さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

残念な名誉

2012-03-17 21:31:28 | 西岡利晃
西岡利晃、WBC名誉王者認定、ということです。

なにやら目出度い話みたいに書いてある記事もあって、苦笑しておりますが、
さりとてWBCやプロモーターの思惑で、同一階級、同一団体で複数の王座が認定されることの是非を、
今更声高に論じる気力もすでにありません。
しかし、私はそれとはまた別の意味で、この話を知って、残念に思っています。


まず、何故、西岡はシンピウェ・ベチェカとの対戦をそこまでして忌避せねばならないのか、です。
カードとして魅力がない、興行的にうまみがない、西岡のモチベーション(←この言葉、嫌いなんですが)が
高まらない、という想像が出来ますが、私はそれ以上に、本田会長が西岡のコンディションに
極めて深刻な危惧を抱いているのではないか、と見ます。
今回の名誉王者認定は、帝拳側の申請によってなされたそうですが、それならなおさら、です。

そして、この122ポンドクラスにおいて、王者は西岡でもホルヘ・アルセでもリゴンドーでもなく、
あくまでノニト・ドネアであり、新規参入のアブネル・マレスも加えた「挑戦者たち」は、
様々な形で挑戦実現に近づこうとしている、というのが、情勢分析として正しいのでしょう。
その挑戦実現への努力の一環が、西岡のベチェカ戦忌避=名誉王者認定申請であり、
マレスの転級即WBC王座決定戦出場であり、アルセの無理矢理五階級制覇である、ということです。

ドネアの次戦がクリスチャン・ミハレス戦、と聞いてちょっと驚きましたが、
ドネア陣営はこの試合で快勝し、二試合続いた判定勝利でやや下落した?評価を取り戻したあと、
その時々の情勢や条件に応じて、候補者たる彼らの中から、挑戦者を選んでいくのでしょう。


前記事コメント欄にてNeoさんが言われたように、

①ドネア戦以外の試合に西岡を出したくない帝拳
②ドネア戦を睨んで122ポンド級でタイトルが欲しいアブネル・マレス陣営とプロモーター
③双方の顔を立て、なお双方から承認料が取れるので何も損は無いWBCプレジデント

以上、三者の利害が綺麗に一致した結果、こういう話になったんでしょうが、
この話から見えてくるのは、残念ながら、上記したとおり、西岡はドネアとの関係において、
上位の王者ではなく、対等の王者同士でもなく、あくまで「挑戦者」の地位にいるのだ、という現実です。
その現実が、一見わかりにくい形で突きつけられた、それが今回の「名誉王者」認定なのでしょう。

もし西岡および陣営がその位置づけに甘んじないと示すためには、ベチェカなり、ビクトル・テラサスなり、
或いは他の強豪と目されるボクサー相手に、粛々と防衛戦を行い、勝ち続けるしか道はないはずです。
しかし、理由はどうあれ、西岡と陣営は、それとは正反対の道を選びました。


致し方ないこと、なのかも知れません。
そう理解すべき話なのかも知れません。
しかし、ファンの勝手なのかも知れないとわかっていても、やはり、残念に思います。



しかし、こうなると、本当に一日も早く、相手に選んでもらいたいものですね。
仮にドネアがミハレスに快勝しても、西岡がドネアと闘えるのは早くて秋頃になります。
しかし米国における知名度、興行価値でアルセが西岡を上回る現実があり、後回しという結果もありえます。
それまで誰とも試合せずに、ブランクを作ったあとにドネアに挑むというのは、また心配な話ですね。




コメント (3)
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