さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

試合後が一番盛り上がった ブローナー、転級初戦に勝利

2013-06-23 14:46:06 | 海外ボクシング

あれこれと話題はあったのですが、取り上げるにはもうひとつ、思うところが薄いかな、
なんてことばかり思っていたら、あっという間に更新が滞っておりました。
相も変わらず怠惰な自分に嫌気がさしますが、またぼちぼちやっていきます。


ということで今日は有難いWOWOW生中継の日(^^)
このカードを生中継とは、嬉しい反面、ちょっと意外にも思いましたが。

以前うだうだと書いたとおり、一段飛ばしでウェルター級に転じる
エイドリアン・ブローナーが、ウェルターとしては小柄でパンチ力に欠けるが
抜群のスピードと闘志を持つポール・マリナッジに挑む一戦。

ボクシングのブログをやっている身で、あまりこんなことばかり言ってちゃいかんのかもですが、
この組み合わせ、結果知ってて見るには、ちょっと退屈かも、と思っていたりしました。
そういう意味で、生中継は大歓迎でした。


ぱっと見た感じ、体格的にはマリナッジと同じくらいか、やや大きく見えたブローナー、
メイウェザーの模造品、と言うべきがどうかは置いて、相変わらずの巧さと勘の良さでした。

頭を後ろに引き、上半身は角度を変えて構え、手を下げる選手がこの世で一番怖れる
死角からの左フックを、相手に打たせない、打とうと思わせないための?独特の防御スタイル。
そこから相手の打ち終わりを狙う、当て際で爆ぜるような右ストレート、前に伸びる右アッパー、
引っかけが効いた左フック。
これらがマリナッジを終始脅かしてはいましたが、マリナッジの闘志と、階級の壁?に阻まれ、
やはり、ライト級までのような、鮮やかなノックアウトとはなりませんでした。

ポール・マリナッジは、闘志と才気にあふれるスピードスターですが、
「ボクシングの神は、彼にたったひとつ、パンチ力だけを与えなかった」という類の選手です。
体格面でも、ライト級上がりのブローナーに劣るくらいでしたが、持ち味を出して善戦、
予想不利の試合をスプリットまで持ち込みました。


全体として、やっぱりこんな感じか、という気持ちが先に立った、というのが正直なところでした。
ブローナーの才能、マリナッジの健闘、試合後の意地の張り合いなども含めて、
見どころはもちろんあったのですけど、その反面、ウェルターで一番小柄でパンチのない相手と
このくらいの試合をするよりも、群雄割拠の140ポンドクラスの強敵たちと闘うべきじゃないのか、
という思いが先に来ますね。

今後、ウェルターでどのような相手と、どんな試合が出来るのかわかりませんが、
これだけの才能と、独特のスタイルを持つ凄い選手だと思うからこそ、
現時点では、このウェルター級転向には、あまり意味を感じません。

また、今後、新たな「意味」が見出せるようなカードも、あるようなないような...
本人が「メイウェザーとは戦わない」と言っているのが本当になら、ますます、ですね。


メイウェザーに匹敵するか、或はそれ以上?とさえ思える才能を、
相手との距離をはぐらかす頻度が低い、密度の濃い攻防、展開の中で、存分に見せつけていた
ライト級までのブローナーには、心底驚嘆、感嘆、何と凄い選手か、と思ってばかりいました。

しかし彼もまた、メイウェザーらと同じように、ビジネス主導?の流れに乗って、
その結果、ボクシングの密度を薄めるような道へ進むのか、と、少々残念に思っています。
彼の今後の試合ぶりが、私のそうした思いを「早計だった」と思い直させてくれるものに
なってくれればいいのですが。


それにしても試合後、えらく盛り上がってましたね。試合後に盛り上がってどうする、って話ですが。
判定については、115-113でブローナー、と見ました。
しかし、見方によっては、ブローナーは受け身で、手数が少なく、防御しては首をひねっているだけで、
積極的にポイントを取っていない、という見解もあるのかも、ですね。

結局、見ていて一番盛り上がったのは、試合中ではなく、判定がスプリットだと告げられたときでした。
うわ、まさか逆あるの?という感じで。これもまあ、生中継の醍醐味と言えば言えますかね(^^;)


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2 コメント

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Unknown (アラサーファン)
2013-06-23 22:40:50
こんばんは。おっしゃる様にブローナーの防御勘の良さ、無駄を省いた右ストレートとアッパー、左フック、連打の回転は見事ですし、あのコメディな一回転アッパーや裏拳等本家メイウエザーより楽しみ、笑わしてくれました。ただ相手が手数を出したらすぐ手控える、すぐ休む等悪い意味で本家に似てきたなとも思いました。一気に二階級上げたため慎重になったと取れなくもないですが元々スーパーライトでもハットンやカーンに体格負けして、パンチもダメージ与えると言うより演舞の要素が強いマリナッジに対しこういう闘いをする辺り、今後の楽しみ減った感じしますね。
マイダナやマティセとやるなら良いですが今回の様に一発のない相手を選び続けるならいよいよ本家の廉価版と言わざるを得なくなりますね。
そう言えば本家はと言えばカネロとやるそうですがスーパーウェルターリミットより2P軽いそうですね。以前パッキャオ様のキャッチウェイトの試合をけなしといて何なんでしょうね。カネロに番狂わせを起こして欲しいです。
コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2013-06-26 22:12:03
>アラサーファンさん

ブローナーのウェルターへの適応には、当然時間もかかりますし、今すぐ何とも言いにくいんですが、よく批判的に使われる「攻防分離」については、選手によってはそれが展開をうまく回すために最適な傾向だったりもします。ライト級までのブローナーは、例えばかつてのロイ・ジョーンズのように、一発で効かせる、倒せる前提の元、防御勘とリターンで試合を組み立てましたが、マリナッジのような、ウェルターとしては小柄で非力な部類の王者と、あのくらいの試合では、今後が不安になるのは確かですね。

メイvsカネロ戦は、決まった時点でいえば、カネロがメイを捉える展開になり得るかどうか、疑問に思っています。オースティン・トラウト戦のカネロの防御、攻撃は、あのやりにくい技巧派相手としては、これ以上望めないほどの水準にあると思いますが、あのレベルのさらにもう一段上にいるのがメイウェザーなのではないか、という懸念の方が強いです。

契約ウェイトに関しては、誰かを個人的にどうこうという話に収まらない話なのかも知れませんね。階級の区分通りにやれ、と選手に強制できる力が、今のボクシング界にはどこにもないでしょうから。仮に統括団体がそう命じたとして、選手側なりプロモーターなりが「じゃ、ノンタイトルでやります」と言ったら「すいません、そんなこと言わんでください」となるわけでしょうから。業界全体がカネの力に完全に負けていて、歯止めになり得る力の持ち主がどこにもいない、モラルの崩壊したボクシング界だからこそ、メイウェザーのような個性と行動原理の持ち主がトップ選手として存在するわけです。その現実の前に、私のような頭の古いファンの好悪など、もはや何の意味も無いのでしょうね。


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