さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

意外に打ち合い多し 新人王西軍代表決定戦2018

2018-11-30 05:08:04 | 新人王戦



ということで、いよいよ師走も目前、とりあえず12月はいくつか、
観戦の目処も立ちましたが、11月は観戦ゼロとなってしまいました。

年末、世界戦ラッシュと並ぶ、或いはそれ以上のイベントかもしれない、
全日本新人王決定戦に向けて、西軍代表決定戦が先日、G+で放送ありました。
結果一覧の記事はこちら。一応、全階級について、簡単に感想を。


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ミニマム級は、竹田宙(S&K)が龍虎慎太郎(真正)に判定勝ち。
サウスポー対決、竹田がコンパクトに、インサイドから当て、
龍虎は外からロングのパンチ中心。
龍虎は左ボディストレートも時折決めていたが、竹田はこらえて、
正確にヒットを取っていた。採点はこの辺をしっかり見た、公正なものと見ました。


ライトフライ級、170センチの長身、見村徹弥(千里馬神戸)がアウトボクシング。
静岡在住のブラジル人、太田アレックス(西遠)の前進を巧みに捌く。
ジャブが良く出て、後続の連打も時折披露。若干腰高なのが気になるが、足は使えるか。
動くとき、止まるときの配分、その判断をしっかり出来れば、今後に期待。


フライ級、湊義生(JM加古川)は小柄なサウスポー濱上京武(島袋)と、接近して打ち合う。
上下のコンビが鋭く、ボディを効かせて濱上を止め、連打で3回TKO勝ち。
見た目は離れてもやれそうな感じだったが、こういうスタイルなのか、
濱上を止めるために敢えて打ち合ったのか?いずれにせよ、しっかり打ち勝っていました。


スーパーフライ級は、サウスポーのボクサーファイター大橋哲朗(真正)が、
長身の岡崎駿一(中日)を、正確なパンチと、無駄のない防御技術で制する。
常に最短距離を通って当たる左と、サイドにも出られる防御で、
岡橋の長いリーチを攻略していました。大橋は技能賞獲得、納得の一戦。


バンタム級は実力伯仲の好ファイト。
長身サウスポーの藤川祐誠(S&K)が長い左ストレート、右フックを決めれば、
津川龍也(堺東ミツキ)もダイレクトの右を決める。
2回は両者にヒットがあり、4回も激しい打ち合い。
ポイントはやや藤川か、ドローもあるかというところで、2-0で藤川。
ミニマム級同様、安易な地元贔屓を排した判定、という印象。


スーパーバンタム級、大柄なボクサーファイター英洸貴(カシミ)が、
原優奈(渥美)の巧みな防御に苦しむも、攻勢点とヒットで上回る。
原は距離の測定が良く、身体を翻して外す動きは冴えたが、
英の体格とパワーに押されてか、反撃の手が乏しかった。


フェザー級は早々の打ち合い、そして決着。
サウスポー竹本雄利(クラトキ)に対し、「のび太」のコスプレ?で登場した
テルのび太(緑)が早々にインファイトを仕掛けるが、サイドから食いつけているときもあれば、
竹本の正面に位置しているときもあり、さてどうなるかというところで、
竹本の左を決められ、ダウン。まともでした。
立ったが効いているのび太に対し、竹本右フックダブル。二発目が死角からヒット。
のび太、たまらずダウン、ストップ。
竹本はMVP受賞。冷静な対応が光りました。


スーパーフェザー級は終始激しい打ち合い。
寝屋川石田ジム第一号選手という福井貫太が2回、ボディ攻撃で取るが、
2012年以来のエントリーで勝ち上がってきた太田卓也(とよはし)が
猛然と反撃、4回は連打で攻勢。
最終の5回、福井が右を決めて太田が下がる。しかし太田、ここからまた反撃。
上下の連打で猛然と巻き返す。判定は2-0で太田、敢闘賞を受賞。
この日のベストファイトはこの一戦で決まり。


ライト級、大柄なファイター二熊亮成(平中BS)が出て、左右フックで先制。
2回、石脇麻生(寝屋川石田)はしっかりガードして、徐々にヒットを返す。
巧みに試合を「冷ました」あと、3回からボディを交えて対抗。
4回は右クロス、右アッパーで脅かし、ボディも決め、最後に連打で攻勢。
時に頭から来る、やりにくい相手に苦しみつつ、終わってみれば確かに差を付けました。


スーパーライト級は、年齢差11の対戦。
33歳のサウスポー、三津山ジムの富田雅季雄(「あきお」と読みます)が、
22歳、高校時代はラグビー部で、全国大会出場経験ありの岡田翔真(姫路木下)に
果敢な左右連打で攻め込むも、2回は岡田が反撃。右ボディ、左フック上下で猛ラッシュ。
3回以降も打ち合うが、若い岡田が右を上にも当て、粘る富田を振り切った。


ウェルター級はオーバー30同士の対戦。
35歳の松井敦史(薬師寺)は、3勝3KO無敗、全部初回KO。
対する入江弘樹の戦績は、1勝(1KO)4敗と、ちょっと見劣り。
初回、ロープを背負いつつ、柔軟な動きで外していた入江だが、
松井は無理に振り回すようなことはせず、じっくり見て狙う感じ。
松井が攻め、入江をコーナーに追い詰めて、右フックを外から、左ボディ、
そして今度は右ショートををインサイドに打つ。さらに追撃、入江防戦一方、打ち込まれてストップ。
松井は4連続初回KO。意外と言っては失礼ながら、攻めは理詰めで、感心しました。


ミドル級は試合中止。京原和輝(久留米櫛間)が、
棄権したハンマー・ゴリラ(JM加古川)に不戦勝でした。


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全体のレベルとしては、例年くらいか、やや上か、という印象。
あと、今年の東日本と違い、全体的にインファイトする選手が多かったかな、という感じも。
それも、クリンチは少なめで、比較的クリーンな打ち合いでした。時々アタマが当たる試合もありましたが。

もちろん、何でもかんでも打ち合えとか、足で外すなとか、クリンチ一切禁止!みたいな
極端なことは言いませんが、やっぱり「いざ鎌倉」となったときに、クリンチ以外頭にない、
みたいな選手は、見ていて魅力に欠けるのも確かです。
これはもう、見る側の勝手、その極地とも言えるものですが...。

全体でKOは2試合のみ、判定が多く、場内の客入りも、試合ごとにかなりばらついてましたが、
内容としては、見応えあるものが多かっただけに、残念でした。


さて、全日本のカードは、こちらに一覧がありますが...
勝算、予想については、どのみち当たるわけもないのですが、
このくらいの相手なら、なんとかなるやろう、と思うクラスもいくつかあります。
関西ナショナリズム全開で、五分五分くらいの星は期待したいところです...と、若干弱気(笑)。



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西の秘密兵器?長身サウスポー下町俊貴、全日本MVP獲得

2017-12-24 16:06:59 | 新人王戦



なんやかやらとどたばた、忙しい年末になってしまい、更新が滞ってしまいました。
この年末は、結局、連日観戦することにしてしまった(しまったって何だ...)ので、
またあれこれと感想を書いて、拙ブログにおつきあいくださった皆様への
年末年始のご挨拶に代えさせていただきます。

まあ、要するに、毎度の通りだということであります。
取り急ぎ、昨日生中継された全日本新人王について、感想を書いておきます。



スーパーフェザー級がメインイベント的注目を集めましたが、
全体的に場内盛り上がり、或いは緊迫の展開も多かったかな、という印象でした。
終わって、これ三賞どうなんのかな、と迷う内容でしたが、
結果、偶然デビュー戦を見た選手がMVPに輝く、ということになりました。
勝ってくれただけでちょっと嬉しいな、という感じだったので、二重の喜びでした。



ミニマム級は大柄な東のサウスポー赤羽根烈が序盤優勢。
しかし西の井上夕雅が徐々にセンスの良さを見せ、多彩なパンチを当て、打ち勝つ。
西軍代表でも好ファイトを見せていたので、期待していました。
敬語を知らないインタビューの様子も、あれはあれで微笑ましいものがありました。



ライトフライ級はサウスポー対決。東の佐藤剛が、早々に強引なプレス。
西の長井佑聖が巧さを殺され、肩ごしに左クロスを打たれ、脇腹打ちでダウン。
左を上下に打ち分けで佐藤が攻め、二度目のダウンでTKO勝ち。
小柄な佐藤、パワーを見せた速攻でした。


フライ級は東のサウスポー薮崎賢人が接近し、西の白石聖が距離を取る。
最初はもみ合いが多かったが、白石が抜け出して右リードから当て、勝利。


スーパーフライは東のサウスポー今川未来が右フックをよく決める。
西の松浦克基はやや硬い。右ヒットは単発。最後はヒット応酬も、今川勝利。


バンタム級は東のサウスポー富施郁哉が、西のスイッチヒッター徳山洋輝を
初回から左ストレートでダウンさせる。追撃で徳山スリップダウン。
小柄な徳山は果敢に出るが、外され打たれる。
4回、富施が左ヒットから連打、TKO。


