


トランプ米大統領が13日にサウジアラビアを訪問し、約21兆円(1420億㌦)の武器売却契約を交わしたことが話題になっています(写真左)。
中東はイスラエルによるパレスチナへのジェノサイドが大きな不安定要素になっていますが、そのイスラエルを支援し続けているアメリカによる巨額の武器売却は、戦争・紛争と軍事費・兵器産業の関係を改めて浮き彫りにしています。
ロシアがウクライナを軍事侵攻し、アメリカ・欧州諸国がウクライナを軍事支援しているウクライナ戦争は、世界の軍事費を膨張させています(写真中はNATO軍の航空機=朝日新聞デジタルより)。
ストックホルム国際平和研究所の発表(4月28日)によると、「2024年の世界の軍事費」は、前年比9・4%増の総額約390兆円(2兆7180億㌦)。10年連続の増加で、総額は統計を取り始めた1988年以降最大となっています。
第1位はアメリカで9970億㌦(5・7%増)、世界全体の37%を占めています。以下、中国、ロシア、ドイツ、インドの順で、この上位5カ国で全体の60%です。
日本の軍事費は、前年比21%増の553億㌦で世界10位。
軍事費の膨張は言うまでもなく兵器産業に膨大な利益をもたらします。
「政府による防衛予算の増額が、防衛装備品を手がける関連企業の業績を押し上げている。各社の2025年の3月期(24年度)決算は、関連部門が大幅な増益となった。もしトランプ米政権が日本にさらなる防衛費の上積みを求めれば、関連企業への「追い風」はさらに強まる可能性がある」(9日付朝日新聞デジタル)
日本最大の兵器生産企業である三菱重工の小沢寿人・最高財務責任者(CFO)は、「24年度も想定以上の規模で受注できた。…現状の我々のキャパシティー(生産能力)を超えているレベル」(同朝日新聞デジタル)だと述べ、笑いが止まらない様子で高収益を誇示しています。
三菱重工は戦時中、朝鮮人「徴用工」に対する強制労働の責任を問われ、韓国の最高裁(大法院)から被害者への賠償を命じられている戦犯企業です(写真右)。しかし、同社はその命令に従わないどころか、韓国から交渉に訪れた被害者遺族や支援者らを門前払いしています。
そんな企業が、自民党政権の大軍拡のもとでかつてない利益を上げているのです。
各国の国家権力による戦争・紛争は、市民の生命・健康・安全を奪い、地球環境を破壊する一方で、兵器産業に膨大な利益をもたらします。
というより、兵器産業は利益をえるために、国家権力(政権)に対して戦争の勃発・継続を要求します。三菱重工の自民党への政治献金は常に断トツ1位です。
戦争・紛争と国家権力(政権)と兵器企業・産業のこの関係は、政権による情報隠しとメディアの沈黙によってベールに包まれています。
その実態を明るみにし、悪の鎖を断ち切らない限り、世界から戦争・紛争をなくすることはできません。