先の日曜、１５日は各地で色々な試合がありましたが、国内の試合で、BoxingRaiseで見られたのは刈谷の試合。
注目は日本ライトフライ級１位、矢吹正道と、２位のユース王者、芝力人の最強挑戦者決定戦でした。
このクラスでは図抜けた長身とリーチを持ち、浅いキャリアで強敵と闘ってきている矢吹と、ユース王座獲得で５戦目にしてこの試合に進んできた芝。
若手同士の好カードながら、格で言えば矢吹が上。しかし芝の勢いも怖い。良いカードだなあと思っていましたが、結果はその想像を超えた、矢吹の強烈な勝利でした。
初回、相対した時点で、芝は矢吹のリーチと体格に少々驚いているように見えました。
矢吹が左伸ばしつつ、右フックを打つと見せかけて身を翻し、左ジャブをヒット。巧い。
２回、矢吹が小突くような右アッパーから右クロスを上に。芝よろめく。
矢吹さらに「攻め立てる」攻撃。
右ロングフック、左ジャブ伸ばし右クロス、ロープ際に追い、さらに左返して右ボディ。ここで右足が前に出る。
さらに左を真っ直ぐに「突き」という感じの一撃、芝ダウン。
矢吹、右相打ちから左フック返し、芝ぐらつく。矢吹ショート連打でまたロープへ追い立て、右ボディ。
ショート連打で下がらせ、ジャブ伸ばしながら踏み込んでまたショート連打。
ここで一旦、バックステップ。矢吹、足が揃うがまた踏み換えて左ボディ、同時に身体を前に運んで右クロス、左フック返し、右クロスカウンター、さらに右追い打ち、芝二度目のダウン。
３回、矢吹が長い右ヒット、また右で飛び込む。芝右返すが一発だけ、押されている。
４回、矢吹が右アッパーをフェイントで見せる。芝、一瞬重心を上げてしまい、そこへ矢吹が左フック、芝ダウン。三度目。
矢吹、右クロス打ちながら飛び込み、身体寄せて左右ボディ。左フック上、ガードの内側に左アッパー、右を上に返し左レバーパンチ。
正面から攻めていた矢吹、ここで右サイドにステップしながら、若干サウスポースタンスに近い足の揃えで、左ショートをボディへ突き立てる。
これが効いて芝ダウン。四度目。
芝なおも立つが、矢吹が左ジャブのフェイント、右フックもフェイント、やっぱり左フックで飛び込み、サウスポースタンスで、また左ボディ。
芝ダウン、５度目。レフェリー、ここで止めました。
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矢吹の長身とリーチは、傍目に「減量、大丈夫なんやろうか」と心配になるくらいこのクラスでは図抜けていると思いますが、その優位性が存分に出た好機での詰め、そのパターンをあれこれと見られた試合でした。
上記の通り、視認できる範囲で書き出してみただけでも、あれこれ組み合わせの妙があり、巧いフェイントが織り交ぜられていて、その前提としてリーチと体格が生きている。
一見すると上体が前にのめっていて、コンビネーション攻撃というよりは「ラッシュ」に過ぎないのでは、と見えるのですが、要所で巧みな距離の長短の切り替えがあり、上下内外の打ち分けがあり、狙いの確かさがある。
どこまでが意図したもので、どこからが感覚的なものなのかはわかりませんが、今回に関しては、見れば見るほど見事なものやなあ、と思わされます。
以前、大保龍斗戦を見たとき、変な余裕見せて．．．と批判的に書いたのですが、後に拳を痛めていたと知りました。知らぬ事とはいえ、申し訳ありませんでした。
しかし、拳が癒えての今回の試合は、実に巧みで鋭く、豪快な勝ちっぷりでした。
本来？のフライ級から、一階級下げて闘っていますが、減量などに問題が無いなら、来年以降、このクラスのトップクラスに躍り出てくる、と見て良いと思います。
ところで試合後、日本チャンピオンの高橋悠斗も登場し、互いに豊富を語っていましたが、これもなかなか良いものでした。
高橋「良い試合。興奮した。僕のスタイルは打ち合い、矢吹選手とも思い切り打ち合いたい」
矢吹「打ち合い．．．をやるかどうかはわかりませんが（笑）次も楽しみにしてください」
矢吹の言うとおり、このカードは新たな楽しみと言えますね。
西日本と同様、タイトルホルダーが減少しつつある中部ですが、矢吹・力石兄弟は、共に強敵相手との対戦を重ね、着実に力を付けています。
田中恒成に続き、森武蔵らと共に、かつて隆盛を誇った頃の、中部リングの勢いを再び、取り戻してほしいですね。
で、試合はどこでやるんでしょうかね。やっぱりホールか。
ホールはホールでも、白鳥になったりとかはしませんかね。さすれば日帰り可能なんですが．．．（＾＾）