スーパーバンタム級は東のMVP、東軍6人目にして最初の右構え、飯見嵐。
対するは「西の隠された秘密兵器」と私が勝手に目している、長身サウスポー下町俊貴。
序盤、飯見の接近を下町がジャブで止めきれず、わりと近い距離で打ち合う展開で、
これは分が悪いかと見えましたが、強打の飯見に対し、軽いが正確なヒットを重ねる。

3回、下町の右フックがカウンター気味に入り、4回、左ヒットから猛攻、TKO。
長身で痩身ながら、強打の相手に近い距離でも打ち勝ったのは見事でした。


フェザー級は左のサウスポー佐々木蓮、西の高瀬衆斗、共にリードジャブが乏しく、
ミスとクリンチが多い、低調なスタートでしたが、徐々に佐々木がパワーの差を見せる。
3回左ヒット、上下に散らし、4回左アッパーからTKOに。


スーパーフェザー級は8連続KOの東、ジロリアン陸に、西のMVP森武蔵の対戦。
初回、ジロリアンの右が伸び、森はワンツー返すが浅い。ジロリアン懐深い。
2回、森は遠い相手にやりにくそうだが、左上下を当てていく。
3回、ジロリアン左回りを増やし、右ストレート。森の左が後頭部に入り、休憩。
再開まもなく、森の右フックがジロリアンの耳の辺りに入り、ダウン。
4回やや膠着。5回森は積極的に仕掛け、ジロリアンの反撃を封じる。

戦前の期待を満たす好ファイトとはいかず、ラビットパンチも残念でしたが、
森は強打の難敵ジロリアンを、積極的な攻めで押し切りました。
まだ18歳ですが、冷静かつ積極的な試合ぶりは、やはり目を引きました。



ライト級は東の強打、有岡康輔に、西のサウスポー小畑武尊が攻めかかる。
左レバー、左から右返し。有岡右カウンターして反撃。
2回、小畑またヒットを取り攻めるが、有岡右からの連打で二度倒し、TKO。
試合後、元ヨネクラジムの有岡、涙で関係者に感謝する感動のインタビュー。
このインタビュー混みで、今日のMVPは有岡かな、という感じもしました(^^)


スーパーライト級は東の木原宗孝が、沖縄のマーカス・スミス相手に、
柔軟な動きからヒットを取る。
しかしマーカスの我流丸出し?なボクシングに苦しみ、打たれる場面が増える。
打ち合いは避けたいが、どうしても巻き込まれる感じも。
そのあたりが際どく響いたか、判定は三者三様ドロー、優勢点でマーカス。

マーカスは格闘技やキックの世界で、いろいろ破天荒なエピソードを残す男だそうで、
将来、大成するのかどうかは不明ですが、興味深い存在ではありますね。


ウェルター級は東のサウスポー重田裕紀が、西期待の安達陸虎に左から当てていく。
西では森武蔵に次ぎ、注目の安達だが、サウスポーを苦にする印象。
普通に正対すると、少し迷いが見え、手が止まる。
体が寄り、近づけば右、左フックなどが出るが、後続がない。
その合間に重田がヒットを重ね、判定勝ち。


ミドル級は東のサウスポー加藤収二が左ストレートで先制。
総合格闘技出身、三戦目の西、徳山純治をダウンさせる。
徳山は果敢に反撃、右をヒットさせる場面もあるが、
加藤が4回に二度ダウンを奪ってTKO。キャリアの差を見せました。



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改めての感想、印象としては、サウスポー異様に多いな、ということでした。
例年その傾向はあるのかもしれませんが、今年は特に。
東軍は、最初から5人連続で左だったのも含め、12階級中8人。
西軍も6人。バンタムの長谷川は、スイッチヒッターですが基本左と見て。

その結果、新人王戦のみのキャリアしか持たず、明らかにサウスポーに不慣れで、
苦にする様子が見える右構えの選手が数人、目につきました。
これだけ多いのは、日本ならではの傾向でもあるらしいですが...。

何にせよ、単純に、新人王決勝戦出場、24人の過半数を超えている現状、
ジムにおける技術指導において、プロボクサー志望の練習生には、
プロテスト受験前の段階から、右相手と左相手の、二つのセオリーを
トレーニングに取り入れるくらいのことは、しないといけないかもですね。
新人王トーナメントで左相手に試合が決まってから、対策しても間に合わない、
そういう事例は、実際にちょくちょく目にしますし。



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「優勝候補」の枠を越えた逸材 森武蔵、デビュー4連続KO

2017-11-15 17:19:02 | 新人王戦



ということで日曜日、府立の地下に行ってきました。
新人王西軍代表決定戦です。


もちろん、新人王戦、それも各地区決勝ともなれば、それだけで充分見物なのですが、
以前、デビュー戦動画を貼って紹介したことのある、薬師寺ジム期待のサウスポー、
森武蔵が大阪にやってくる、というので、彼をお目当ての観戦でもありました。

何しろデビュー戦の時点で、相当な評判になっていて、動画を見れば、速攻のKO勝ち。
その後も3戦目までKO勝ちで、今回が4戦目。
迎え撃つはグリーンツダの木村テミン、こちらも4勝3KO、無敗対決となりました。


初回、締まった構えから、スピード、切れのある右ジャブ、左ストレートのワンツー、森。
木村が出て距離が詰まると、またワンツー、この「ツー」が、小さく切る左フックに変わる。

森は手足のみならず、判断のスピードが速い、という印象。
木村は手を出すが、森がそのたびに見切って外し、徐々に手数が減る。

2回、場内から木村に、左から、手数出して、と声援が飛ぶ。
距離が近くなれば手は出るが、大きく離れる、というでもなく、少し間があれば
森が目で外し、後退して外し、という具合で、なかなかその通りにはいかない。

しかし森は、セーフティーに外すというより、時に止まって、詰めた間で「やらせる」感じも。
森がそういう感じで、ちょっと打ち合いも見られたあと、少し離れた間から、
わずかにゆったり、スピードを落とした動作をフェイントに使い、左一発。
これが木村にまともに決まり、ダウン。

相手の神経の中枢を断ち切ってしまっている、切れと威力を兼ね備えた一撃。
リングサイドから、木村の頭がキャンバスにバウンドするのが、真正面に見えました。
信じ難いことに、木村はそれでも立とうとしました。これはもう、本能としか言えません。
しかしかなわず、膝がぐらぐら、ダメージ甚大。試合は終わりました。


森武蔵、評判通りの才能を見せてくれました。
メスト・エジルを和風にしたような風貌、日本酒みたいな名前のサウスポー。

緩急の効いた、切れのある動き。判断のスピード。見切りの良さから来る余裕。
緩急の「急」をひけらかすのではなく「緩」の動作を、
ワンパンチによる、戦慄的なKOに繋げるあたり、並の新人とはレベルが違います。

まるで、新人選手たちの中に、ひとりだけ世界ランカーが混じっているかのよう。
単に、新人王戦優勝候補、という枠には収まらない期待をしてしまう、そんな選手でした。


ただし、この日の試合運びが、見切りの良さからくる余裕に満ちていたことは、
優れた才能の証明とはいえ、それが今後、何らかの形で陥穽となる可能性もありましょう。

東日本新人王、8連続KO中の大柄なパンチャー、ジロリアン陸との対戦なり、
その先の試合なりで、才能故の高度な試合運びに身を投じようとするあまり、
その時々の、キャリアの段階に見合わぬ、不要なリスクを背負い込んでしまうのでは、と危惧もします。

しかし、冷静な展望を持つマネジメント、適切な技術指導によるトレーニングにより、
この選手の才能が十全に開花したら、まず間違いなく、中部ボクシングの新たな「星」となることでしょう。
いや、ことによると中部のみならず...。


とりあえず、次の全日本決勝が楽しみですね。
G+生中継があると思いますので、大いに注目です。

動画ありましたので紹介します。




別アングルです。





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この日はスーパーフライ、フェザー、ミドルの3階級が棄権により中止。
少し残念でしたが、全体的に熱戦、接戦が多く、今年、この階級はアカンかなー、と
思うような試合はなかったように思います。
とはいえ、全日本での勝算は、あくまで相手次第というところでしょうが。

試合結果はこちらに出ていますが、スーパーフェザー以外の感想を簡単に。


ミニマム級は井上夕雅、仲島辰郎とも、スタイリッシュなボクサーファイター。
スピードで井上、パンチは仲島がややまさり、一進一退、ドロー。
井上勝者扱いでしたが、レベルの高い熱戦でした。


ライトフライ級は堅実な中村圭吾と、サウスポー長井佑聖が、2回にダウン応酬。
しかし全体的に、中村がサウスポーを苦にした展開。2-0で長井。
中村は以前も見たことがあり、好選手でしたが、ヒットの差で敗れました。


フライ級はボクサー型の白石聖に、蟹江ジムのファイター近藤冬馬が肉迫。
近藤は好打もあったが、白石の手数と足を止めきれず。3-0で白石。
しかし蟹江ジムは例年、しっかり鍛えられた選手を送り出してきます。
敗れたとはいえ、近藤の奮戦が光りました。


