


ポーランドのウクライナ国境近くの村にミサイルが着弾し、市民2人が犠牲になった問題(15日)。真相究明はいったいどうなったのでしょうか。
NHKなどは18日以降、この問題の報道を一切行っていません。これは何を意味しているでしょうか。
経過を振りかえってみましょう。
15日 ポーランド政府が「ロシア製のミサイルが着弾」と発表。
同 日 ゼレンスキー大統領は「ロシアの攻撃だ」「行動が必要だ」と断定。
同 日 ロシア国防省は「国境付近は攻撃していない。意図的挑発だ」と否定。
16日 米バイデン大統領は「軌道から考えるとロシアから発射されたとは考えにくい」と発言。
同 日 NATOのストルテンベルグ事務総長も「ウクライナの防空ミサイルによる可能性が高い」と指摘。
同 日 AP通信が「ウクライナ軍がロシアからのミサイルを迎撃するために発射したものとみられる」と報道。
同 日 AP通信が「ウクライナ軍がロシアからのミサイルを迎撃するために発射したものとみられる」と報道。
同 日 ポーランドのドゥダ大統領が「ウクライナの地対空ミサイルによるものとみられる」と発表。
同 日 ゼレンスキー大統領は、「われわれのミサイルでないことに疑いはない」「証拠があるなら見せてほしい」と否定し、調査団にウクライナが参加することを要求。
同 日 NATO加盟国の外交官が「ウクライナは我々の信頼を損なおうとしている。彼らは公然とうそをつき続けている」と発言したと英紙フィナンシャル・タイムズが報道。
同 日 ロシア国防省が「ウクライナ軍の地対空ミサイル「S300」のものだと確認した」と発表。
17日 バイデン大統領はゼレンスキー氏が否定したことについて「それは証拠ではない」と指摘。
同 日 ウクライナ調査団が現地に到着。
同 日 ドゥダ大統領が着弾現場を訪れ、「誰もポーランドの誰かを傷つけたかったわけではない」と発言(写真右)。
それから21日まで4日間、この問題の日本メディアの報道はストップしています。
明らかに不自然です。ロシア国防省が16日に機種まで特定し、ウクライナ調査団も17日には現地に到着しているにもかかわらず、いまだに着弾ミサイルがどこのものだったか分からないとは。アメリカやポーランド・NATO側が言明したように、ウクライナの迎撃ミサイルだった可能性がきわめて濃厚です。
問題は、着弾したミサイルがウクライナのものだったかどうかというより、この問題の真相をめぐる報道が途絶えていることです。
「ウクライナのミサイル」だったと確定することは、ウクライナにとって、さらにウクライナに巨額の軍事支援を続け戦闘を煽ってきたアメリカ・NATOにとってきわめて都合が悪いことです。不都合な真実は隠ぺいする。それがいま眼前で行われていることではないでしょうか。
これはこの問題に限らず、ロシアによる軍事侵攻(2月24日)以降のウクライナ情勢に私たちがどう向き合うかという点で重要な問題を提起していると思います。
繰り返しになりますが、今回の「ウクライナ戦争」の直接の発端がロシアの軍事侵攻にあり、それが許されないことは明らかです。そして最も重要なことは、人の命(ロシア兵も含め)が失われる戦闘を一刻も早く停止させることであるのも明らかでしょう。
そのためには、起こっている事実とその責任を正確に把握することが重要です。何が起こってもすべてロシアのせいだとし、事実を隠ぺいあるいは改ざんすることは、事態の平和的で公正な解決に逆行すると考えます。