マーシャル諸島でアメリカは、1946年7月1日から1958年8月18日までの間、67回の核実験を行った。ここでの核実験は、「核実験がアメリカ国民の健康に影響を与えないと明確にわかるまでは海外で行われるべき」として、行われたものである。その後、1951年1月27日から1962年7月17日まで、米国はアメリカ国内のネヴァダ核実験場で核実験を開始した。
これを威力で比較するととんでもないことがわかる。爆弾の威力はTNTのエネルギーに換算してキロトンで示される。マーシャル諸島での全67回の核実験の総威力は、108,496キロトンで、一回あたり1,619キロトンである。他方、米国内のネヴァダ核実験場では計87回行われたが、その総威力は1,096キロトンで、一回あたりでは13キロトンである。ネヴァダ核実験場で行われた核実験の総威力は、マーシャル諸島の一回分にも届かないのである。
また、広島に投下された原爆と比較してみよう。67発のすべての核実験の総威力は広島原爆の7200発に相当する。これらの核実験は12年間に行われたので、一日あたりどれくらいの核実験が行われたかは簡単に計算できる。7200発÷12年間÷365日。この答えは1.6。つまり、マーシャル諸島では、12年間くる日もくる日も、広島の原爆の1.6個分の核爆弾が爆発したことになる。
こんなところで放射能の影響がないわけがない、と科学者でない私は思う。駐日マーシャル諸島共和国大使は、この異常な規模の核実験のマーシャル諸島における実施を、昨年ブラボー水爆実験被害60年を記念して東京で行われた行事で強く訴えた。