バンタム級は小柄なサウスポー、というかスイッチヒッター徳山洋輝が
長身サウスポー高井一憲に左を決め、先制。
しかし高井が迎え撃つ左のヒットを返し、徐々に接戦に。
徳山が序盤のリードを守って3-0で逃げ切ったが、際どいところでした。


スーパーバンタムは長身サウスポー、ちょっと見た目亀田昭雄風?の
下町俊貴が、ファイター干場悟を迎え撃つ。
おそらく右利き?の下田、ジャブやショートの右フックなどに威力あり。
干場は手数を出し猛攻するが、ボディを攻められ苦しい。
しかし最終回はまた攻める。2-0で下町でしたが、熱戦でした。

個人的には下町には期待したいところです。
未完成ですが、体格に恵まれ、前の手のパンチが強いサウスポー。
上手く育てば、面白いと思いますが。


ライト級、井岡弘樹ジムの小西帝士(これで「ミカド」って読むらしいです)が
大分のダッシュ東保ジム、小畑武尊と対戦。
現役時代対戦した両会長の育てた選手の激突となりましたが、
サウスポーの小畑が攻めきって勝利、会長の雪辱を果たし?ました。


スーパーライト級、長身の宮本康平が、平仲BSのマーカス・スミスに
2回にぐいっと踏み込まれ、真っ直ぐ下がってしまったところを
サウスポースタンスからの連打を浴びて、KO負け。
スミスはこなれた感じは全然ないが、打ち込めたらパワーはある模様。


ウェルター級は安達陸虎が、清利樹を2回TKO。
初回に左ダブルで倒し、2回に右から左、連打でダウン、ストップ。
良い体型で、攻めの切れ味、威力はなかなか。
森武蔵を除けば、全日本での勝利を期待したい最右翼ですが、相手がどうかですね。



コメント (11)
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熱戦増加傾向にあり、という印象 今頃全日本新人王戦雑感

2016-12-27 22:36:51 | 新人王戦


ながらく更新が滞ってしまいました。
年末連続観戦予定のためもあり、ちょいと忙しかったのもありますが、
例えば全日本新人王だとか、いろいろ気になる試合とか、CSやネット動画で見る、
そのくらいの暇は充分あったんですが、何となくキーボードに手が行かず。
ひょっとしたらこれ「長谷川ロス」なのかなあ、とぼんやり思ったりもしました。

しかし、ええ歳こいてそんなことばかりも言っていられず、言うてる間に
年末上京観戦ツアーも目の前に迫ってきました。
とりあえずは一番最近見た全日本新人王についての感想をざっと書いて、
あとは年末のタイトルマッチラッシュについて、おいおいやっていきます。

年末観戦は30日有明、31日大田区に行きます。
京都での小國以載世界戦だけは、後ろ髪引かれる思いではあるのですが...。


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ということで今頃ですが全日本新人王決定戦。こちらに詳しい記事が出てます。
簡単に、目についたところを。


ミニマム級は、身体のパワーでは富岡達也でしたが、西の富田大樹が3回から足を使い
ジャブを増やした切り替えが奏功した感じでした。


ライトフライ級は試合内容よりも、G+実況解説の無茶苦茶さが印象的。
目の前でやってる試合で、何が起きているのか見えてないんか...と。
蟹江ジムの戸谷彰宏、パワーに欠けるがインファイトで正確なヒットを重ね勝利。
このジムはちょいちょい、新人王決勝に好選手を出してきます。指導者が良いんでしょうね。


フライ級の注目対決は、終わってみればボクシングへの習熟度の違いが出た、ということか。
まだ18歳だという、サウスポー中谷潤人の、若さに似合わず練れた感じと、
当て勘とパワーに頼った八方破れの矢吹正道の攻防は、ラフだけどスリル溢れるものでした。


Sフライはサウスポー福永亮次の左ストレートが当たる位置に、
藤本耕太が自分から寄っていく繰り返しで、見ていて奇異にさえ思いました。
対サウスポー対策を誤った選手と陣営を見たことは数あれど、これほど酷いのは珍しい。
普通に見て、そういう印象でした。私にはわからない意図があったのかもしれませんが。
藤本の身体の切れやスピードを見ると、充分勝てる相手だったと思いましたが。


バンタムは西日本ではMVPだった城後響が、正確なヒットを取るも
パワーと手数で押す新島聖人に二度ダウンされ、4回にストップ負けでした。
2回の攻防などは、再三好機と危機が入れ替わるスリリングな展開。
城後は再三あった好機に、逆に好打を浴びてそれを手放したのが痛かったです。
詰めの甘さ、パワー不足も僅かに感じました。


Sバンタムは当てる巧さ、外す巧さでは上だったと見えた松本竜也を、
サウスポーの岡本文太が際どく攻略。若干攻勢で上回ったか。
松本は受け身になりすぎた時間があり、それが響いた。


フェザーは専門誌などでも取り上げられていた注目の木村吉光が
スピード豊かに攻め込むも、2回に真っ正面から行くところに澤井剛志の左でダウン。
それ以外の回は速さで上回り、サイドに出て、ボディも攻めて押さえたが、
時々正面から行ってしまう場面もあり。
フライ級の矢吹正道同様、素質はあるがまだこなれていない。良い素材ではありそう。


Sフェザー級はサウスポー対決、ダウン応酬だったが、より深いダメージを与えた
粟田祐之が、最終回に上田隆司をリングエプロンに叩き出す派手なシーンもあり。
体格に恵まれた両者だが、パワーの差で粟田。


ライト級、スイッチヒッター?の石井龍輝が、小田翔夢の強打に対し、
当ててはクリンチ、という展開。3回、石井のヒットが4発あり、
そこで小田がマウスピースを落とすと、石井がレフェリーにアピール。
しかし誰も試合を止めていないので、小田が右から連打、ダウンを奪う。
これで心身ともに動揺した?石井に、小田が右アッパーを出鼻に叩いて4回KO。

この3回のシーンは本当に驚いたし、色々考えさせられました。
石井にしてみたら、アマチュア時代の感覚そのままの「スポーツマンシップ」だったのでしょうが、
私のような古い人間には「そこ、もう一発打つチャンスやのに」「誰も試合止めてないのに、
何やっとんの」としか映らないものでした。
なんというか、時代は変わってるんやなぁ、というか...。
これも、いつ頃ボクシングを見始めて、どんな試合を見聞きしてきているか、という部分で
だいぶ受け止め方が違う話なのかもしれませんが。



Sライト級は吉開右京がシャープな右を連発し、最後は左フックで大野俊人を3回KO。
大野は驚異的な逆転劇で勝ち上がってきた猛ファイターでしたが、
全日本の決勝では、逆転勝利はかないませんでした。
吉開はこのクラスにおいては、素晴らしい切れ味を持つ好選手でした。今後に期待です。


ウェルターとミドルは、それまでのクラスと比べると、若干スピードや切れが落ちる。
豊島亮太とあぐーマサルは、打ち合いの中でより相手を見て闘えた方が勝った、という印象でした。


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全日本新人王戦は、力を入れて見るきっかけひとつで、見始めると止まらない、
予選の段階から誰それを追いかけて、なんて思ってしまうと一巻の終わり、という感じですが、
ここ数年、全体的に好試合、熱戦、劇的な展開の試合が多くなっているような気がします。
今回も例年通りの長丁場ながら、生中継を見ていてもあっという間に時が過ぎてしまいました。


反面、階級にもよりますが、この試合の勝者が日本ランキング下位に入る、というのは
如何なものなのかな、と思うのも事実です。

もう数十年前、協会からの要請をコミッションが受け容れて、
優勝者を自動的に日本10位(今は15位)にする、という申し合わせが出来たのだそうです。
しかし、JBCルールに明文化されているでもなく、当時とは色々、事情も出場資格も違うのだから、
何も全階級、判で押したようにランカーにすることもないだろう、と思いますね。


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順当あり波乱あり、相も変わらず頭も当たる 全日本新人王決定戦2015TV観戦記

2015-12-21 07:45:50 | 新人王戦



ということで前夜に続き、昨日はG+生中継で有り難く観戦しました。
こちらの記事に詳細ありますが、感想を簡単に。


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ミニマム級は東の小浦翼が、接近戦でもセンスのあるところを見せました。
2回左フックでダウン奪い、粘る北村琉生の左ストレートに左フックを合わす。
くっついても冷静で巧い小浦に感心。この選手、あとは離れた位置に立って
巧く試合を回せるようになったら、上位進出は普通に出来そう。
ミニマム級が新人王戦に新設されて以降、最も才能に恵まれた選手かも知れません。

北村は相手が普通だったら充分全日本獲れそうだったが、相手が悪かった。


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ライトフライ級は、西で技術的に一番安定していると見たユーリ阿久井政悟が
細谷大希のインファイトにつきあってテンポを落とし、体力を浪費した印象。
TVで見てると、判定は若干意外な感じ。ホールでこの内容だと、大概負けかと思いましたが。

