄っていく感じで神崎靖浩(倉敷守安)を攻める。
2回、押され気味だった神崎の右が決まり、中村一瞬ぐらつく。
3回、中村少し右足が滑るような動作、数回。ダメージある?神崎右クロスヒット。
しかし踏ん張り、4回は手数、ヒットでまさる。積極性、手数が支持された内容。



スーパーフライ級は岩崎圭祐(オール)が2-1判定勝ち。

5勝5KOの28歳、長嶺竜久(平仲BS)がじりじり出るが、岩崎が当てて動く流れ。
2回、長嶺のボディが入ると、岩崎少し口が開く。きつそうだが動きは止めない。
3回以降、長嶺はワンツーの「ツー」をボディへ送る攻撃。
岩崎は右ダイレクトを決めて対抗。
4回、長嶺の右から左の返しで岩崎ダウン。決定打かと思ったが、岩崎前に出て保たせ、しのぐ。

判定は長嶺のボディ攻撃への評価が低かった、と見るしかないもの。正直、意外。
この日の試合は、ほとんどが4回戦だったが、この試合などはもう1ラウンド欲しかった、と思うところ。



バンタム級は中西寛多郎(HKスポーツ)が2-0判定勝ち。

わずか2戦、1勝1分という中西だが、森田翔大(森岡)の仕掛けるビジーファイトに動じず、威力のある右から左の返しを見せる。
大きくステップを踏み、積極的に仕掛けるのが持ち味の森田だが、2回中西の右で効かされる。出血もあり。
3回は森田が果敢に攻める。4回、森田右ダイレクト、中西左で捌くような時間帯も。
接戦と見たが、中西のパワーと正確さが評価されたか。中西はキャリアこそ浅いが、面白い素材。



スーパーバンタム級、この階級のみ5回戦。
津川龍也(ミツキ)が初回TKO勝ち。

初回早々、良い体格の津川、朝倉豊(博多協栄)の側頭部に右を決め、朝倉膝をつくが、スリップの裁定。
しかし津川追撃、アッパーで崩し、コーナーに追って右、レフェリー止めてTKO。
津川はMVP受賞。初回で倒したから、というなら安易な選考ですが、攻め口がなかなか良かったので、これは妥当かと。



フェザー級は前田稔輝(グリーンツダ)が3-0判定勝ち。

日本拳法から転じて2勝2KO、サウスポー前田と、4勝4KOの福永輝(沖縄ワールドリング)の対戦。
互いに攻撃力を秘める者同士、試合が始まって対峙すると、それまでの試合とはレベルが違う緊迫感。

初回、両者警戒し合い、手数は少ないが、張り詰めた空気。
前田が速い左でその空気を破る。単にハンドスピードがあるだけでなく、打ち出す判断のタイミング自体が速い。
福永は低い姿勢でじりじり出て、右から入るが、前田は左へステップを切り、右肩の後ろへと外す。

2回、福永出て、ロープを背負った前田に連打。しかし前田、敏捷に外す。
前田、左ストレートを胸の辺りに。ジャブ、左ショート、強く打ち込めないが、速いヒット。

3回も同様。4回、福永の左フックが浅く当たる。前田左ヒット。
福永迫るが、前田空振りさせて、福永がスリップする場面も。

4回では短すぎる、新人同士としては緊迫した内容だったが、ヒットをほとんど許さなかった前田の勝利。技能賞受賞、納得。
攻撃力だけでなく、防御にも非凡さを見せた前田だが、ロープを背負い、コーナー近くに下がり、という「位置取り」は感心しない。
その位置で外せる自信があるのでしょうが、今後相手が変わったとき、損なことが増える。改善の余地あり。



スーパーフェザー級は、岩崎淳史(フジタ)が三者三様の引き分けながら、優勢点を得て、全日本進出。

岸田聖羅(千里馬神戸)が左から攻めるが、2回くらいから、固かった印象の岩崎、動きがほぐれてくる。
3回、共に長身の両者が右クロス、左ボディなど、似たパンチを応酬する。
4回、岸田の右クロスが決まり、岩崎がクリンチするが、岩崎が前進してボディ連打で押し返す。

「割れるかも」と思ったらその通りの採点。優勢点云々については、何もよう言いませんが。



ライト級、藤田健介(千里馬神戸)が不戦勝。二熊亮成(平仲BS)の棄権による。



スーパーライト級、藤田裕崇(名古屋大橋)が2回TKO勝ち。

30歳のサウスポー、髙橋拓也(寝屋川石田)が足使って右から左、当てて回る。
藤田、初回最後に右一発だけ。しかしパワーでまさる藤田、スイッチして攻める。
2回、高橋が軽い連打をヒットするが、藤田がサウスポースタンスに変え、右から左、高橋ダウン。
またスイッチして追撃、右フックを決めて高橋ダウン。TKO宣告と同時にタオルが入りました。

これで5勝5KOとなった藤田は敢闘賞受賞。なかなかの強打者でした。



ウエルター級は安井誉(森岡)が初回TKO勝ち。

初回、長身、リーチのある能嶋宏弥(薬師寺)が、懐深く構えるが、安井が右フックヒット、ロープへ追い、能嶋バランス崩す。
レフェリー、ダウンは取らず続行。安井が左右をヒット、能嶋が体勢崩し、もつれているところでレフェリーストップ。



ミドル級は国本泰幸(金沢)が3-0判定勝ち。

国本がワンツーから当てて行く。新山十士(広島三栄)は2回、連打で攻め込み、国本がスリップする場面も作る。
しかし3回以降、国本が丁寧に足を使ってヒットを重ね、リードを広げて勝利。



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ということで、お目当てのフェザー級、前田稔輝の試合、西日本決勝では相手の棄権で見られませんでしたが、今回は無事、見ることが出来ました。
相手もなかなか強い選手だったこともあり、思うように攻撃力を発揮出来ませんでしたが、その代わりに防御のセンスが良いこと、強打出来ずとも軽打を当てて、無闇に打ちたがる愚を犯さず、冷静に闘えることなど、新たな良さを見ることができた試合でした。

反面、まあ当たり前ですが、自分の立ち位置を俯瞰して見る、というところまでは行っていないところも見えました。
相手の力量もあったでしょうが、あまりに安易に、危ないところに追われてしまう。或いは、自ら足を運んでしまう。
その度合いが、ちょっと高すぎるようにも感じられました。まあ、贅沢すぎる注文だとわかってはいますが。


それ以外の全体的な印象としては、全体的に、まずまずのレベルで均一化してきているように。
この階級はちょっといただけんなあ、というような試合はなく、当然、各地域を勝ち上がってきた選手同士の試合でもあり、接戦、熱戦が多く見られました。
反面、突出した好選手が大勢居る、とも言えないわけですが。

今年の東の様子は、まだチェックしていないのですが、ここ最近のように、五分五分くらいで収まってくれたら良いなあ、と思っています。
G+の生中継、ありがたく拝見することといたします。



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そんなことで、一曲。
Bruce Springsteen “Blinded by the Light” です。





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