アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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「天皇・皇太子の新元号決定関与」を検証する

2019年04月04日 | 天皇・天皇制

     

 新元号の決定に際し、明仁天皇に対する安倍晋三首相の「内奏」(写真左)という憲法違反が行われ、天皇が新元号決定にかかわった疑惑があると先に書きましたが(4月1日ブログ参照)、その後の報道で(きわめて限定的な報道ですが)、その疑惑がますます濃厚になってきました。明仁天皇に加え、次期天皇である徳仁皇太子も関与したこの疑惑を各種報道で検証します。

 ①    3月29日に安倍首相が皇太子に「複数の元号案を提示」という産経新聞(3月28日付)1面トップ記事(写真中)

 「安倍晋三首相が4月1日の新元号の公表を前に、今月29日に皇太子さまに面会することが分かった。複数の新元号案について説明するとみられる。皇太子さまとの面会は2月以来で、短期間での面会は極めて異例となる。複数の政府関係者が明らかにした」(3月28日付産経新聞)

 「『一世一元』制を重視する保守層は、5月1日に皇太子さまが新天皇に即位される前の新元号公表を懸念しており、首相はこうした声に配慮した。首相は皇太子さまとの面会で、4月1日の新元号発表の流れを説明するとともに、最終的に3案程度に絞り込まれた候補について伝達するものとみられる」(同)

 「憲法4条は…天皇の政治関与を禁じているため、首相は候補を示すだけにとどめ、皇太子さまのご意見は求めない。…皇太子さまに事前に伝えたかどうかも明らかにしない」(同)

 ②    「3月最終週」に元号案は決まったという読売新聞(4月2日付)記事

 「政府は、水面下で学者に打診して100以上の元号案を集め、3月の最終週に『令和』を含む6案に絞り込んだ」(2日付読売新聞)

 ③    首相が新元号案を事前に天皇・皇太子に見せた可能性を否定しない「官邸幹部」の声を報じた朝日新聞(4月3日付)記事

 「(3月29日に天皇・皇太子と会った-引用者)首相の行動は憶測を招いた。政府関係者は『事前に元号案を見せるなんてあり得ない』と語るが、別の首相官邸幹部は『元号案を見せたかどうかは分からない。首相が自分で判断することだ』と事前に伝えた可能性を否定しない」(3日付朝日新聞)

 ④    考案者とされる中西進氏が「3月末に突然予定していた取材を断った」というNHKニュース(4月2日夜7時)

 「令和」の考案者とされているのは、「万葉集」研究の第一人者で国際日本文化研究センター名誉教授の中西進氏。中西氏は天皇から「文化勲章」を受けた(2013年)ほか、2017年に天皇・皇后が富山県を訪れた際、案内役を務めました。

 その中西氏にNHKは事前に取材しており、新元号決定後に改めてインタビューすることになっていました(まるでNHKは中西案で決まることを知っていたようですが)。ところが、「先月(3月)末、中西氏から『どうしても取材を受けられなくなった。理由は詳しく言えない』という連絡があった」(NHKニュース=写真右)。

  以上を総合すれば、安倍首相は3月29日の天皇への「内奏」、皇太子との面会で、新元号「3案」(おそらく国書出典)を示し、その時点で「令和」(中西案)に決まった可能性が極めて高いといえます。
 天皇・皇太子の「新元号事前関与」はほぼ疑いなく、これだけでも重大な憲法違反です。

  さらに、産経新聞は憲法違反の批判への考慮から、「首相は候補を示すだけにとどめ…意見は求めない」と書いていますが、示された案にうなずけば、あるいは異議を唱えなければ、天皇・皇太子がそれを承認した(「聴許」)ことになります。
 また、示された案の中から天皇・皇太子が、「これがいい」と選択(指示)した可能性も否定できません。
 これらはいずれも天皇・皇太子が新元号を実質的に決めたと言っても過言ではありません。

 そもそも元号は天皇の「おくり名」にもなるもので(裕仁天皇が死後昭和天皇と称されるように明仁天皇は平成天皇、徳仁皇太子は令和天皇と呼ばれる)、自分の名前を自分で決めるのは当然だ、というのが保守・天皇主義者の主張です。

 首相の天皇への「内奏」、皇太子との面会はいずれもすべて秘密にされており、闇に包まれたベールの中で、「天皇・皇太子の新元号事前関与・決定」という重大な憲法違反が行われた可能性はきわめて大きいと言わざるをえません。


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