西軍代表決定戦では拳を傷めていたとかですが、過密日程の影響もあったか、
巧いけど攻撃に厚みがなさ過ぎます。体力強化も含め、今後に課題あり。


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フライ級は話題の工学部大学院生ボクサー坂本真宏登場。
坂本、試合開始の時点で疲労感あり、身体が重そう。過密日程とダメージの影響か。
ここまで無敗だけど、打たせる試合が多かったせい、と見えました。
対する志賀弘康は果敢に攻めてきて、坂本ヒット取るも手数で負ける。
強打と連打の対決でしたが、坂本は苦しいながらも打ち勝ち、左アッパーでKO。

坂本は防御を強化出来れば、身体も強いし良く鍛えているので、今後に期待ですね。


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スーパーフライ級は、18歳の強打者、梶颯が見事な初回KO。MVPはこちらかと思いましたが。
井上太陽は果敢に攻めて来るが、受けて返す形の梶が左フックから連打、右合わせて倒す。
再開後右ショートで二度目のダウンでKO。パワーがあって冷静で、若いけど、闘う男の風格があります。
今後は相手のレベルが上がるので、受け身になりすぎないことが大事かなと。

敗れた井上太陽は気合いも充分、短いながらも、こちらも魅力的な攻撃ボクシングを見せました。


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バンタム級は長身サウスポー武田航の技巧が、西軍代表決定戦で事実上MVP級の試合をした
姫路木下の清瀬天太を制しました。1回、清瀬右から入るが届かず、武田の長い左ストレートでダウン。
清瀬は右で入るが単発、武田は左、返しの右、また左ロングとヒットを重ねる。
終盤やや武田疲れたか、クリンチ、ホールド増えるが、要所で左を合わせて判定勝ち。

攻防共に新人王の水準を超えた内容の濃い試合。
武田は清瀬の攻撃を、距離を生かして外したが、終盤はやや失速気味。今後に少し不安も見えました。


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Sバンタム級は市村蓮司が金井隆明を初回KO。始まった時点で体格差あり。
金井果敢に闘うがパワーの差歴然、左フック二発、右ストレートが決まり、ツーダウンKO。
市村はMVP獲得。確かに見事な勝利でした。


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フェザー級は壮絶な打ち合い、ただし少々問題あり、な試合。
小柄ながらパワフルな萱沼徹平に対し、大柄な仲里周磨がヒットを重ねる立ち上がりだが、
中盤かなり酷いバッティングを喰らった仲里が出血。レフェリー、ろくに注意も警告もせず再開させる。
萱沼がこの後、左フックで仲里をダウン。
2回、仲里立て直す。接近して打ち合い、これは互角か。萱沼もカット、バッティング。

3回以降、萱沼押すがヒットで仲里。左ボディや右が再三決まる。
萱沼単発の強打と共に、バッティングやローブローも目に付くが、レフェリー放置。
最後は両者フラフラだが、懸命に手を出す。双方の闘志に拍手。
しかしヒットの正確さでは仲里。萱沼はラビットやオープンも多い。

ダウンした初回以外は、ほぼ仲里が抑えたか、イーブンラウンドがあるにしてもドローか、と見ました。
判定は1-0(49-46萱沼、47-47×2)、マジョリティドロー、萱沼優勢点で新人王獲得。

判定については見方はそれぞれでしょうが、TVで見てると仲里勝利で問題無いと見えました。
しかしリングサイドで見ているジャッジには、萱沼のパワーが印象的だった、ということかもしれません。

それは仕方ないとしても、これじゃあ、頭突きはやったもん勝ちなんやね、という感じも残りました。
こういう試合を見ると、やっぱりWBCルール(切ってない方から減点)導入も必要なのかなぁ、と考えてしまいます。


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Sフェザー級は、何でも生年月日が同じ、戦績も7勝5KO無敗同士という石川元希と中谷有利の対決。
1回、中谷はいつもよりはガードを上げ気味。長い右ボディストレート、しかし石川右フック合わせ、中谷が腰を落とす。
石川は右目を傷めたか、気にする仕草。
2回、両者共、強打には自信があるが、防御には不安がある模様。打ってはクリンチ。リズムがなく、流れもない。
3回、中谷身体を晒して正面から右連発。石川は左を返すが、中谷がそれを外して右でダウン奪う。
しかし両者とも、打ち合うとガードを忘れ、打たれたら思い出す、という繰り返し。ひとことで言うとドタバタ。

4回、石川の右目にドクターチェック入る。パンチが目に入って視力が落ちているらしい。
この後バッティングで二度目のチェック、石川今度は鼻骨骨折とのことでストップ。
負傷判定となり、38-37、39-36×2で中谷。

両者とも体格、強打に恵まれた者同士ながら、技術面では到底褒められた試合ではなし。
中谷の半ば捨て身の攻撃が、従来からある石川の防御の問題点を拡大させた、という印象。

試合後のインタビュー、アナウンサーが「見事なノックアウトでしたね」とボケをかます。
長丁場で疲労しているのは観客や視聴者だけではない模様...。


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ライト級は、サウスポーの中島龍成が西のMVP松村智昭に対し、当てては動くの繰り返し。
松村、サウスポー相手に苦戦、距離が合わない。
2回ローブローで中島少し休憩。3回左喰ったあと松村右ヒット。
4回中島の右フックで松村バランス崩す。判定はスリップ。中島終盤カウンターから攻勢。
5回、中島右で突き放す。
西のMVP松村の強打不発。技巧のサウスポー相手に苦杯。


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Sライト級は東のMVP河田神二郎と、鹿児島のサウスポー藤田光良。
1回藤田回って左、河田少しやりにくそう。
2回河田左ボディ連発。しかしこの後バッティングがあり少しだけ休憩。
出血こそなかったが河田、けっこうダメージある様子で、見るからに動きが悪くなる。

藤田左ストレート、右フック合わせ、河田動きが止まり、腰落とし、という場面あり。
4回は河田が強引に出るが、藤田もカウンター。微妙。5回バッティングで河田カット。
もつれながら手数で河田が取ったか。

2回、3回は藤田、5回は河田、あとは微妙という印象でしたが、藤田が3-0で勝利。
この試合も、2回のバッティングが試合の流れに影響したように見えました。

ということで、東西共にMVP受難の決勝戦。揃って対サウスポー戦で苦杯を舐めました。


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ウェルター級は、永野祐樹が抜群の長身、リーチを持つジラフ麒麟神田を初回KO。
長い右ボディをヒットしていた神田だが、踏み込まれて左を喰い、二度ダウン。
神田は距離を支配できれば良いのですが、やはり左ジャブが出ないのでは厳しいか。


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ミドル級は、外国人選手との連戦となった長濱陸が、ロックハート・ブランドンシェーンに判定勝ち。
両者良く見て打ち外す。初回ややブランドンシェーン。2回長濱左ボディヒット。
3回大柄な長濱が左フックなどで押す。ブランドンシェーン徐々に失速。4回も長濱左ボディなど手数出す。
意外にというと失礼ながら、キャリアの浅い長濱が全体的に良くなっていた印象でした。


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そういうことで、全体的にトピックが多い決勝戦でした。
あれこれ見所があり、起伏があり、順当な勝利あれば波乱も重なり、やや問題もあり、という。

三賞はMVP市村、技能梶、敢闘坂本でしたが、個人的にはMVPと技能は逆でもOKかなと。
敢闘は、観戦していた方とも意見が一致したんですが、私が選ぶならやはり、仲里周磨ですね。



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新人王たちが直面する希望と苦悩 西軍代表決定戦2015観戦記

2015-11-16 12:54:58 | 新人王戦


ということで昨日は新人王西軍代表決定戦を見てきました。

府立の地下はなかなかの盛況でした。
やはり各地区を勝ち上がってきた選手同士、これまで快勝も多かった選手が、
なかなかそう簡単にはいかない現実に直面する、ほぼ初めての機会かな、
という印象の「ままならぬ」試合が多かったです。
しかしそういう試合ほど、中身の濃いものだったりもしますが。


そういうことで全試合頑張って見てきました。
今回は、オープン戦の段階から、これはええかなと目を付けた選手や、
えらい戦績の選手もいて、G+とスカイAで、事前の試合もきっちり予習済みな上、
先日は東の決勝まで観戦してきたので、先のことまで楽しみにしつつの観戦でした。

結果、全日本も楽しみやなー、と思う階級があれば、残念ながら...と思うものもあり。
試合数が多いので、出来る限り簡単に、メモ程度ですが戦評。


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各選手の戦績は試合前のもの。表記の無い試合は5回戦。
上が西日本、下が中部・西部日本対抗戦の勝者です。

ミニマム級(4回戦)
北村流生(六島) 6戦5勝(1KO)1敗
安藤勇太(畑中) 3戦2勝1分

北村3-0判定勝ち。
立ち上がり、低い姿勢で右から入る安藤に、やりにくそうな北村、右フックでダウンを喫する。
ダメージありと見えたが、懸命に立て直し、動いて離れ、左ストレートでボディ攻撃。
安藤動きが止まり、北村の左決まって3回には逆にダウン。4回も北村が抑えて逆転勝利。

北村は悪い立ち上がりからしっかり挽回。足捌きと左の上下が良い。
東の小浦翼は手も足も速く手強いが、攻めを急く選手でもあり。
サウスポーの優位性を生かし、慌てず対処して、正確に左を決めたい。


