アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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共産・立憲・社民は正式な「政策協定」を締結せよ

2017年10月09日 | 政治・選挙

       

 あす公示を迎える総選挙は、安倍政権が危機を迎えているなか、それを補完する小池「希望の党」などとの「保守2大政党」に、改憲に必要な3分の2の議席を許すかどうかの重大な選挙です。

 それだけに、自民党政治に反対する平和・革新・民主勢力の役割は重大です。日本共産党などが主張する「市民+野党の共闘」の重要性がますます大きくなっています。

 ところが、いま行われようとしている共産党、立憲民主党、社民党3党の「共闘・選挙協力」には重大な欠陥があります。それは3党の間で正式な「政策協定」(組織協定を含む)が締結されていないことです。総選挙だけでなく今後の「市民+野党の共闘」を進めていくうえでも、これは看過できません。

 共産党の志位和夫委員長は8日のNHK討論で、「3党は政策協定を結んでいる」とし、それは市民連合(安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合。山口二郎法政大教授ら、写真右)が3党に示した「7項目」だと述べました(写真左)。

 「7項目」とは次の通りです(要約は引用者)
①憲法改正とりわけ9条改正反対
②秘密保護法、安保法制、共謀罪法の白紙撤回
③原発再稼働を認めず原発ゼロ実現を目指す
④森友・加計・日報隠蔽疑惑の徹底究明
⑤保育・教育・雇用政策の飛躍的拡充
⑥生活を底上げする経済、社会保障政策
⑦LGPTや女性に対する差別撤廃

 これらが喫緊の重要課題であることは論を待ちません。3党がこの市民連合の要求に賛同し実現をめざすことは評価されます。
 しかし、これはあくまでも「市民連合」が3党に宛てた「要望」です。政党間の「政策協定」ではありません。市民の「要望」を政党間の「政策協定」だとすることはできません。
 その問題点は少なくとも4点あります。

 第1に、「7項目」は確かに重要な要望ですが、当面する重大課題はこれだけではありません。いくつかの重要課題が抜けています。その1つは、核兵器廃絶・核兵器禁止条約の署名・批准です(7日のブログ参照)。もう1つは、沖縄辺野古の新基地建設阻止です。

 市民団体の「要望」に完全を求めているのではありません。市民団体がそれぞれの関心事で要望するのは当然です。しかし、政党はそうはいきません。少なくとも、核兵器廃絶と辺野古新基地阻止は今度の総選挙でも重大な争点にすべきです。3党の「共闘」はこれらの問題にどう臨むのか、有権者に明確にする必要があります。しかし、3党間で「政策協定」が議論されていない状況ではこれらの課題は棚上げされています。

 第2に、「7項目による選挙協力」の位置づけが不明確なことです。立憲民主党の枝野幸男代表は、「あくまでも喫緊の重要課題で、この(3党の)枠組みで政権がどうこうという話ではない」(8日のNHK討論)と強調しています。では、選挙後に3党の「共闘」はどうなるのか。選挙後の国会では統一会派を結成するのかどうか。今回の「選挙協力」と「政権を目指す枠組み」(連立政権)はどういう関係になるのか。3党間で協議して公表されなければなりません。

 第3に、「連合」との関係です。連合の神津里季会長が小池百合子氏と前原誠司氏との秘密会談(9月26日)に同席し、希望の党の立ち上げ・民進党の解体に一役かったことは周知の事実です。その神津氏(連合)は、共産党とは絶対に共闘しないという反共主義です。
 ところが枝野氏はじめ立憲民主党の幹部は揃ってその連合を詣で、支援を要請(6日、写真中)。連合も支援を約束しました。
 立憲民主党と連合のこうした関係のなかで、はたして「3党共闘」はどういうことになるのでしょうか。

 第4に、共産党は市民連合が立憲民主党に「7項目」の要請を行う(3日)前から、枝野氏(立憲民主党の党首)が立候補する埼玉5区の候補者を取り下げました。志位氏は2中総でこれは「連帯のメッセージ」(4日付しんぶん赤旗)だと文学的な表現をしましたが、きわめて不可解です。ここには「政策」の前に「選挙協力」ありきが表れていると言われても仕方がないのではないでしょうか。

 こうして中央段階で正式な「政策協定」が締結されていないことによって、地方ではどういう現象が起こっているでしょうか。

 共産党は289の小選挙区のうち241で候補者を一本化しました。中国地方では4選挙区で共産党は候補者を取り下げ、「民進党出身者」を実質的に支援しています。ところがー。
 「共産党は現時点で推薦を出していない。岡山1区以外の3選挙区は政策協定も結ばれない。…民進党最大の支援団体の連合は共産党との協力への抵抗感が強い。民進党広島県連の幹部は「共産党とのタッグを前面に出せば失う票もある」と漏らす。…民進党島根県連の幹部は…言う「これで野党共闘といえるのかどうか。共産党が勝手に取り下げてくれた」」(8日付中国新聞)

 そもそも「政策協定」などそっちのけで共産党の票だけが欲しい、というのが民進党でした。枝野氏ら立憲民主党幹部もその点では民進党を受け継いでいるのではないか、という疑念は消えません。それは「市民+野党の共闘」への逆行です。
 
 こうした党利党略を許さず、民主的な「市民+野党の共闘」を前進させるためにも、政党間の正式な「政策協定」の締結が不可欠です。