


5日夜9時から約1時間半、NHK総合で10政党の代表による討論会があった(写真左)。進行(企画)のあまりのひどさに何度スイッチを切ろうと思ったかわからない。
1時間半におよぶ討論は「経済」テーマ1本に絞られていた。各党の発言も同じことの繰り返しだ。今回の参院選、いや、日本の政党政治の貧困・視野狭窄と、メディアの体制順応を象徴するような討論会だった。
「経済」が争点というが、減税と賃上げと現金給付を全部やればいい話だ。問題は財源。大企業への課税も必要だが、同時に今の税金をどこに使うかが肝心な問題だ。つまりアメリカの要求に基づく軍事費の突出・大軍拡問題こそ議論をすべきだが、それはほとんどなかった。
軍拡も、米問題も、関税も、すべてアメリカとの関係だ。ガザやウクライナの情勢も含め、このままトランプのアメリカと安保条約による軍事同盟を続けていいのか。これこそが日本の政治の最大問題だ。しかし、その議論は皆無だ。
以上が討論会の内容についての不満・批判だが、実は日本の政党には「政策」以前の大問題がある。
この日討論会に出席した政党は10あったが、女性の出席はただ1人(保守党)だった(写真中)。計算するまでもなく1割にすぎない。
この日だけではない。先の日本記者クラブ主催の党首討論会(2日)でも、8政党の中で女性党首はただ1人(共産党)だった(写真右)。
世界経済フォーラムの2025年版「男女格差(ジェンダー・ギャップ)報告」(6月12日発表)で、日本は148カ国中118位、とくに政治分野では125位と男女格差の大きさがあらためて問題になったばかりだ。
2日の党首討論、5日のNHK討論の光景は、日本政治のジェンダー・ギャップを絵に描いたように見せつけた。これは「政策」討論の貧困さと無関係ではない。
旧態依然とした男中心の日本の政党・政治。「支持政党なし」が増えるのも無理はない。