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ライトフライ級(4回戦)
ユーリ阿久井政悟(倉敷守安) 5戦4勝(2KO)1分
大城信博(琉球) 4戦2勝(2KO)2分

ユーリ阿久井3-0判定勝ち。
大城が積極的に連打。手数では大城も、阿久井は大半をブロック。
初回右アッパー、2回左ダブル、ワンツーなど、時に鋭い攻撃が目を引くが、
攻め手が少なく受け身に過ぎる印象も。4回も見ていたが、最後に左カウンターで
大城をぐらつかせて攻め、ポイントは抑えた。

昨年惜しくも敗退も、好選手として印象を残したボクサータイプの阿久井、
冷静に見て外し、というのは良いが、もう少し攻め手を増やしてほしい。
技術面では今年の全階級でもトップクラスだけに、全日本獲ってもらいたいですね。


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フライ級
坂本真宏(六島) 4戦4勝(3KO)
吉房克曜(トヤマ) 4戦4勝(1KO)

坂本2-1判定勝ち。
吉房足使うが少し腰高で雑。坂本追うが手数が出ない。初回最後にワンツー。
2回坂本左右フック。3回、吉房の足捌きがこなれてくる。ジャブで坂本をコントロール。
4回、坂本ジャブを食いつつ右ヒットも、バッティングで出血。吉房も疲れたか、スリップ。
5回、吉房奮起して足使い、坂本を捌く。坂本ヒットあるも単発。

坂本は勝ったものの打たせる傾向あり。強打は魅力ですが、その辺が不安。
吉房はよく動いて、3回、5回はクリアに取ったと見えたが、微妙な回を取れなかったか。
さうぽん採点は48-47で坂本。無理矢理振り分けたら、攻勢点で坂本、と見ました。


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スーパーフライ級
平野拳生(風間) 5戦5勝(3KO)
井上太陽(広島三栄) 5戦4勝(3KO)1敗

井上不戦勝。平野の計量失格による。
これは会場に行くまで知らず、がっかりしました。今年の目玉選手のひとりだったのに。
リングに上がって挨拶した井上、相当腹立たしかったのでしょう、終始険しい表情のままでした。
何とも言いようがありません。非常に残念です。


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バンタム級
清瀬天太(姫路木下) 8戦6勝(1KO)1敗1分
水野拓哉(松田) 8戦7勝(7KO)1分

清瀬2-0判定勝ち。
本日のメインイベントという感じの一戦。注目は、圧倒的な戦績どおりの強さと評判の水野。
長身、リーチに恵まれ、鋭いワンツーから下に返す左ボディに必殺の威力を秘める。
その試合ぶりを何試合か見た人いわく「単に倒すだけじゃない。相手がことごとく大の字か悶絶するか」
という感じだそう。
対する清瀬はKOこそ少ないが、攻防共に堅調で、よく動いて外し、攻める丁寧なボクシングが良い。

この日出た青コーナーの選手中、一番の大応援団から声援を受けた水野、花道を満面の笑顔で駆け抜ける。
初回、水野余裕の表情で見ている。仕掛けるのは常に清瀬。よく動き、右から入ったり、左返したりとヒットを取る。
2回、水野出て右ストレート、しかし清瀬同じパンチをリターン。水野は得意の左ボディをのぞかせるも、
清瀬はよく動いて水野の手数を封じ、再三右を当てる。水野カット、パンチによる。

3回、水野は「そろそろ捉えないと」という風で攻めるも、ミスも目立つ。清瀬は良いペースだったが、
やや打ち気が出たか、動きを止め加減で打ち合う。ここはパワーでまさる水野が有利。
清瀬左フック好打も、水野が右、左ボディやアッパーで打ち勝つ。
4回、両者激しい打ち合い。水野アッパーに左ボディ、清瀬アッパー返すも水野がスリーパンチ。
清瀬右決めるが、打ち合いでまたも水野がまさる。
5回、清瀬は連打、右カウンター。水野は手数を増やして追う。清瀬単発ながらリターンパンチが決まる。
水野は懸命に右や左ボディを繰り出すが、清瀬奮起して応戦、打ち合い、ゴング。

さうぽん採点は48-47、清瀬。公式採点は同スコアが二人、あとは48-48でした。


水野は試合前から余裕の笑顔で、立ち上がりもまるで「いつでも倒せる」と言わんばかりでした。
言ってはなんですが、相手も馬鹿じゃない、西のトーナメントを勝ち上がってきた選手なわけで、
しかもこれだけ映像資料が豊富な時代において、当然研究もされ、対策も練られ、さらにいうなら、
強敵相手に勝つために、普段以上の猛練習を積んでくるとしたら、これまでのようにはいかない、という発想が
その様子や試合ぶりから、傍目にはまったく感じられなかったのが残念でした。
ことに序盤の失点は致命的で、そのせいで終盤も、相手の粘りを引き出してしまった感がありました。

対する清瀬は、何試合か過去に見て、突出したものは感じないかわりに、全体的にまとまっていて、
よく頭の位置を変え、足も使ってよく動き、手数も出る好選手だとは知っていました。
強敵相手に萎縮せず、スタートから集中していて、攻め込まれて足が止まる場面も乗り切り、
最後までやるべきことを全てやりきって勝った試合ぶりは予想以上で、大いに称えたい、見事なものでした。

全日本の相手は技巧の長身サウスポー武田航。
今回とはまったくタイプの違う、しかしまたも強敵ですが、全力ファイトに期待です。


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スーパーバンタム級
金井隆明(ロマンサ雅) 9戦6勝(3KO)3敗
伊藤真嗣(蟹江) 7戦4勝(1KO)2敗1分

金井2-1判定勝ち。
初回伊藤がジャブを決めるが、終盤金井が右から連打。2回、金井が出るが伊藤の右カウンター。
3回、金井が手数で押す。4回、打ち合いになり、伊藤が右ダイレクトを決める。
5回、伊藤がジャブ、右アッパーなどで抜け出す。金井は左フック好打するもミス多い。

さうぽん採点は48-47伊藤。公式採点は割れていました。
金井の全日本の相手は、東の決勝で初回KOを決めた市村蓮司。
初回KOだから強く見えるのは当然ですが、右クロスの威力はなかなかのもので、
まずは立ち上がり捉まらないように注意して、粘り強く闘いたいですね。


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フェザー級
永野祐人(グリーンツダ) 5戦5勝(2KO)
仲里周磨(ナカザト) 4戦4勝(3KO)

仲里5回KO勝ち。
永野は低い構え、目で外して、カウンターを狙う変則気味なスタイル。
仲里は小柄な父君と違い、大柄で長身。
初回永野がカウンターを見せ、仲里は手が止まる。2回仲里は右のダイレクトを決め追撃。
3回以降、仲里は硬い印象だったがほぐれてきたか、手数が増え左ボディ、右が決まり出す。
永野は徐々に失速。5回、右から左の返しが決まって永野ダウン、KO。

巧いカウンターで仲里を苦しめていた永野ですが、最後は仲里のパワーが出た一戦。
仲里は全体的に硬く、左リードの数も足りないですが、いったん流れにのれば、
抜群の体格と強打が生きます。良い展開になれば、全日本でも期待できそうです。


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スーパーフェザー級
中谷有利(グリーンツダ) 6戦6勝(5KO)
ファイン新井(関門JAPAN) 7戦5勝(1KO)1敗1分

中谷2-1判定勝ち。
初回、長身の中谷、ジャブを突かず新井に接近され、ガードで顔を覆い、そこから打ち合う。
右ストレート、左ボディアッパーを強振するが、新井が再三右を決める。
中谷の反撃は単調で、同じパンチを強振するばかり。初回にしてもうフォームが崩れている。
2回、中谷右ストレート、新井も返す。打ち合いになる。
3回、中谷リーチを生かせず打ち合う。派手なヒットもあれば、派手なミスもあり。
新井はこつこつ当てて反撃。
4回、両者右アッパー、左ボディ、コンビを互いに決め合う打ち合い続く。パワーでやや中谷か。
5回、さらに打ち合い続く。正確さでやや新井か。

判定は割れていました。さうぽん採点は迷う回を振り分けて48-47、新井。

しかし、判定どうこう以前に、中谷のボクシングに対する心配が、この試合の全てでした。
自分のパンチが決まれば相手が倒れるという前提で試合をしていて、その先の備えが何も無い。
ジャブを出さず、動かず、距離を作らず、同じパンチを繰り返し強振するだけ。
少ないラウンドだからなんとか収拾がついていますが、新人王トーナメントを終えて、
こんな調子で闘っていったら、その先に何があるかは目に見えています。

この日、会場に向かう道すがら、東日本新人王、MTジムの石川元希の姿を見かけました。
当然、中谷の試合を見に来たわけでしょうが、彼の目にはこの試合、どのように映ったんでしょうね。
うまい具合に油断してくれたらええなぁ、というくらいしか、思うことがありません。


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ライト級
松村智昭(グリーンツダ) 5戦5勝(3KO)
市川大樹(駿河男児) 6戦6勝(4KO)

