アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

「辺野古埋立承認撤回」の”タイミング”は今しかない

2017年11月02日 | 沖縄・翁長・辺野古

     

 総選挙の「大勝」を受け、第4次安倍晋三内閣が1日発足しました。安倍氏はまるで我が世の春を謳歌しているかのようですが、自民党の得票率は33%にすぎず、74%の議席獲得は小選挙区制という反民主的選挙制度のマジックであることを忘れてはなりません(10月24日のブログ参照)。

 もう1つ忘れてならないことがあります。沖縄の4つの小選挙区のうち3つで自民党が破れ、日本共産党、社民党、無所属(元自由党)という「本土」では考えられない顔ぶれの候補が当選したという事実です。

 この意味を、「沖縄の問題」としてではなく、「本土」の私たち自身の問題としてとらえる必要があります。

 「自公政権が強行する辺野古新基地への根深い「沖縄差別」批判は、奇襲解散で世代交代の機を逸した4区を除き、自公候補につけ入る隙を与えなかった」(前泊博盛沖縄国際大教授、10月24日付琉球新報)

 選挙で示された「辺野古新基地建設反対」の民意はあまりにも明確です。

 翁長雄志知事も選挙結果について、「新辺野古基地(反対)…について大差でしっかりと方向性が出てきた」(10月24日付琉球新報)と述べました。
 ところが、その辺野古新基地阻止の決め手である「埋立承認撤回」については、「法律的な観点も重要で、タイミングも重要。政治的な意味合いも含めてしっかりと対処していく」(同琉球新報)と述べただけで、引き続き棚上げにする意向を示しました。こうした翁長氏の姿勢が選挙で示された民意に反することは明らかです。

 しかも、翁長氏が「撤回」を棚上している間に、辺野古新基地建設をめぐる事態は重大な局面を迎えています。
 総選挙の投開票から4日後の10月26日、沖縄防衛局が、辺野古の埋め立て海域で見つかった希少サンゴ(オキナワハマサンゴ)の群体を他の場所に移すための特別採捕許可を県に申請したのです(申請の標準的な審査期間は45日で期限は12月10日前後)。

 これによって、「翁長雄志知事は難しい判断を迫られる。認めなければ「環境保全に後ろ向き」ととられ、認めれば建設の手続きを進めたように受け止められかねないからだ」(10月27日付沖縄タイムス)。

 このように、現場での工事強行と並行して、「知事権限」を徐々に縛っていくのが、安倍政権の一貫した手法です。
 いま手を打たなければ、ほんとうに辺野古は取り返しのつかないことになります。

 この事態に対し、琉球新報は「県、工事停止の決定打なく」(10月27日付)とし、沖縄タイムスも「知事には今、工事を止める有効な手段がない」(10月27日付)として、何の手も打たない翁長氏を事実上弁護しています。
 きわめて不可解で不当な論調と言わねばなりません。なぜなら、知事には「工事を止める有効な手段」がちゃんとあるからです。それは「埋立承認撤回」にほかなりません。

 翁長氏が埋立承認を「撤回」すれば工事は止まります。総選挙で4たび「反対」の民意が明確に示されたことが「撤回」根拠です。主権在民において、これ以上の「根拠」があるでしょうか。

 いま「撤回」しないでいつするのですか。いまが「撤回」の絶好の「タイミング」、いや、最後の「タイミング」と言っても過言ではありません。

 琉球新報も沖縄タイムスもいまこそ、「翁長知事は直ちに承認を撤回せよ」と声を大にして主張すべきです。

 「県民が1~3区で自公政権に反対し、辺野古新基地建設反対を掲げる候補者を選んだ事実の重みを、最大限に生かす政治を、沖縄発で生み出していかねばこの国の行方は危うい」(佐藤学沖縄国際大教授、琉球新報10月23日付)

 それは「沖縄の問題」ではなく、「日本の問題」です。

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