周防教会・牧会ジャーナル

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7月7―13日

2019年07月14日 | 日記・エッセイ・コラム

百二歳で生涯を閉じられた森田牧師の部屋のドアには、まるで現役学生のように関西学院大学のエンブレムが貼られていた。思い出がいっぱい詰まっていたんやろな。僕はそんな関学に入ってアメフトをしながら神学部で学ぶのが夢やった。結局は学力不足で農伝に行くことにしたが、そこは住めば都。僕にも思い出がいっぱい詰まっている。

 

7/7(日) 孫の希与が♪ササの葉サ~ラサラ~軒まで揺~れ~る♪と間違った歌詞で歌っていた七夕の早朝(♪シャボン玉とんだ~屋根までとんだ~♪「大風で屋根まで吹き飛んだ」も近似)、「百獣の王」が旅立たれた。延命処置はしないと聞いてはいたが、十日前「また来ますね」と言ったら「もう来んでええ」と返答された翁。心の中で僕は別れを告げながら病室を出た。

 

8(月) 先週の降臨はまだ続いていて、牧師室の大掃除第二段を始める。やればやるほど脳内でドーパミンのような物質が大量放出しているようでハイ状態が止まらない。あまりに夢中になり過ぎたためか食欲まで無くなって、この一週間で2kgやせた。「巣作り本能がある」と言われたことがあるが、あくまで自分の巣だけ。これが他の部屋の掃除にも活かせりゃなあ。

 

9(火) 森田恒一牧師の前夜式に出るため益田教会へ。感話を頼まれたので、僕が高校生時代の森田翁の思い出を語る。時間の都合で二つしか話せなかったがまだまだいっぱいある。その中からひとつ。ある夏の日のこと、森田牧師をお訪ねた時、あろうことかふんどし姿で現れた森田翁はこう言われた。「睾丸が蒸れないんですよ」。別にそんなこと聞いてないし。

 

10(水) 告別式。今日の感話は一昨年の出来事。「僕はもう長くないから君に会っておきたい」との手紙を頂き、急ぎ益田に向かった。用件とは「困った時には売りなさい」と言って僕に下さった、生前分与の腕時計。「売ったりしません」と答えたが、どうにも気になって、後日、知り合いの時計屋で見てもらったら「高くて二千円」と言われた。今でも売らずに使っています。

 

11(木) 大掃除第三段。今日は棚の上の整理。掃除にハマるのと、高い所好きは昔からで、高校時代にビルの窓ふきバイトをした時、5階の外側の窓を磨くのに手が届かず、外に出て窓を閉めて拭いていたら、血相変えてやってきたオーナーが言う「む、村田君。頼むからやめて」。下を見たらいつの間にか人だかり。そのおかげか、当時としては破格値の1万円の稼ぎ。

 

12(金) 牧師室の掃除もおおむね終える。処分する本がまた200冊ほど出たが気分はスッキリ。さて次は何をするか?部屋を見渡していると、一昨年みかん収穫作業の時に見つけた猫の頭蓋骨の下あごの牙が一本無かったのが目についた。歯科技工士になった気分でプラスチックを加工して牙を作る。出来は不細工やけれど、これで成仏して美味いもん食ってくれ。

 

13(土) 今日は45年前、ホラー映画の走りと言われる『エクソシスト』が公開された日。友達が口々に「恐かった」とか「凄かった」とか言うので僕も観に行ったが、どうってこと無かった。ホラーで恐いと思った映画は一本も無いが、子供の頃観た『化け猫』は怖かった。楳図漫画の『まだらの恐怖』も恐かった。でも現在は月末の通帳引き落とし以外、恐いものは何もない。