松村3回KO勝ち。
強打の全勝対決。共にがっちりして良い体格。
初回、松村が左右のフックで仕掛ける。当てては動く、良い流れ。
2回やや膠着、揉み合い増える。市川徐々に立て直しているかに見えるが、
3回、松村の右クロスがクリーンヒット、市原後方へダウン、後頭部をキャンバスに打ち付ける。
痛烈なノックアウト。一時は関係者総出で市村を介抱、担架も出たが使用はされず。

MVP受賞の松村、全日本の相手は柔軟な動きが持ち味のサウスポー中嶋龍成。
巧くてやりにくそうな相手だが、ちょっとスタミナに不安もあり?という印象でした。
強打を狙いすぎず、ボディを攻めるなどして、止めてから狙えたら最高ですね。
なかなか簡単にはいかないでしょうが。


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スーパーライト級
福山一磨(森岡) 12戦5勝4敗3分
藤田光良(鹿児島) 8戦6勝(3KO)2敗

藤田2-1判定勝ち。
サウスポー藤田が左ストレートを上下に決めてリード。福山はパンチの正確さに欠ける。
4回、福山の右から攻勢、藤田少しバランス崩す。5回、藤田やや疲れか失速気味。
福山果敢に手数を出すも逆転ならず。

左のタイミングに目を引くものがあった藤田ですが、全日本の相手は東のMVP、河田神二郎。
柔軟そうな筋肉を持つパンチャーです。巧く空転させるためには、まずスタミナ強化が大事でしょうか。


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ウェルター級(4回戦)
ジラフ麒麟神田(千里馬神戸) 6戦5勝(3KO)1敗
斉木新悟(コパン星野) 3戦3勝(3KO)

神田2-1判定勝ち。
初回、長身、大柄な神田は左を前に伸ばした構えをレフェリーに注意される。たしかによろしくない。
2回、斉木はリーチに阻まれなかなか入れない。神田はたまに長い右ストレート伸ばす。
3回、斉木が前に出て攻める。ヒットはわずか。4回、神田が足使い、ジャブ、右を出す。

あまりこういうことは書きたくないですが、内容に乏しい試合。判定は「どちらとも言えません」という感じ。
誰も彼もがそんな、傍目の思うように出来たら苦労ないわ、ということは承知の上で敢えて言いますが、
せっかくあんな良い体格をしているんだから、遠くからジャブを正確に当てられたら、それだけでどんなにいいか。
今後の改善に期待します。


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ミドル級
ロックハート・ブランドンシェーン(森岡) 8戦5勝(4KO)3敗
冨尾紘毅(冷研鶴崎) 11戦5勝(5KO)6敗

ブランドンシェーン4回KO勝ち。
初回、筋骨隆々の小柄なブランドンシェーンが右フックを振って攻めるが、富雄右合わせて
ブランドンシェーンが膝をつく。判定はスリップ。この辺はよくわかりませんでした。
3回、富尾が前に、細かく連打。ブランドンシェーンが左、右フック。
4回、ブランドンシェーンの右フックがカウンター気味に決まり、富尾ダウン。
終わったかと思ったが富尾立ち上がる。場内騒然。しかし再開後追撃2発でストップ。

柔軟さには欠けるが強打はさすがのブランドンシェーン。全日本はまだ2勝1分のキャリアしかないが
アルバニア人の37歳ボクサーとして話題になったアルティン・ペパを破った長濱陸が相手。
ここはキャリアの差を生かして、強打を決めて欲しいところ。
長濱は東日本、全日本と新人王決勝で外国人ボクサーと連戦です。これは珍しいような気が。


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そういうことで、つらつら書いてたらえらく長くなってしまいました。やれやれ。
まあ覚え書き半分ということで。
判定に関する見解は、見方はそれぞれ、ということでご了承願いたいところです。
今回はけっこう良い席で見られたんですが、だからといって試合の全景を余すところなく見られるか、
というと、そうとも限らなかったりもしますし。

しかし、何よりも残念だったのはスーパーフライ級ですね。
事情に違いはあれど、東と西がそれぞれ、決勝戦なしで代表が決まったわけですから。
ひどい話になってしまったなぁ、と残念です。梶颯vs平野拳生、見てみたかったなー。
(よく考えたら私、両方とも会場に足運んでは空振り喰らってるんですよね。とほほ、です)


ということで、来月の全日本決勝ですが、ありがたいことにG+で生中継があるので、大いに楽しみです。
西軍の勝算いかに、という話については、当たり前ですが階級ごとに違ってきます。
その辺は今回、それぞれの戦評にも書いたり書かなかったりしましたが、
あまり深く突っ込まず、行間を読んでいただけたら、というところで逃げて(笑)各選手の健闘に期待します。

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やはりあとが大変・新人王西軍代表決定戦観戦記

2011-10-29 21:41:24 | 新人王戦
本日は新大阪で新人王西軍代表決定戦を観戦してまいりました。
西日本決勝のときも書いたのですが、やはり一度見て、目につく選手がいると
どうしてもその年は追いかけたくなってしまうものであります。

以下、ざっくりと感想を書きます。
戦績は試合前のものです。

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ミニマム級 山本裕貴(江見) 9戦4勝(1KO)5敗
      北原和馬(畑中) 7戦6勝(3KO)1敗

三者三様の引き分け。山本の勝者扱い。
ミニマムにしては長身のボクサータイプ同士。
サウスポー山本が左ヒットするが、2回に北原の右でダウン。
この辺は北原が冷静に迎え撃ちしましたが、
その後山本が右フックを中心に巻き返す展開。
正直、どちらとも言いにくい試合でした。

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ライトフライ級 沖田英志(JM加古川) 8戦6勝(1KO)2敗
        菖蒲晋也(松田) 9戦7勝(2KO)2敗

沖田3-0判定勝ち。
小柄でがっちりした体格同士。菖蒲が前に出て攻めるがいかにも粗い。
沖田はやや手を焼きつつも、冷静に対処し迎え撃ち。
右クロス、アッパー、ボディの応酬ながら、正確さで圧倒的に沖田。

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フライ級 岡 成紀(明石) 5戦5勝(2KO)
     阪下優友(とよはし櫻) 9戦5勝(3KO)2敗2分

阪下5回TKO勝ち。
長身同士の対戦。サウスポー岡が左回りをしてしまうところに
阪下の右が二発決まって、初回に岡がダウン。
しかし岡が右回りをし始めた2回から岡が挽回、左→右フックがよく決まる。
4回半ばからボディのダメージが、岡の足が止まりかけ、また阪下攻勢。
5回、阪下の右で岡が打ち込まれ、ストップ。

最近、サウスポーの回る方向の是非について、考えさせられる試合が多いですが、
今日の岡の良いときと悪いときを見ていると、やはり基本は右回りであるべき、と
改めて思いました。右回りが出来なくなると、やはり苦しい展開になるな、と。

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スーパーフライ級 小林健太郎(六島) 6戦6勝(2KO)
         奥村健太(本田フィットネス) 9戦8勝(2KO)1敗

1-0引き分け、小林の勝者扱い。
小柄なサウスポー同士、ボクサータイプ小林が、ファイター奥村を迎え撃ち。
右フックのダブルがよく決まる。奥村は序盤から打たれるが手を止めない。
4回から小林の手数が減り、それに乗じて奥村が攻勢。
5回もボディ、右フックの相打ちなどで打ち勝つ。

判定は48-47小林が一者、あと二人が48-48。
ちなみにさうぽん採点は48-47で小林でした。
奥村の健闘にも拍手を送りたいと思います。熱戦でした。

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バンタム級 金 裕範(森岡) 7戦7勝(3KO)
      外山治樹(FUKUOKA) 6戦6勝(3KO)

外山3-0判定勝ち。
サウスポー同士の対戦、長身の金が長い右リードから左を合わせる。
外山は低い姿勢から頭を振って前に。
初回、金の右ジャブがカウンターのタイミングで入り、外山ぐらつく。
しかし外山、果敢に攻め立て、クリンチを振りほどいて打つ。闘志満々。
2回、ぐいぐい攻めて金を下がらせ、左フックでダウンを奪う。
3回以降、ダメージ、疲れ、圧力に抗おうとする金を外山が攻め続け、
金は再三ピンチ、スリップダウンも3度あるなど、外山が圧倒。
最終回、足が揃ってしまった金も何とか粘り、判定まで生き延びた。

西日本決勝の時、京口、西脇、小林をトップ3と書きましたが、
それに次ぐとしたらこの金かと思っていました。
大柄で、スピードもパンチもあるサウスポーでしたが、
外山の低い姿勢から攻め続ける体力と闘志に完敗でした。
残念ですが、今回の敗戦を教訓に、また頑張ってほしいと思います。

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スーパーバンタム級 石川慎祐(ハラダ) 9戦6勝(2KO)3敗
          小澤有毅(筑豊) 6戦6勝(2KO)

小澤2-1判定勝ち。
長身の小澤がワンツー、ストレート中心にヒットを重ねる。
石川は攻め込むとき、頭も一緒に行く形で、そこへ小澤が時折
ダッキングして頭を持っていく。バッティングや揉み合いが多い試合。

