今日の生中継、メインについて簡単に。
けっして弱い選手だとも思いません。かなり速くて巧くて強い、と言える部類の選手です。
でも、やはりティモシー・ブラドリーは、この手の試合に出る「顔」ではない。それを改めて見た試合でした。
もちろん、勝つために必死なことを責めるつもりはありません。
しかし、世界注目のビッグマッチ、と分類される試合において、
相手の左を食いたくないから、目線を切ってまで下を向き、頭を嫌がらせに振りかざして打つ、
ごまかしの手数で優勢を演出し、攻めて、引いて、印象点を取りに行く、とやっているのを見ると、
そのあまりの「格下」ぶりに驚き、節操の無さに呆れもします。
こんな風に闘わねばならないほど、力のない選手だとは思わないだけに、余計に。
途中で足の具合が悪くなったか、と西岡利晃が指摘していましたけど、
そうであったとて、あの闘いぶりというか、やり口では、
結果が残らなかったら、それ以外何もなし、それこそ手ぶらでリングを降りねばならない。
プロボクサーとして、そのことが怖くないのかな、考えが及ばないのかな、と不思議でさえありました。
試合後、同時通訳を困らせるペースであれこれつべこべくちゃくちゃと話してましたが、
今後二度と、彼をWOWOWの生中継で見ることはないでしょう。あ、前座ならあるか...。
で、そういう相手をひたすらもてあまし、手こずっていた。
それが今日のパッキャオに抱いた印象の全てです。
試合始まった時点で、まあこちらの目玉の勝手なんでしょうが、以前よりずいぶん小さく見えました。
あの思い切りの良い踏み込みから放つ左ストレートは、下を向くブラドリーに当たる角度がなく、不発。
ブランドン・リオス戦のように、左から右と当てての右回りを試みるも、
その身のこなし以上に大きく上体を振られてしまう。
そもそも相手に、強く攻めようという気がないのに、何故「捌き」にかかるのか、
パッキャオらしくもない弱気というか、その発想が納得できません。
とにかく、攻めるのも捌くもの中途半端で、どうにも煮え切らない感じのまま、試合は終わりました。
この試合を見て、勝ちは問題ないにせよ、今後に明るい展望はとてもじゃないが見えないでしょう。
相手の「なりふり構わず」が一定の次元を越えたものだったことは考慮するにしても、
そんなものは問答無用で叩き落としてしまうだけの速さや、踏み込みの思い切り、
そして精度があったはずのパッキャオの攻撃は、最後まで影を潜めたままでした。
これ、次の相手選びが、かなり難しくなりそうな感じもありますね。
少なくとも、我々がいまだに捨てきれない、メイウェザー戦実現という夢に関しては、
近づいたとか遠のいたとかいう以前に「それどころじゃない」という印象が残りました。
ちょっと残念な試合でした。