さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

辛い試合の後で

2007-08-19 21:52:54 | 関西ボクシング
武本在樹、クリス・ジョンに9回終了TKO負けでした。

会場には行けず、スカイAで生中継を見たのですが、
過程も結果も、非常に厳しいものでした。
ミスマッチ批判も致し方ないところでしょう。

加えて、日頃なじみのない選手が世界戦に出て惨敗を喫すれば、
辛口で語られるというのも、当然の現象ではあります。
ま、しかし、それとは逆の場合もありますよ、というお話をひとつ。


以前、武本と榎洋之の再戦(日本タイトルマッチの試合です)を
後楽園ホールで観戦したあと、榎に比較的近しい記者の方と少し話した時のことです。
その記者さんは、ちょっとした驚きをもって、武本の強さを称えておられました。
「武本選手、強いですね!榎があんなに打たれるなんて」という感じでした。

「あんなに」とは、つまりは2R、そして8R(だったかな?)の
右のクリーンヒットにより、榎の動きが止まったり、ロープ際へ飛ばされたりした
場面のことを指していたのでしょう。
私はというと、いかに榎相手といえど、何度かそのくらいの好機を掴みはするだろう、
くらいに思っていましたので「ああ、あの場面が、武本になじみのない人の目には、
そんなに新鮮に映るのか。見方の違いって面白いもんだなぁ」と思ったものでした。

あの試合、私は「日頃、自分から試合を組み立てることをせずに、カウンターの
一発にかまけてばかりいるから、競った試合でポイント拾えへんのや、自業自得や」と
武本に厳しい見方をしていたものですから、余計にその思いは強かったのです。
もちろんそのときは、武本が眼窩骨折を負っていたとかいう事情は知りませんでした。


今日の世界タイトルマッチにおいて、武本は完敗を喫しました。
私は、武本得意の右クロスカウンターが序盤に好打してペースを掴めれば、
武本にも勝機はある、という、願望混じりの予想をしていました。
しかしそれがかなわなければ、大敗を喫するであろう、とも思いました。
結果は、後者でした。

今日の試合で見られた、クリス・ジョンと武本在樹との実力差は、
残念ながら、榎洋之との再戦で私が武本に感じた苛立ちが解消されていても
それを埋められるものではなかったと思います。
武本は武本なりに、自分から仕掛けて、試合を作っていこうとしていました。
その上での完敗でした。実力差は明白でした。

私は今まで、数多く武本在樹の試合を観戦してきました。
彼の持つこだわり...カウンターの一撃で試合を決定づけたい、という「嗜好」を
それなりに魅力的にも思い、同時に、困ったことやなぁとも思い、
つまりはそういう武本在樹の試合を見て、楽しんでも来ました。
そういう私が今思うことは、今はただ、ゆっくり休んで、傷を癒してほしい、と
ただそれだけです。
「ただそれだけ」のことを、長々と書いてしまいました。どもすいません。


それにしても、今更ですが、クリス・ジョンは良いボクサーでした。
生で見ておきたいボクサーでした。惜しいことをしたものだ、と思っております。


コメント (4)
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