さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

伝統階級は甘くなかった 井岡一翔初黒星、アムナットの「狡技」を崩せず

2014-05-07 23:18:13 | 井岡一翔


本日はTV観戦でした。簡単に感想。


井岡一翔、IBFフライ級王者アムナットに判定負け。
何で割れるかね、という判定でした。
まあ、僅差の回を全部井岡に振って、減点の分勝ち、という採点だったんでしょうが。

私はラウンド数でいくと「振れる回」を全部井岡に振る「オマケ採点」でも7対5。
減点を引いても、114-113、アムナットでした。
これだけ見ると接戦ぽい数字になっちゃいますが、これ以上のオマケは不可能。
全体的な内容においては、明確な回の多いアムナットに対し、取れたのは僅差ばかりの井岡という対比で、
はっきりとアムナットがまさっていたと思います。

アムナットは懐深く、身のこなしが巧く、ジャブや右ストレートだけでなく、左右のアッパーが良い。
肩を柔らかく使って、身体のしなりを効かせたこのパンチさえ無ければ、
井岡ももっと懐に飛び込んで小さいパンチが打てたんでしょうが。
井岡は振りの小さいパンチでボディを打って突破口を開きたかったが、結果として出来ませんでした。

アムナットが一級品の王者かというと、全然そうは思いません。
ロッキー・フエンテス戦のYoutube動画の印象そのままに、序盤は元気で巧いけど、
中盤以降は目に見えて動きの質が落ち、巧さよりも狡さ、その場しのぎ、ごまかしが勝ち始める感じでした。
井岡弘樹の三冠を阻んだフライ級王者三人、グリマン、セーン、ボニーヤのどれと比較しても、
一段落ちるレベルの選手だと見ます。しかしその相手に、井岡一翔は敗れました。


結果論もいいところですが、いきなり階級を上げて最初の試合で、曲がりなりにもタイトルホルダーを
攻略出来るほど、クラスを上げるというのは簡単なことではないのでしょう。
一翔の場合、ライトフライの時は元々いた階級でしたし、相手も世界王者ではなかったわけですが、
今回はそういう甘い条件ではなかった上に、軽量級伝統クラスのフライ級でしたから、
こういう内容と結果も、仕方なかったのかも知れません。

自分より大柄で、巧くて狡くて、実にやりにくい相手に、フルラウンド集中して圧力をかけ、
迎え撃ちアッパーの脅威を感じつつも、射程距離をぎりぎりで踏み越える作業を繰り返し
最後まで闘い抜いた一翔は、負けてもまずまず、立派だったとも感じました。
井上尚弥のような脅威の天才でなくとも、自分なりの闘い方をよく練っていたし、
今回、勝てる流れにはなかったとはいえ、現状の力としては精一杯だったと思います。

ただし、フライ級としては不足だった部分、下の階級では問われなかった部分が何だったのか、
ということも、色々見えた試合ではありました。パワーもスピードも、耐久力も、機動力も、
全然足りないとは言いませんが、それぞれ少しずつ物足りなかった。
その少しずつの不足が、スプリットや小差や、という数字以上の明確な差となりました。
この厳しい現実を撥ねのけるためには、想像以上の労苦が求められることでしょう。


今後については当然再起し、いかに再挑戦に繋げるか、という話が先走ることでしょうね。
ゲストの香川さんが言っていた「再戦してほしい」という話が当然、基本線なのでしょう。
しかしTV局の希望がそうだとしても、すぐに再戦して勝てる、という物の見方は、少々楽観が過ぎるように思えます。

それに、アムナットとの直接再戦というのは、確かゾウ・シミンが挑戦を希望していたはずで、
その辺がどうなるか、でしょうね。


もちろん、ボクシングファンの一般的な意見としては、フライ級において世界戦線に再浮上するならば
それなりに思いつく道のりがあったりはするんですけど、まあそういう道は絶対に行かないでしょうし(嘆)
今後も変わること無く「特別な存在」としての再挑戦路線を歩むのでしょう。

そういうことでいいのかな、と今から危惧します。
人もあろうに、陣営には井岡弘樹という、みたびフライ級の壁に阻まれた元王者がいるというのに、
そういう安易な発想で物事が運ばれるのだとしたら、それはあまりにも残無い話だな、と思ったりもします。
まあ、どうなるかは今後の報道を待つしかないですが。



高山vs小野についてはまた後日、ということで。
ディレイとはいえ、これで高山の試合を二試合連続で中継してくれたという一点においては
常日頃ボロクソに言っておいてナニですが、TBSさんありがとう、と感謝したい気持ちでおります。




コメント (12)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする