アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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NHK・字幕捏造問題の根源とメディアの根本的欠陥

2022年09月27日 | メディアと民主主義
   

 NHKがBSⅠスペシャル「河瀨直美が見つめた東京五輪」(昨年12月26日放送)で東京五輪反対デモ参加者の字幕を捏造した問題で、放送倫理・番組向上機構(BPO)が「重大な放送倫理違反があった」と認定(9日)したことについて、NHKの林理恵メディア総局長(専務理事)は21日の記者会見でこう述べました。

「取材、編集、試写の各段階に問題があり、デモや社会運動に関する関心が薄く、取材相手への配慮や誠意を欠いていたという指摘を真摯に受け止めている」(21日付朝日新聞デジタル、写真中)

 BPOの指摘はどういうものだったか。9日の記者会見で、高田昌幸委員長代行(東京都市大学教授)はこう述べていました。

「一番印象に残っているのは、ヒアリングの際に現場スタッフの方のほぼ全員がデモとか、いわゆる社会的活動に関心がないということを、あっけらかんと語っていたことだ。もともと関心がない、だから深く考えなかったと繰り返していた。放送番組を作る側の感度、意識の低さというか、そういう部分も今回の問題の背景にあったのではないかと思う」(BPOのHPより)

 驚くべきことです。いやしくも報道機関、しかも公共放送といわれるメディアで、「現場スタッフのほぼ全員がデモとか、いわゆる社会的活動に関心がない」。それで報道の仕事ができると思っているのでしょうか。

 しかもそれを「あっけらかんと」語り、報道責任者の専務理事も、「指摘を真摯に受け止める」と認めたのです。

 高田委員長代行は「そういう部分も今回の問題の背景にあった」と控えめに述べていますが、これこそ今回の問題の核心ではないでしょうか。これはメディアとしての根本的欠陥です。これではデモの意味も、政府が強行する東京五輪に反対することの意味も分かるはずがありません。デモ参加者を冒涜する捏造を行っても、良心の痛みなど感じないでしょう。

 そしてNHKのこの根本的欠陥は、この件に限らず、同局が政府(国家権力)と癒着し、そのプロパガンダ機関になりさがっている根幹的理由ではないでしょうか。

 問題は、「デモとか、いわゆる社会的活動に関心がない」のはNHKだけなのか、ということです。

 たとえば、「安倍国葬」を前にした19日、東京・代々木公園で反対集会が開催され、台風の雨風が吹き荒れる中、市民1万3千人(主催者発表)が集い、横断幕やプラカードを持って渋谷や原宿をデモ行進しました(写真右)。時期といい内容といい規模といい、きわめて重要な出来事です。

 この集会・デモをメディアはどう扱ったでしょうか。

 NHKをはじめ、翌日(20日)付の新聞も、産経、読売、日経はもとより、朝日、毎日も1行も報じませんでした(大阪本社版)。中国新聞は第2社会面ベタ、沖縄タイムスは第2社会面2段、琉球新報はなし。東京新聞だけが1面トップで大きく報じました。

 「デモや社会活動の関心がない」のはけっしてNHKだけではないのです。

 日本のメディアの編集幹部の視線・関心は、政府や主要政党の動向に向いています。市民の生活や活動など眼中にありません。その編集方針に従って現場の記者は取材し記事を書きます。結果、記事・報道は市民の視点・関心から遠くかけ離れたものとなり、それが政治離れ、無関心、政治変革へのあきらめを生み助長します。

 これこそ、対米追従・新自由主義の自民党長期政権を支えている日本のメディアの根本的欠陥です。

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