里やまのくらしを記録する会

埼玉県比企郡嵐山町のくらしアーカイブ

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体力向上、まず歩こう! 『東京中心徒歩コース七百種』序 1939年

2009-07-01 14:53:00 | 1941年

 今、我国は、対外的に国内的に未曾有(みぞう)の難局に直面してゐる。非常時の声がこれ程真剣に、全国民の心の底から叫ばれ、切々身にしみる時代はなかった。我々は、挙国一致、不撓不屈(ふぎょうふくつ)、剛健なる精神もて、これを克服し、さらに前進しなければならぬ。
 今こそ、我々は強固なる肉体と精神を養ほう。何故ならば、この非常時克服に最も必要なるものは国民の心身の鍛練であるからだ。困難に処する堅忍不抜(けんにんふばつ)の闘争心、義に殉じて正道を濶歩(かっぽ)する中正の精神も、強固なる肉体からのみ生れ、緊迫せる難局を前に、自若として打開の道に邁進(まいしん)し得る物は、独り鍛練された人のみである。
 我々日本人は、古来、鍛練的国民である。臥薪嘗胆(がしんしょうたん)は、我国民の美徳である。日本の現在の地位を築き上げたのも、幾世紀に亘(わた)る同胞の隠忍刻苦(いんにんこっく)、撓(たわめ)ざる精神と肉体の錬磨から育成された国民性の賜でなくて何であらう。

  体力向上、まづ歩かう!
 徒歩旅行は、あらゆる運動の中で最も簡単な、最も効果的な大衆運動である。
 それは、安らかな慰安を與(あた)へ、又心身の鍛練ともなる。大自然は、明るい伸々とした解放を與へ、新鮮なる生活力を吹きこみ、明日への希望を育む偉大なる母胎である。この大自然を道場として、太陽と土の恩恵を享受しつつ、母国を正しく認識する野外徒歩旅行こそ、現時局に適(ママ)はしき国民運動である。近時、澎湃(ほうはい)として全国的に起りつつあるこの野外運動を、より正しく、より強く普及する事に、かねて努力し来った本会に於ては、目的達成の一端として、茲(ここ)に、東京中心徒歩旅行コース五百種を刊行する事となった。短時日の研究であり、又、本の性質上、完璧を期す事は困難であるが、江湖(こうこ)の御賛同えお得れば幸ひである。
 本書を編むに当り、多大の御盡力を賜った出口林次郎、木村正二、櫻井正一の諸氏に対し衷心(ちゅうしん)より感謝の意を捧(ささ)げて筆を擱(お)く。
          昭和十四年九月
               奨健歩行会

※『東京中心徒歩コース七百種』(1941年3月、朋友堂発行)序文
参照:「戦勝祈願とハイキングは池袋から東上線で 1930年代後半

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