アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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幼保無償化からの朝鮮幼稚園排除は許されない

2019年09月17日 | 差別・人権・沖縄・在日

     

 10月1日から幼児教育・保育無償化制度がスタートします。
 15日付地方紙各紙は、国の制度では無償化にならない世帯に対し、全国で約6割の自治体がそれを補う独自の施策を検討・実行しているという共同通信の全国調査の結果を報じ、制度の不備を指摘しました。

  それも問題ではありますが、この制度がもつ根本的な欠陥は見落とされており、一般に報じられていません。安倍首相が看板政策と誇示するこの制度の最大の問題は、朝鮮学校幼稚園はじめ外国人学校幼児施設だけが無償化から制度的に排除・差別されていることです。

 これは高校無償化制度からの朝鮮学校排除、補助金削減と連動するものであり、安倍政権による在日朝鮮人差別の新たな策動にほかなりません。

  幼保無償化制度は、原則全ての3~5歳児が対象(0~2歳児は低所得世帯)といいながら、利用している施設によってふるい分けます。幼稚園、認可保育所、認定こども園は無償ですが、それ以外は、認可外保育施設の届け出をしている施設は月3万7000円を上限に補助し、届け出がされていない施設はすべて無償化の対象外とされます。

  問題はこの「認可外保育施設の届け出」です。政府・厚労省は「1日4時間以上、週5日、年間39週以上」などの基準を設けていますが、基準をクリアしているにもかかわらず「各種学校は認可外保育施設に該当しない」として朝鮮学校幼稚園40校、インターナショナルスクールなど外国人学校幼稚園48校、計88校は「届け出」を受理せずはじめから除外しているのです。憲法の「法の下の平等」や世界人権規約、子ども権利条約などに反する明らかな差別政策です。

  さる8月5日、衆院議員会館で「すべての幼児に『幼児教育・保育の無償化』適用を求める要請の集い」が行われました。「幼保無償化を求める朝鮮幼稚園保護者連絡会」の宋恵淑代表は、「なぜ各種学校だけが名指しで排除されるのか。朝鮮幼稚園は母語教育を中心に幼児教育を行い、しっかりとした保育の実態も備えている」と安倍政権の差別政策を指弾し、「まずは、朝鮮幼稚園を見にきてほしい」と訴えました(月刊「イオ」9月号。写真左は同集会、写真中は山口朝鮮初中級学校附属幼稚園の園児たち、右は小倉朝鮮幼稚園。いずれも同誌より)。

  朝鮮学校とともに朝鮮幼稚園を無償化から排除する安倍政権の差別政策は、朝鮮半島を植民地支配した歴史的責任を顧みないばかりか逆にそれを継続させるものであり、日本人として絶対に許すことはできません。

  ところで、佐野通夫こども教育宝仙大教授によると、幼稚園は文科省、保育園は厚労省という「幼保二元体制」は、「世界では日本の植民地であった韓国と台湾でのみなされていました」。しかし「台湾は幼保一元化しました。韓国では1980年代からの『幼児教育振興法』等によって、両者を統合的に政策に組み入れるとともに、2012年度からは…5歳児については同一教育課程が行われています」(「連続無窮」2019年秋号)。

  「幼保二元体制」は日本独特で、それを植民地にも押し付けたわけです。韓国、台湾はそれから脱却していますが、日本はいまだにこの体制。そこには、教育を子どもや親の立場に立って行うのではなく、国家が忠実な“臣民”を育てるための手段と考える明治以降の日本支配層の教育観が表れているのではないでしょうか。


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