さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

そこに刷新の意志はあるか 過去との決別はなるか 長谷川穂積、再起へ

2015-01-19 05:34:36 | 長谷川穂積



長谷川穂積が再起を表明しました。


昨年の試合後、なかなか引退表明がなされないことを不思議に思っていたら、
誰もが思うのとは違う方向の噂が聞こえてきて、そこで充分驚いていたので、
今、この時点で改めて驚いているわけではありません。
しかし、やはり本当にそうなるのか、という現実の前には、しばし言葉を失います。


昨年4月の敗戦をもって、ボクサー長谷川穂積がリング上で見せうる可能性の全ては終わった。
あの試合について、私はそう見ました。そのように書きもしました。

以前彼を勝者たらしめていたものが失われ、それ故に許されていた強者としての闘い方を変えられず、
相手の得意な試合展開を避けようという意志が見えないまま闘い、これ以上見るに堪えないほど傷つき敗れた
あの完敗を、そのように解釈する以外に、どのような見方があるのだろう、と。

しかし、彼はそれでもなお、再起の意志を表明し、それは現実の話として動き出すようです。


紹介した下の動画の中で、彼はその心境を率直に語っています。
一度しか無い人生で、闘える自分がいる限りは闘いたい、という意志そのものに対しては、
共感というより、そのように生きられる人に対する尊敬をもって、尊重されるべきものだと感じます。


しかし、ボクシングという、直截的に身体を叩き合う闘いにおいては、
他の数多の「スポーツ」とは違う前提が求められるべきである、とも思うのです。

バンタム級世界最強の強さを誇ると認められながら、それを実際に形として残すべく闘われた
フェルナンド・モンティエルとの一戦、痛恨の敗北。
一段飛ばしのフェザー級におけるWBCタイトル戦、2戦して1勝1敗。
その後の4試合を経て、122ポンド級における昨年の敗北。

この数年間、彼の苦闘と敗北は、試合ごとに違う様相はあれど、かつて常に自在だった彼を支えていた
強者たる所以が、当然ながら永遠ではない、という事実を、その都度突きつけられるようなものでした。
その現実を前に、私はやはり、彼の再起を全面的に支持する気持ちは持てないでいます。
そして、彼の再起が、かつての自分自身を取り戻すためだけに闘われるのなら、その気持ちはより強くなります。


しかし、そうではなくて、かつての彼自身とは違う、失われた天性に頼った闘い方とはまた別の、
新たな長谷川穂積が存在しうる、という確信の元で再起を目指すのであれば、話は違ってきます。

もちろん、今から箸の持ち方を変えられはしないでしょうが、試合の局面において、
従来の目の良さと手の速さに依拠して、セオリーに反する選択、対応で相手の読みを外して勝ってきた
かつての長谷川ボクシングとの、全面的ではなくても部分的な決別、刷新が見えるならば...と。


今後の活動については、陣営はそれを支援するが、トレーナーは山下会長から変更されるという話があり、
その人選も彼の今後を左右するものと思われます。
以前、フランク・ライルズの指導を受けて闘った試合では、第三者の俯瞰した視点から
長谷川を見た上での指導の痕跡が感じられたものですが、もしそのような指導体制が再現されるなら、
もっと前向きな気持ちで、長谷川の今後を見守ることが出来るでしょう。


今回のインタビューや報道では、まだそういった点については明らかになっていません。
はっきりしているのは、長谷川穂積がまた動き出した、という事実のみです。

ボクシング「業界」の愚かしき自業自得に、ファンが抱く失望と諦念を、その拳で打ち砕き続けた英雄。
ボクシングの存在意義そのものを、その闘いによって護ってくれた最後の砦、真のチャンピオンだった男。

再起決定という現実の前に平静ではいられず、あれこれ繰り言も書いてしまうわけですが、
私にとり、長谷川穂積は永遠に尊敬の対象であり、それは彼の今とこれからがどうあろうと、変わることはありません。


「せやねん」にて、短いですがインタビューなどありましたので紹介します。
数日で消しますので、お早めにご覧ください。





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ついでに、というと何ですが、年末世界戦ラッシュについても同番組で特集ありましたので。
主に大阪の試合中心です。井上、内山も映像が欲しかったところですが、この辺は大人の事情でしょうか。




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最後に、今の高校年代では最高のボクサーとしてよく名前を聞く、村田昴選手の動画。
井上、田中兄弟らのように、お父さんの指導で腕を磨いた選手なんですね。
大学進学して東京五輪を目指すそうです。楽しみですね。
その後はプロでも見たいなぁ...(^^)




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もひとつ、おまけ。こんなんもありました。



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さらにもひとつ。
昨年12月28日、住吉の試合でデビューした工学部学生ボクサー、坂本真宏。
内容はわかりませんが、凄く難しい研究をしてるそうです。
試合は熱戦でした。今後が楽しみですね。







コメント (5)
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