アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

不平等広げるワクチン企業の横暴

2021年11月13日 | コロナ禍と政治・社会

     
 日本をはじめ「先進国」では3回目のワクチン接種がとりざたされていますが、一方で、アフリカでは1回目の接種率がいまだに数%と「ワクチン格差」は縮まるどころか逆に拡大しています。その背景には「先進国」の買い占めとともに、世界のワクチン開発・製造メーカー6社(ファイザー、アストラゼネカ、ジョンソン・エンド・ジョンソン、モデルナ、ビオンテック、ノババックス)の横暴があります。

 アメリカの消費者団体(「パブリック・シチズン」)は10月19日、ファイザー社がアメリカ、イギリスなど9カ国・地域と結んだ「秘密契約」の内容を暴露しました(10月21日付ハンギョレ新聞)。

 それによると、同社は契約国が許可なくワクチンを持ち出したり輸出することを禁じたり、「知的財産権」が侵害された場合はその費用負担を契約国に負わせるなど、国家主権を侵害する数かずの内容が盛り込まれています。「ブラジル政府などは「不公正で権力濫用的な」契約は不当だと抗議」(同紙)していますが、結局受け入れざるをえなかったといいます。

 人権団体アムネスティの最新のニュースレター(9、10月号)は、「命を危険にさらすワクチン格差 何億人もの運命を握るワクチン企業の功罪」と題した特集を組みました。そのポイントを抜粋します。

< 9月中旬時点で、世界に投与されたワクチンは57・6億本。そのうち低所得国が手にしたのは、わずか0・3%なのに対し、高所得・高中所得国での投与は80%近くを占めている(写真中の地図で色が濃いほど人口当たりの接種率が高い地域。写真右はワクチンの公平な供給を要求するタイの市民=同ニュースレターより)。

 なぜワクチンの供給がこれほど偏っているのか。ワクチン企業が不平等さに拍車をかけている。知的財産権が公平なワクチン供給を阻んでいることを認めようとせず、供給拡大に必要な技術や知識を共有せず、価格や供給先などに関する重要な情報を開示しないことで、偏った供給が続いている。

 ワクチン開発に際して各国はかなりの公費を投じている。その成果は企業だけのものなのか。知識と技術をオープンに共有することが求められている。

 すべての企業は、世界のどこで事業を行っても、人権を尊重する責任がある。ワクチン開発・製造企業にとって、人権を尊重する責任とは、高品質のワクチンを入手しやすくし、手頃な価格で提供することを意味する。>

 私たちは「高所得国」に住む者として、自分のワクチン接種だけでなく、「低所得国」の人々へのワクチンの公正な供給のために、開発・製造メーカーの横暴を許さず、社会的責任を果たさせる必要があるのではないでしょうか。


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