採点は48-47石川、48-47小澤、49-46小澤。
さうぽん採点は49-46小澤。
判定は割れていると知ったときは、ホームランの予感がしましたが、
まあ勝ち負けが逆じゃないだけ良かったか、というところでした。

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フェザー級 京口竜人(大阪帝拳) 5戦5勝(4KO)
      中尾正茂(三松) 9戦6勝(5KO)3敗

京口3回TKO勝ち。
長身のサウスポー中尾に対し、右から当てようとする京口だが、
中尾の懐の深さにやや困惑、右をミスして左を食う。
2回、中尾の長い左をスウェーして右を返すも届かず。
これ、今日は苦戦かなと思った直後、今度はダイレクトの右をヒット。
3回、左ボディから攻め、右から左フックでダウンを奪う。
立った中尾に鋭い追撃、最後は右ストレートで豪快に倒し、KO勝ち。

今日はやりにくそうな様子だった京口、浅いキャリアですから当然ですが、
対サウスポーのボクシングは今後の課題として残りました。
しかしひとつきっかけを掴んだら、怒濤の攻撃で攻め落とす。
やはり魅力ある選手です。全日本が楽しみですね。

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スーパーフェザー級 西脇一歩(六島) 5戦5勝(4KO)
          藤丸英和(畑中) 4戦2勝2敗

1-0引き分け、西脇の勝者扱い。この試合は4回戦。
両者の戦績を見て、これは西脇がきれいに勝つかなと思ったら、甘かったです。
長身の西脇が、低い姿勢から攻め上げる藤丸の接近を安易に許す立ち上がり。
それでも2回、ボディを叩いた西脇がワンツーを決め、攻勢。
ところが3回、4回が悪い。接近戦で打ち合いが続き、西脇のヒットは単発。
藤丸は身体を振って左フックから入り、ボディ、右の連打がヒット。
西脇は自分の距離を殺され、失点を重ねたように見えました。

採点は39-37西脇、38-38×2の1-0引き分け。
ちなみにさうぽん採点は39-37、藤丸でした。
いずれにせよ西脇は、自分の長所をほとんど出せずに試合を終えました。
全日本までにどう立て直してくるか、注目です。

=====================================

ライト級 堀井 翔(グリーンツダ) 9戦6勝(1KO)2敗1分
     岩田祐司(中日) 7戦4勝(1KO)3敗

岩田3-0判定勝ち。
サウスポーで立ち上がった岩田が、再三スイッチを披露。
岩田はスイッチ直後に右ヒット、左に変えて連打で攻め込むなど序盤リード。
堀井が3回から挽回し、岩田のスイッチも奏功しなくなる。
最終回は岩田が右ヒット、連打で押し返す展開。

採点は48-47×2、49-47で岩田。
※記憶違いで逆の結果を書いてしまっていましたが訂正しました。
こいあさん、ご指摘ありがとうございました。

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スーパーライト級 小川 浩(ハラダ) 6戦4勝(3KO)1敗1分
         蒔田貴弘(駿河) 5戦3勝(2KO)1敗1分け

蒔田3-0判定勝ち。これ以降全て4回戦。
小川が開始早々から強い右で攻め込む。しかしガードが常に開いてしまう状態。
蒔田は打たれながらも時折正確な反撃。初回攻め込む小川に左フックを決めダウンを奪う。
2回また小川攻め込むも、蒔田の右から左で2度目のダウン。
小川挽回すべく懸命に反撃するもかなわず。
終始激しい打ち合いを繰り広げましたが、ガードの甘さに泣きました。

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ウェルター級 米尾達哉(奈良) 2戦2勝
       堀 隆弘(HEIWA) 7戦4勝(3KO)3敗

米尾2-0判定勝ち。
初回、ワイルドな右を振る堀に、米尾はフリッカー気味のジャブ、右。
2回、堀はいきなりの右を減らし、左から入る。多少バランスが改善。
左フックが決まり、この回を取る。
米尾は左を下げる構えで、右ガードもちょっと低く、堀のヒットを許す。
最終4回、堀が接近戦に持ち込み、米尾のジャブを殺し、打ち合い。

採点は39-37×2、38-38で米尾。
さうぽん採点は39-37、堀。
これも個人的にはちょっと?という印象ではありました。

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ミドル級 大石 豊(風間) 8戦6勝(4KO)2敗
     寺西 渓(大一スペースK) 2戦1勝(1KO)1敗

大石3-0判定勝ち。
初回早々、大石の右クロスが決まり、寺西がダウン。
立ち上がった寺西、ガードを固め、時折アッパーで反撃。
大石もボディ、アッパーを決め終始優勢も、右に頼りすぎて
粘る寺西を打ち崩せず。寺西はよく粘って反撃、健闘でした。

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と、いうことでざっと振り返ってみましたが、
採点については、自分の見方と違うな、というのがいくつかあったので書いておきました。
しかし、何も私の採点が絶対なわけではないので、そこはご了承下さい。
何せ12試合もありますので、普通に見ているだけでも、ちと疲れます(^^;)

新人王戦というのは、年によってレベルの違いが多少あるとはいえ、
やはり西軍代表決定戦にまでなると、それぞれの地域で勝ち上がってきた選手同士だけに、
そう簡単に、はっきりとした勝負がつかない試合が多いです。
西日本で優勝するまでの過程では、鮮やかな勝利をいくつか見せてきた選手たちも、
中部・西部日本の対抗戦を経てやってきた相手に、大いに苦しめられていました。

そういう中で、今回もMVPを獲得した京口竜人は、やはり大器かも知れません。
上記したとおり、対サウスポー攻略のシステムを何も持っていないに等しい段階で、
手探りの試合の中、一度きっかけを掴みさえすれば、鮮やかなフィニッシュを見せてくれました。

これはやはり、全日本も楽しみです。G+の生中継はあるのでしょうかね。
もし、放送がないのだとしたら、またも思案のしどころであります...。

やはり、新人王戦はあまり深入りするものではないのかもしれませんね(^^;)

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はまり過ぎると後が大変・西日本新人王決勝戦観戦記

2011-09-12 20:25:24 | 新人王戦
昨日は西日本新人王決勝戦を観戦してきました。
新大阪のメルパルクホールという劇場ホールでの開催でしたが
場内なかなかの盛況でありました。

以下、せっかく見てきたんですから、あくまでざっと、大まかにではありますが
各階級について雑感というか感想を(戦績はこの試合前のものです)。


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ミニマム級 山本裕貴(江見) 8戦3勝(1KO)5敗
      油田京士(エディタウンゼント) 5戦4勝(2KO)1敗

山本の2-1判定勝ち。
戦績見ると油田有利かと思ったのですがサウスポー山本が強引な先制攻撃を仕掛け押し切る。
果敢なボディ攻撃と同時にバッティングもかなりあり。
油田は左フックを好打。このパンチはもっと打てばさらに当たった感じもしたが、追撃が甘かった。

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ライトフライ級 沖田英志(JM加古川) 7戦5勝(1KO)2敗
        森仁志(真正) 7戦3勝3敗1分

沖田の3-0判定勝ち。
3R沖田の右→左の返しで森がダウン。
終始ビジーファイトが続いたが、互いに緩急がなかったのが残念。

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フライ級 井上英之(ワイルドビート) 10戦5勝5敗
     岡成紀(明石) 4戦4勝(2KO)

岡の2-1判定勝ち。
サウスポー同士。岡ゆったり構えてフリッカー気味の右ジャブ。
中盤から両者ヒットの応酬。僅差ながら岡の勝利。

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スーパーフライ級 小林健太郎(六島) 5戦5勝(2KO)
         中村竜太(高砂) 9戦5勝(3KO)1敗3分

小林3-0判定勝ち。小林は技能賞受賞。
サウスポーの技巧派小林が、速い左から右の返しを再三当てる。
長身の中村は3Rからボディ攻撃を端緒に猛反撃。小林パンチで瞼をカット。
打ち合いに持ち込みかけた中村だったが4Rから小林が足を使い、打ち合いでも勝つ。

両者共に高い技術、闘志を見せ、西脇vs岩崎戦(SFe級)と並ぶ好試合でした。
小林は思い切り良い例えをすると、ちょっとイバン・カルデロンぽい感じ(笑)。
左と足が速く防御の良い好選手ですが、本家と違って右リードが足りない。
本家と同じなのはパワー不足なところ(^^;)
とはいえ技術がしっかりとあって、見ていて楽しい。
こういう選手、個人的には好きです。今後さらに期待です。

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バンタム級 定道渉(姫路木下) 4戦2勝(2KO)2敗
      金裕範(森岡) 6戦6勝(3KO)

金の3-0判定勝ち。
1Rロープ際で長身サウスポー金の左が決まり定道ダウン。
その後も金が打ち合いでもまさって判定勝ち。この選手もけっこ強いなあという感じ。

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スーパーバンタム級 立川秀和(奈良) 3戦3勝(3KO)
          石川慎祐(ハラダ) 8戦5勝(2KO)3敗

石川3-0判定勝ち。
低い姿勢で攻める石川がボディ攻撃を中心に攻めきって勝利。
立川は全KOの強打不発。

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フェザー級 京口竜人(大阪帝拳) 4戦4勝(3KO)
      杉田聖(奈良) 5戦5勝(3KO)

