佐藤直曉の「リーダーの人間行動学」 blog

リーダー育成のための人間行動と人間心理の解説、組織行動に関するトピック

リーダーの組織行動学1――政党の提携と分裂

2008-09-09 09:36:09 | 組織行動学
これから数ヶ月にわたって繰り広げられる政治、政党の動きというのは、私の組織行動学にとっては、願ってもないケースになるだろうと思っています。

そのあたりをいくつかご紹介しましょう。

1)組織の崩壊プロセス
これは『先見力訓練法』や『伝動戦略』などで書いたことですが、組織の崩壊はだいたいこんなプロセスで起きます。これは歴史を振り返るとよく見受けられることです。

まず、崩壊を止めるために、内部改革が何度も試される。しかし、古い体制の行き詰まりを打開する試みは、新しい体制の建設を促さない。なぜならば、古い体制はもはや重すぎて、舵をきろうにも身動きがとれなくなっているからだ。

古い体制の一部をいじろうとすると、その動きが体制の別の部分に傷を与える。そうなると、その不平を抑えてまで改革をやりとげることは至難の業となる。たいていはその場しのぎの膏薬貼りに終始する。

自民党はこういうことをしばらくやっております。

2)組織の崩壊は内部分裂による
最後に古い体制が崩れるが、そのときは動乱が旧体制の中枢部にまで波及する。

ということで、自民と公明の離反はもはやにっちもさっちもいかないところまできたというか、そういう状態になっていきそうな気配です。

3)大根の味噌漬けはできても、味噌の大根漬けはできない
システムどうしが提携すると、弱者の方がより妥協を強いられる。弱者は強者に染められてしまう宿命を背負う。弱者はいつかは自分の希望が果たされると期待して、提携を断ち切れない。それが弱者の最大の弱みである。

やがて自らの信念を曲げてまで、関係を維持したいと思うようになる。ついには提携関係を維持することだけが目的となる。自民党と社会党の提携はよい例でした。自民と公明も似たような関係ではないかと思います。

4)サブシステム突出は危険
システムというのは、システムの中のある一部分(サブシステム)が突出すると、システムを大きく変動させてしまう原因となるから、細心の注意を払う必要がある。

今回の福田辞任劇の直前に、公明党はずいぶん主張を強めました。こういう突出は、自公関係に大きな影響を与えました。

しかし、より心配なのは、公明党自身のことです。党として与党の地位を維持することと、支持者たちの考えにはどんどんギャップが広がっています。公明党支持者たちの多くは、低所得者層に対する援助をもっと増やすべきだと考え、自衛隊の海外派遣にも反対なはずです。

一部のサブシステムの突出は、やがて大きな反動をもたらすものです。

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いろいろなレッスンがこれから数ヶ月の間に得られるでしょう。


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2 コメント

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Unknown (はんなり社長)
2008-09-09 17:18:51
与党の崩壊に加えて、民主党の右派VS左派、ベテランVS若手の構図も
与党崩壊と相まって影響が出てくるでしょうね。
下手なシステム論の論文より面白くなりそうです
Unknown (佐藤直曉)
2008-09-09 17:40:09
下手なシステム論で申し訳ありません

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