さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

モンスターは話が早い 井上尚弥、カシメロ戦に意欲

2019-12-03 07:33:35 | 井上尚弥




昨日、井上浩樹がKO勝ちした会場で、井上尚弥が取材に応じ、WBO新王者ジョンリエル・カシメロとの対戦に意欲...という記事が、各社から出ました。

まあ、従来、よくある感じのやつです。単なる話題のひとつというか。
「誰々とやりたい。やってみたい」と、ボクサーが、タイトルホルダーが個人的な希望、意欲をもって名前を挙げてみたところで、実際の情勢は、全然それに追いついていない、整ってもいない、という。


ところが今回の井上の発言、その内容はというと、

「もちろん、ターゲットにします」
「ここまで来たらランカーと試合してもしらける」
「会長にもやらせてくださいと言った」
「会長も手応えを感じているみたい」
「来春、米国で」


従来のパターンとは違い、えらく具体的です。
井上の場合「情勢」そのものも、従来型の「日本で興行、TV局の日程と会場確保」が前提の「会長の都合」優先の話ではなく、トップランクとの契約による、米国のシーンという「平場」での闘いが前提である以上、方向性として、対立王者を含めた強敵、有名選手との対戦が普通にあり得るものです。

そして何より、気が早い、話が早いなあ、と思ってしまいました。
ドネア戦から3週間強、普通ならまだ、栄光の余韻に浸っていてもいい頃かな、と思うのですが、もう次の話、しかも対立王者との対戦希望。
しかし、考えたら世界のスターボクサーの話というのは、当然のこととして、このくらいのスピード感があるもの、なのでしょう。

この希望が通るのかどうかは、トップランクやESPNの意向もあるでしょうし、会社の違いなども関係してくるんでしょうが、そういう事情をも一気に乗り越えんがための?SNSでの発信と、公の取材対応というダブルコンビネーション?という趣です。
「先方」であるカシメロの側も、これほど早く「食い気味」に「やったる」と返されて、面食らっているんじゃないか、と思うほどです。

日刊の記事では、23日の村田戦に際し来日するというトップランク関係者との会談で、具体的な方向性が決まるような感じですが、井上尚弥は傷の完治も待たずに、もう「走り出している」のかもしれません。
「王座」に安住せず、という以上に、彼の心は闘いに飢えているのでしょう。
我々ファンを感動させ、広く世に見られ、称えられた一戦も、彼にとってはまだ、通過点なのかもしれません。


かつてシュガー・レイ・レナードが「黒人でありながら、妻と子を得て、収入もあり、高級住宅街に住んでいる。だが俺はもっと欲しい。これが頂上じゃない」と語ったように、真のスーパースターとは、我々が思うようなところで立ち止まったりはしない者、なのでしょう。

もちろん、過去、日本から出た数多の王者たちも、心の奥底に、これと同じ思いを秘めていたことでしょう。
しかし井上尚弥はその強さで全世界に名を広め、その思いを現実に変える、変えうる立場を手に入れ、その思い通りの道を征く、その第一歩を踏み出そうとしています。

今回の報は、ファンとして、新たに心が高揚させられるものでした。
新たな闘いは、年明けを待たずに、もう始まっているのかもしれません。


==================


ということで、本日の一曲。
The Stone Roses “I Wanna Be Adored” です。






コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする