アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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韓国報告<下>植民地歴史博物館、日本にこそ

2019年09月10日 | 日記・エッセイ・コラム

     

 今回の訪韓の最大の目的は、植民地歴史博物館(写真左)を訪れることでした(地下鉄4号線でソウル駅の次の「淑大入口」下車、10番出口から徒歩12分)。

 開館は昨年(2018年)8月29日。そうです、109年前(1910年)のこの日、帝国日本が武力で韓国「併合」を強行した韓国にとっての「屈辱の日」です。
 その意味について、また同館設立には日本の市民団体もかかわったことについては、開館翌日のブログに書きました(https://blog.goo.ne.jp/satoru-kihara/m/201808)。そこでもぜひ訪れたいと書きましたが、約1年後にやっと叶えることができました。

 展示内容は広く深く、とても紹介しきれません。同館のHP、あるいはブログ「シンナラ韓国」(http://sinnara9.com/)をぜひご参照ください。そしてぜひ実際に訪れてください。
 ここでは、同館設立の原点・ルーツについて書きます。

 訪れた日、幸運にも同館を設立した韓国の市民団体・民族問題研究所の金英丸(キム・ヨンファン)さん(同研究所対外協力チーム長=写真中)にお話を伺うことができました(金さんは北海道や高知で仕事をされたことがあり、日本語がとても達者です)。
 金さんが強調したのは、植民地歴史博物館の設立は、「『親日派』を賛美する歴史修正主義・『ニュー・ライト』とのたたかいの成果」だということです。

 「親日派」とは、帝国日本の植民地支配に手を貸した韓国内の政治家、官僚、「知識人」などを指します。「韓国併合条約」(1910年)に調印した李完用(イ・ワニョン)首相、のちの李承晩(イ・スンマン)、朴正熙(パク・チョンヒ)大統領らがその代表です。
 「その『親日派』が、戦後の冷戦体制と南北分断に便乗し、まともに清算されないまま、軍事独裁と守旧勢力の既得権を維持した結果、李明博(イ・ミョンバク)・朴槿恵(パク・クネ)政権を誕生させた」(金さん)のです。

 「日韓基本条約」(1965年)へ向け、「親日派」勢力によって日韓会談が続けられていた1960年代初め、「韓国社会の民主化を進めるためには親日問題を内から省察しなければならない」と考えたひとりの詩人がいました。林鐘国(イム・ジョングク)です。彼はただ独りで膨大な資料を徹底的に調査し、「親日派」1人ひとりの経歴・言動をまとめた「人名カード」を作成しました。その数なんと1万3000枚。

 その林氏の遺志を受け継いで、1991年に結成されたのが民族問題研究所です。研究所は林氏の事業を継承・発展させ、2009年、ついに林氏の「人名カード」の集大成ともいえる画期的な『親日人名事典』(全3巻=写真右)を刊行しました。

 同時に研究所は、強制動員問題や靖国問題などにも取り組んできました。その中で痛感されたのが、「過去清算運動の拠点」の必要性でした。
 2007年から建設運動を本格化させ、足掛け11年、ついにその「拠点」が実現しました。それが植民地歴史博物館です。

 金さんの話を聞きながら、私は血が騒ぐような興奮を覚えるとともに、恥じ入りたい思いにも襲われました。侵略・植民地支配の犠牲者・被害者である韓国で、それに協力した勢力の問題を内側から調査・検証し教訓化しようとする努力が綿々と続けられている。では本来、それをしなければならない、する責任がある加害国・日本はどうなのか。日本国民はいったい何をしてきたのか。

 歴史修正主義というなら、安倍晋三、麻生太郎こそ典型的な歴史修正主義者ではないか。朴槿恵が朴正熙の娘なら、安倍晋三は戦犯(容疑)・岸信介の孫であり、麻生太郎は売国政治家・吉田茂の孫だ。その安倍、麻生に対して、彼らがわがもの顔に振る舞っている安倍政権に対して、日本は、日本の国民・市民は何をしてきたか、何をしているか。常に過半数近い「支持」(世論調査)を与えているだけではないか。

 昨年のブログの最後に、「日本の侵略・植民地支配の歴史を学ぶこうした博物館を日本でこそ造っていきたい」と書きました。その思いは実際に植民地歴史博物館を訪ねていっそう強くなりました。
 しかしその意味は、けっして「歴史を学ぶ」ためだけではない、と認識を改めました。韓国の人たち、民族問題研究所の人たちにならって、跳梁跋扈している日本の歴史修正主義(者)とたたかう。その「拠点」をつくる。その意味を含めて、日本にも、日本にこそ、「植民地歴史博物館」を造らねばなりません。

 

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