アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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「オール沖縄」は玉城氏と「政策・組織協定」締結を

2018年09月10日 | 沖縄・選挙

     

 沖縄県知事選の告示(13日)まで3日となりました。奇妙なのは、今に至るも玉城デニー氏と県政与党(日本共産党、社民党、社大党など)など「オール沖縄」陣営の間で「政策・組織協定」が締結されていないことです。

 それどころか、玉城氏は知事選に向けた「基本政策」もまだ発表していません。「県政奪還」を目論む安倍・自民党が推す佐喜真淳氏は3日に発表しています。

 前回、4年前の沖縄知事選では、告示(2014年10月30日)の47日前の9月30日に、共産党など6党・会派(その後の「オール沖縄」陣営)と翁長雄志との間で「県知事選にのぞむ基本姿勢および組織協定」が締結されました。

 もちろん、玉城氏の出馬が翁長氏の「後継指名」によって急に決まったという特殊事情があります。しかしそれにしても、玉城氏が出馬を正式に表明したのが8月29日(写真左)。それから10日以上たっていますが、「政策・組織協定」を結ぶ動きがないのはどうしたことでしょうか。

 「政策・組織協定」のないまま、「オール沖縄」は「玉城氏支持」を決め、すでに事実上の選挙戦を展開しています(写真中)。これでよいのでしょうか。

 知事選は党派選挙ではありません。各政党・団体そして市民の共闘による選挙です。選挙共闘で肝心なのは政策協定である、というのは共産党の持論ではなかったでしょうか。

 言うまでもなく、政策協定は共闘する組織・市民の主張(政策)の共通項(最小公倍数)であり、候補者の選挙政策に反映させて有権者にアピールするものです。民主的選挙・政治の基本です。
 また「政策協定」は、選挙の時だけでなく、当選後の県政運営のベースになるものです。選挙後に当選者を支えるうえでも欠かせません。

 その「政策・組織協定」なしで、いったいどんな選挙・県政をするつもりでしょうか。

 それとも、翁長氏が「後継指名」した人物とは「政策協定」は必要ないと考えているのでしょうか。

 玉城氏が出馬表明会見で自ら表明したことは、ほとんど「翁長氏の遺志をすべて引き継ぐ」ということだけであり、具体的な主張は「辺野古新基地建設を止める」くらいでした。

 辺野古阻止が大きな争点であることは言うまでもありません。しかし、知事選の争点、県政に求められていることはそれだけではありません。とりわけ重大なのは、宮古、石垣、与那国など先島、さらに本島への自衛隊配備強化です。これが強行されれば米軍と自衛隊一体化によって、沖縄は前線基地の危険性が増大し、東アジアの情勢にも大きな悪影響を及ぼします。絶対に許すことはできません(写真右は与那国での自衛隊配備反対の横断幕)。

 ところが玉城氏は、出馬記者会見で、「自衛隊と先島配備への認識は」と問われ、こう答えました。

 「専守防衛という意味において、憲法の範囲内で決められている自衛隊の存在は国民にも認められているという認識。ただし、国の専権事項と、自衛隊が強行配備されることは許されるものではない。しっかりと地元の皆さんと協議をし、説明し、国がきちんとその対応を尽くすべきだということを求めていきたい」(8月30日付沖縄タイムス)

  これはどういう意味でしょうか。第1に、現在の自衛隊は「専守防衛という意味」で「憲法の範囲内」で「国民に認められている」という自衛隊肯定です。第2に、自衛隊の配備問題は「国の専権事項」だと思っているということです。そして第3に、「先島配備」については、「強行配備は許されない」ので「地元と協議し、説明し、国がきちんと対応すべきだ」ということです。すなわちこれは先島への自衛隊配備自体には反対ではない、慎重な手続きを踏んで行うべきだ、ということです。沖縄県防衛協会の顧問でもある玉城氏の持論でしょう。

 「オール沖縄」に結集する人々は、この玉城氏の自衛隊・先島配備に対する認識(表明)に賛成なのですか?

 共産党の機関紙「しんぶん赤旗」は8月30日付で「玉城デニー氏出馬表明」の「全文」とともに「一問一党」を掲載しましたが、その中では、質問の「先島配備」という言葉をはじめ、玉城氏の答えの肝心な部分(上記の太字部分)がすっぽり落とされています。いったいどういうことでしょうか。

 政策協定を結ばなければ、自衛隊配備問題については上記の玉城氏の発言(持論)が「オール沖縄」の立場ということになってしまいます。きわめて重大です。そうならないためにも「政策・組織協定」の締結が絶対に必要です。

 まだ間に合います。玉城氏と「オール沖縄」陣営は13日の告示までに、自衛隊配備問題を含む「政策・組織協定」を結び、発表すべきです。

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