アリの一言 

オキナワ、天皇制、朝鮮半島の現実と歴史などから、
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天皇のフィリピン訪問は日・米・比軍事一体化の露払い

2016年01月23日 | 戦争・天皇

  

 天皇明仁と美智子皇后は26日から30日まで、フィリピンを訪問します。明仁氏は皇太子時代(1962年)に訪比したことがありますが、天皇としては歴代初です。メディアはあげて、「国交正常化60周年」「日比の戦没者慰霊」(9日付中国新聞)などと賛美しています。
 しかし、今回のフィリピン訪問は、きわめて重大な「天皇の政治利用」だと言わねばなりません。

 なぜならそれは、「対中国」のアメリカ戦略に基づき、日本、アメリカ、フィリピンが軍事一体化・同盟化を強化しようとしている、まさにそのただ中で行われるものだからです。

 オバマ大統領は昨年12月、フィリピンを訪れ、約8000万㌦(94億円)の軍事支援を表明しました(写真右)。
 それに呼応するように、フィリピン最高裁は今月12日、米軍の再駐留を容認する「防衛協力強化協定」を「合憲」とする判断を下しました。これによって、「米軍によるフィリピンでの拠点構築など軍事活動の拡大が進む見通しになった」(13日付中国新聞=共同)といわれます。

 沖縄タイムス(16日付、平安名純代・米国特約記者)によれば、フィリピンが同国内の8つの基地や施設を米軍に提供することで米・比が合意しました。「カーター米国防長官は、アジア太平洋地域でのプレゼンス強化へ向け、『フィリピンは決定的に重要な同盟国』だと歓迎」(同沖縄タイムス)しています。

 一方、中谷元・防衛相は4月にフィリピンを訪れる計画です。「関係者によると、日フィリピン防衛相会談では装備品提供や、部隊の能力開発をめぐる支援策が議題になる。海自と同国海軍間の共同訓練の拡大も議論するとみられる」(6日付琉球新報=共同)。

 さかのぼって、2013年7月27日、安倍首相はフィリピンのアキノ大統領との会談で、小型の航洋巡視船10隻をODA(政府開発援助)で無償供与することを表明しました。これは「米国の意を受けた外務省の勧めに応じたもののようだ」(元朝日新聞記者・軍事ジャーナリストの田岡俊次氏、「マスコミ市民」2015年10月号)といわれています。

 そして昨年6月4日、安倍首相は訪日したアキノ大統領と「共同宣言」を出し、自衛隊とフィリピン軍の間で、「安全保障に関する政策の調整」「共同演習・訓練の拡充を通じ相互運用能力の向上」を図ることなどで合意しました。

 アメリカを中心に、日・米・比の軍事一体化、軍事同盟化が着々と進行しているのです。、
 田岡氏はこれを「国会論議もなく進むフィリピンとの『同盟関係』の危険性」と警告しています(同前)。

 天皇・皇后のフィリピン訪問は、まさにその中で行われるのです。
 「慰霊の旅」どころか、「戦争法制」の下、安倍政権がアメリカ、フィリピンとの軍事一体化を進める地ならし、露払いの役割を果たそうとしているのです。

 「安倍・アキノ共同宣言」の前日(昨年6月3日)、宮中晩さん会で天皇明仁はアキノ大統領を前にこう述べました。
 「先の大戦においては、日米間の熾烈な戦闘が貴国の国内で行われ、この戦いにより、多くの貴国民の命が失われました。このことは私ども日本人が深い痛恨の心と共に、長く忘れてはならないことであり、とりわけ戦後70年を迎える本年、当時の犠牲者へ深く哀悼の意を表します」(宮内庁HPより)

 サイパン、パラオへの「慰霊の旅」もそうだったように、天皇は「痛恨の心」とか「哀悼の意」は口にするものの、「謝罪」の言葉は一切発しません。「日本の戦争責任」を認めようとしないからです。
 天皇制大日本帝国の戦争責任、東南アジア諸国民への加害責任を認めないで、「哀悼」「慰霊」ですませることは、歴史の事実を隠ぺいする宥和にほかなりません。

 天皇をはじめ「日本」が戦争・加害責任を明確にしないことと、安倍政権がいま日米軍事同盟、戦争法制の下で、再び“戦争をする国”になろうとしていることは、決して無関係ではないのです。

 ※次回は25日(月)に書きます。

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