アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

「『9条の会』が問われている」ものは?

2014年04月19日 | 日記・エッセイ・コラム

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Photo_3 「『戦争は秘密から始まる』それはイヤだ!STOP!『秘密保護法』福山緊急行動」が15日夜、福山市内であり、約60人が参加しました。
 石口俊一弁護士が「安倍政権の目指す改憲と壊憲に立ち向かうために」と題して講演しました(写真右)

 石口弁護士は、「秘密法」は公務員だけでなく、行政と関連する事業者や労働者も取り締まりの対象にするものだとして、「防衛産業に関わる民間企業」を例に挙げました。
 例えば、「90式戦車」の関連企業は、直接契約6社、1次下請け329社、2次下請け953社、合計1288社(「東洋経済」から)。その労働者が「秘密」取扱者となるのです。まさに「戦車は1000社」(石口氏)です。護衛艦に至っては2523社にものぼります。

 石口氏の講演で、気になる指摘がありました。「いま『9条の会』が問われている」というのです。
 その趣旨は、「9条の会」は「憲法9条の明文改憲反対」の一点で結集している。しかしいまや秘密法や集団的自衛権容認で、「9条は改正しなくてもが中身が変えられてきている」。その情勢に見合った一致点の確認が「9条の会」に必要ではないか、というものです。
 石口氏自身、「広島県9条の会ネットワーク」の中心として活動しており、自戒を込めた問題提起です。

 「9条の会」が必ずしも「明文改憲反対の一点」で結集しているとは思いませんが、「『9条の会』が問われている」という石口氏の問題提起は、時宜を得たものだと思いました。

 憲法9条は決して静止しているものではありません。日米軍事同盟(安保条約)の強化、自衛隊法「改正」などによる実質的な9条骨抜きの進行、さらに安倍首相の「積極的平和主義」のごまかしなど、“9条の現実”は動いています。
 それに見合った攻勢的な「9条擁護活動」、反基地・反安保、積極的な国際的平和活動、東アジア共同体形成へ向けた活動などが今こそ求められている。
 それが「9条の会」に問われているのではないでしょうか。

 また石口氏は、「今こそ口コミが重要。“どぶ板”活動をやっていかないと、改憲攻勢を押し返せない」とも強調しました。まったく同感です。

 <忘れてはならないニュース>

 「四国遍路の差別貼り紙事件」の深層


 四国遍路の休憩所(徳島、香川、愛媛3県の計21カ所)に、「『大切な遍路道』を朝鮮人の手から守りましょう」という差別貼り紙があった事件(4月10日発見)は、誰が(どんなグループが)、どんな意図で行ったことか明らかにされないまま(追跡報道されないまま)、記憶から消えようとしています。
 
 しかし、この事件は絶対に軽視できません。先の「アンネの日記」破損事件ともつながり、在日朝鮮人に対するヘイト・スピーチとはまさに一体のものです。
 たとえそれが「個人的」な行為だとしても、こうした事件が続発し、国民がそれに鈍感であることは、今日の日本の危険な社会的風潮の表れにほかなりません。ファシズムはこうした社会的風潮に支えされて成り立つものです。
 
 この差別貼り紙は、ソウル在住の韓国人女性・崔象喜さんが、「韓国人もお遍路をすれば、日本の印象が変わる」と、ハングル文字で道案内するステッカーを貼ったことを攻撃したものです。思わぬ攻撃を受けた崔さんは、「ステッカーは余計なことだったのだろうか。たくさんの人に心配、迷惑をかけてしまい本当に申し訳ない」と戸惑いながら逆に自分を責め、それでもなお、「日本と韓国は仲良くなってほしい」「日本人を愛しているんです」と語っています(共同配信記事から)。

 崔さんに、「本当に申し訳ない」と謝らねばならないのは、私たち日本人の方です。


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