京口の2RKO勝ち。京口はMVP受賞。
立ち上がりから京口のスピード、防御勘が目を引く。
若干、辰吉風に前傾気味ながらガードは高め。速い右が二度決まり
杉田バランスを崩す。判定はスリップだったが、ダウンに近いダメージあり。
2R、またも速い右がまた決まり、今度は杉田ダウン。
再開後連打で追い立て左のダブルで二度目のダウン、KO。

噂は聞いていた強打の京口、辰吉二世とはやや大げさかもしれませんが、
こと新人王レベルでは群を抜いたセンスと強打に見えました。
攻撃的なボクサーファイターで、よける勘も良いように思います。
今後注目されそうで、攻撃に気が行きすぎる可能性はありますが、
うまくバランスをとった指導があれば、将来大成する可能性ありと見ました。
今後のトーナメントの過程を追いかけたいと思わせる、楽しみな選手です(^^)

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スーパーフェザー級 西脇一歩(六島) 4戦4勝(4KO)
          岩崎雄宇(SFマキ) 5戦5勝(2KO)

西脇の3-0判定勝ち。
長身の強打者同士の対戦。1R西脇が左でダウンを奪う。
2Rも西脇が左フックを決めてぐらつかせ、ボディ、アッパーを打ちまくるが
岩崎が猛反撃。ワンツーを決め激しい打ち合いに。
4R岩崎が右クロスからボディを決め優勢。
最終5Rは両者ボディ打ちにアッパーの応酬。

西脇は初の判定勝ち。スケールの大きいボクシングを見せたが倒せず。
これは何故かというと、まず相手が強かったから、と言うことですね。
岩崎の健闘に拍手です。
西脇は全体的にもっと厳しく突き放し、好機にはきちっと追撃せねばならない、
これからは一発で終わる試合ばかりじゃないということを
強敵相手に教わった試合だったと思います。この苦戦を今後に生かしてほしいですね。

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ライト級 堀井翔(グリーンツダ) 8戦5勝2敗1分
     村田和也(千里馬神戸) 5戦4勝(1KO)1敗

堀井2RTKO勝ち。
小柄な堀井が長身の村田に右クロスを決め1Rからダウンを奪う。
同じパンチが2Rにも決まり二度目のダウン。再開後、千里馬コーナータオル投入。
あっさり決まった試合でした。

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スーパーライト級 須田繁哉(奈良) 5戦2勝(1KO)3敗
         小川浩一(ハラダ) 5戦3勝(2KO)1敗1分

小川の1RKO勝ち。小川は敢闘賞。
1R小川の右アッパーがサウスポー須田を捉えダウン。二度目も同じパンチか。
これまた早い決着でした。

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ウェルター級 米尾達哉(奈良) 1戦1勝
       美柑英男(仲里ATSUMI) 3戦1勝1敗1分

米尾の3-0判定勝ち。
決勝戦というにはちょっとさみしい戦績同士の試合でしたが、米尾が勝利。

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ミドル級 田中博人(真正) 1戦1敗
     大石豊(風間) 7戦5勝(3KO)2敗

大石の2RTKO勝ち。
これまた、というか、無茶な話もあるもんやなぁという組み合わせ。
ところが実際始まってみると田中が健闘。右クロスを端緒に、大柄な大石に打ちかかり、
連打で後退させる場面も。
しかし大石がパワーの差を見せて反撃、右でぐらつかせ、2Rに連打で捉えてTKO勝ち。

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ヘビー級 タカシラサカ(BMB) 6戦3勝(2KO)3敗
     樋高リオ(仲里ATSUMI) 5戦5勝(5KO)

樋高2RTKO勝ち。
このカードは再戦で、樋高の日本デビュー戦で対戦、樋高のKO勝ちでした。
1Rシラサカが懸命に攻めるも、樋高の連打から右でダウンを奪われ、2R右クロスから
また連打されるところでTKO。樋高がシラサカを返り討ちにしました。

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ざっと振り返って、全体としては例年くらいか、やや上かな?というレベルに見えました。
もちろん階級によって選手層が薄いところもありましたが。
新人王トーナメントというのは、やはり早くから追いかけて見れば見るほど
ボクシングファンにとり、楽しく、思い入れも出来るイベントです。
逆に言えば、あまり熱を入れすぎると観戦が忙しくなって大変だったりもしますが(^^;)

今後、全日本までどの程度進めるか、勝てるかという見込みはわかりませんが、
この日見た限りでは、スーパーフライ級小林、フェザー級京口、スーパーフェザー級西脇が
トップ3というところでしょうか。
こればかりはそれこそ相手を選べない闘いですから、相手次第運次第ですが、
彼らなら全日本でも勝って不思議はない選手だと言っていいと思います。


今年は西日本新人王が中部や西部へ遠征しなくていい年で、
次の新人王西軍代表決定戦は同じ会場で開催、10月29日に行われます。
これもまた見に行こうと思っております。
ここでまた「これは」と思ってしまうと、さあ年末どうするか、という話なんですが、
それはまた別の話ですので、今回はこれまでと...(^^ゞ

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全日本新人王決勝戦

2006-12-25 13:51:16 | 新人王戦
年暮れの忙しい合間を縫って、G+で録画したのをぼちぼち見ています。
ゆうべはフェザー級まで見終えました。

フライ級の大逆転劇、バンタム級の激闘、フェザー級の一進一退の攻防、
その他、どの試合も、本当に面白いですね。感動的でさえあります。
勝った選手にも負けた選手にも拍手を送りたいです。

しかし、残念なことに我らが西日本勢は全敗だったそうで...
ま、しょうがないかぁ...。
負けたけど江坂ジムのフェザー級、山本敏充なんか、キャリアを積んで
ボクシングがこなれてきたら面白い存在かも知れませんね。
将来、佐竹政一みたいになれ...るかなぁ?

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中岸、無念の敗北

2005-12-19 21:34:29 | 新人王戦
ということで万難を排して、全日本新人王決勝戦を観戦しました。
日曜開催ということで、翌日は本来仕事や所用が重なり、
非常にタイトなスケジュールを強いられ、青息吐息で帰ってきたところです。

で、結果を見れば西軍代表の2勝9敗。
MSN messengerのウィンクに、ボケた顔の犬がいなかっぺ大将みたいな涙を流す
「しょんぼり」というのがあるんですが、今まさにあの心境であります(T_T)


今年の西軍は、全日本決勝での星取りはさておいて、
例年になく個性的で、それぞれに見所のあるメンバーが揃いました。
しかし、それぞれの個性、才能を、いかにして勝利に結びつけるか、という戦略の点で、
総じて東軍の代表たちの方がまさっていた、というのが、全体的な印象です。

その典型が、スーパーバンタム級代表、中岸風太の敗戦だったというのは、
風太ファンの私にとっては痛恨でありました。


相手の、双子新人王(考えたらこれもすごい話っすね...)なるかと話題になっていた
杉田祐次郎は、のちの本人がコメントした通り、「技術では勝てない」という自覚のもと、
ときに巧みに、ときにラフに、中岸のスピードが生きない展開を作って闘いました。

中岸はアタマを当てられたり、ジャブの打ち終わりをリターンで突かれたりしているうちに、
強気な性格が悪い方の目を出してしまった感じで、やや冷静さを失っていました。
スピードを生かす距離を作れないまま、強いパンチを当てよう、当てようとし過ぎるうちに、
体格、パワーでまさる杉田と打ち合ってしまい、ボディも打たれて失速気味となり、
最後は手数、攻勢とも劣って、敗れました。


杉田選手を貶めるわけではなく、実際のところ、スピードやセンスでは圧倒的に
中岸の方が上だったと思います。
試合が始まって中岸が数発ジャブを放つと、私の後ろにいた杉田応援のファンの方が
「うわ、これは...」「速い...」と言ったきり、しばらく言葉を失っていました。

しかし、ボクシングが面白く、そして厳しいのは、だからといってそれだけでは勝てないからなのでしょう。
そういうボクシングの奥深さが、自分の応援している選手に厳しい結果を与える様は、
あまり見たくはないと思っているのですが、昨日はしかとそれを見せられてしまいました。

中岸は、まさにそのようなボクシングの厳しさのただ中にいました。
4R開始時、中岸は、劣勢に立つ自分に渇を入れんと、
キャンバスを踏み鳴らして雄叫びを上げました。
その姿が、一日経った今も、目に焼き付いています。

あまりに痛々しく、そして美しく、それ故に哀しい姿が、私に敗北感を与えました。
ああ、彼は今日、初めて敗れるんだな、と、そう確信してしまったのです。


若き才能の、若さ故の敗北。
そして、それを「たかが一敗」と片づけられない例を、沢山のボクサーが見せてきました。
しかしまた、重い敗北を、のちに「たかが一敗」だったことにしてしまった
幾多の英雄たちが存在するのも、また事実です。

今はただ、中岸風太にとって、この敗戦が、良き血肉となることを願っています。

同じく、昨日、苦杯を舐めた他の西軍代表選手たちにとっても。
コメント (7)
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