さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

技を生かすための体格と力 フューリー、ワイルダーをTKO

2020-02-23 15:50:55 | 海外ボクシング




ということで今日はWOWOW生中継を楽しく、手に汗握りながら見ておりました。

前回から双方とも体重を増やしてきた、という一戦は、タイソン・フューリーが肩入れた左リードで圧力をかけ、相対的に痩身、細身のデオンテイ・ワイルダーを下がらせる展開。
ワイルダーは得意の右を、伸び上がった感じでしか出せないうちに、重い左を当てられ、ワンツーで3回に倒される。
5回もフューリーの右でワイルダー、ダメージを負い、もう押されても倒れる状態で、左ボディでダウン。
7回、コーナーで打たれ、ストップ。「絵」としては間の悪いものに見えたが、コーナーからタオルが入っていました。


素人考えで、前回の試合からすれば、フューリーがもっと身体を絞って動けるかどうか、という仕上げをしてくるのだろう、と考えてたんですが、フューリーは逆の発想で、今回の試合を闘いました。
もちろん単に体重を増やすのではなく、動ける身体である、という前提の体重増。それで左の威力を増し、リードパンチとしては強いヒットを重ねていく。
体重120キロ以上のボクサーが放つ左ジャブは、文字通りスーパーヘビー級の威力なのでしょう。

かつて、史上最多ノックアウトのライトヘビー級王者、アーチー・ムーアは「ヘビー級の左ジャブは、ライトヘビー級の右ストレートに匹敵する」と語ったそうですが、ひょっとすると今日、デオンテイ・ワイルダーは、ヘビー級とスーパーヘビー級の差に直面した、と言えるのかもしれません。

そして、体格差、パワーの差を生かすことで、左の巧さ、攻め手の多彩さ、接近戦でも離れても、クレバーに、時にダーティーにも闘えるフューリーの巧さ、したたかさが存分に生き、ワイルダーは右強打をロングのみに限定されて、それを決めることがかなわなかったし、闘い方の幅が狭いことも致命傷になりました。

何から何まで、フューリーの良さが生き、ワイルダーの良さが殺され続けた試合でした。
ジプシー・キングは、その得意なキャラクターの影に隠した知性を生かして、世界ヘビー級チャンピオンの座に就いた、と言って良いでしょう。
その闘いぶりは、かつて「リングのアインシュタイン」と評された、モハメド・アリにも重なる部分を感じます。ちょっと褒めすぎですか。


かつて「ヘビー級が動くが如く、ボクシングは動く」と言われたように、なんだかだ言ってヘビー級はボクシングの中心、花形、王道です。
団体分裂の時代にあっても、この階級は率先して、王座統一への動きが模索されてきた印象があります。
形式上は今も分裂していますが、印象としては今日の試合の勝者こそが、唯一のヘビー級チャンピオンなのだ、と見えました。
実に満足感の高い、充実した生中継観戦でした。



ところで試合後、一緒になって歌っていた(歌わされていた?)ボブ・アラムの姿には大笑いしました(^^)
大物プロモーターといえど、ご機嫌を損ねるわけにはいかん相手に対しては、あんなものなんですねー。



コメント (3)
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