さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

「素敵な続編」はまだ続く

2011-10-02 19:14:12 | 西岡利晃
試合見終えて数時間。TVでボクシングを見てこれだけ「消耗」したのは久しぶりです。
何か書こうと思ったのですがままならず、しばし休息をとった後書き始めましたが
毎度の通り、まとまったことを書けそうにはありませんのでとりとめもなく行きます(笑)


まず採点。大中小、3種類の採点が揃いましたが、私は厳しくつけて小です(笑)
115-113、西岡でした。しかしきわどい回を全部譲ってこの数字ですので、
これ以上の譲歩はありません(笑)。


ラファエル・マルケスは何度か書いたとおり、全盛は過ぎてはいるのでしょうが、
長いリーチ、高いガード、サウスポーを苦にしないことなど、西岡から見て、
いまだに一定の脅威を持つボクサーでした。ただ、そのマルケスが、これほどに
西岡の動きを研究し、慎重に闘うとは予想していませんでした。

じっくり構えてジャブで突き放し、前足の位置取りでは壮絶な足踏み合戦。
攻撃の手を減らして、距離を長く保ち、西岡の左ストレートを出させない作戦。
ヒットは長い右リードで取り、左フックを返すことはしない。
西岡の右回りからの左フック、アッパーの切り返しを警戒して、速い後退でかわす。

自分の強さを押し出して攻めてくる、今までのマルケスの姿は、ほとんど見られませんでした。
ジョニー・ゴンサレス戦で発揮された左の一発強打への警戒という以上に、
レンドール・ムンロー戦のように、序盤に左強打でリズムに乗り、そのまま最終回まで
間断なく多彩な攻撃を続けた西岡に対する研究の跡の方が、より強く見えたように思います。


正直、序盤の数ラウンドを見て、これ今日は負ける流れかな、とさえ思っていました。
これだけの強打、攻撃力を持つ選手がじっくり構える堅陣を、西岡はいかに崩すのか。
試合はすでに中盤へと進み、今から巻き返すといってもこれはなかなか...と。

しかし西岡利晃は、マルケスの僅かな隙をうかがい、徐々に左から切り崩します。
5回、左好打。6回、さらに左。7回以降、左をきっかけに右の返しが出始めます。
そして8回、左3連打、攻勢に出た際のバッティングで出血も、何事もなく乗り切る。
10回、11回、そして最終回をクリアに連取。上記のとおり、辛めの私の採点も、
終わってみればめでたく西岡の勝利となっておりました(^^)


西岡、本当に強くなったな、と(偉そうですが)改めて感じさせてくれる試合でした。
若き日の西岡利晃ならば、瞬発的に出る攻撃の力は今よりも上でしょうが、
これだけ高い水準の攻防をフルラウンドに渡って実現する力量はありませんでした。
必ずどこかに谷が出来る。抑えねばならぬ回を落とし、勝てた試合を失う。
あのウィラポンとの試合、ことに惜しかった二戦目などは、そういう試合でした。

しかし今日の西岡利晃は、今更ですがあの日の自分自身を、完全に越えて見せた。
世界のボクシングマーケットの頂点、ラスベガスのリングでの王座防衛という快挙と共に、
今日の試合はそういう印象もまた、私に与えてくれた試合でした。


インタビューでの立派なコメントにもありましたが、さらに言うなら帝拳のみならず、
いずれ日本のボクサー全てが、このリングを目指して闘うことが常態化してもらいたいです。
真に優れたボクサーが求める栄光と富が国内に無いのなら、それがある場所へと赴き、闘う。
実に自然なことです。何も帝拳所属の選手のみがやることではありません。

いつの日か、ラスベガスで勝つことが快挙ともてはやされなくなり、然るべき勝利、成功だと
誰もが思う日が来るときが来て欲しい。そんな時代が来たときにこそ、我々が誇るべき、
西岡利晃と共に誇るべき今日の勝利が、改めて千金の輝きを放つことでしょう。

西岡利晃、おめでとう、そしてありがとう、です。


で、西岡次戦で引退という報ですが、本田会長のコメントがちょっと拡大解釈されたようですね。
まあ次のノニト・ドネア戦実現を目指す、というのは規定でしょうが。
本田会長は、間近で西岡を見ていて、彼がこの年齢でこの強さを維持するために払う
膨大な労苦と犠牲を知るからこそ、心情的に心配しているということなのでしょう。


いずれにせよ、ボクサーは、一戦一戦が後のない闘いのようなものです。
西岡利晃のさらなる闘い...そう「素敵な続編」を見られる幸福は、まだ続きます。


ただ、リングサイドでちょっと気になるもの見てしまいましたねぇ...。
ノニト・ドネアとホルヘ・アルセのツーショットです。
馴れ馴れしく肩に手回して、スマートフォンですかね、あれ、なんかいじくってましたね。
アドレスの交換とかしてるような風情でしたねー。

まだ目の前の試合終わってへんのに、もう争奪戦開始かと、ちょっと気になってしまいました。

コメント (9)
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