ホラー映画の世界へようこそ

ホラー映画をこよなく愛する阿部ピロシのコラム。あなたの知らなかったホラーがここにある・・・。

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第7回『お年寄りホラー:何がジェーンに起こったか』

2004-07-28 18:34:39 | Weblog
痴呆症の老人を扱ったドキュメンタリー番組なんかを観ていて、背筋が凍り付きそうなほど恐くなってしまったことはありませんか?
失礼かもしれませんが、老人(というか「老い」)は恐ろしいです。
そのダイレクトに「死」を連想させる風貌もさることながら、
彼らを見るたび、「自分もいつかは絶対こうなる」という“真実”を
思い出さざるを得ないからです。

…てなことを考えていたら、今回ご紹介する作品:
『何がジェーンに起こったか』に思いっきり打ちのめされました。
この作品は「老い」に関するより大きな“真実”を、
僕に教えてくれたのです。

本作は62年ハリウッド産。
ベティ=デイビスとシンディ=クロフォードという、
大昔のスター女優が年寄り女優姉妹を演じた映画です。
厳密にはサスペンス映画なんでしょうが、
恐いのでホラー呼ばわりします。

1917年。
ベイビー・ジェーンという芸名でちびっ子大スターのジェーンと
その姉で風采のあがらないブランチ。
ジェーンはちやほやされてワガママ三昧。
ブランチは父親にも、妹にもバカにされて過ごす。

1935年。
姉のブランチは女優として大成。
ジェーンは幼い頃の才能が枯渇。姉のコネで映画の主演を得るも、
あまりの演技のマズさに、作品は全てお蔵入りとなる。
ジェーンはストレスでアル中になる。
そしてある日、交通事故が発生!
ジェーンが誤ってブランチを撥ねてしまったらしい。
ブランチは下半身不随になり女優を引退、
ジェーンは姉の生活の世話をするようになる…。

と、ここまでが話が進んでやっとタイトル。
後は更に後年、すっかりババアになったジェーン(ベティ=デイビス)が
不随の姉(シンディ=クロフォード。当然こっちもババア)を
「何が大女優よ!!あたしだって
ちっちゃい頃はスターだったのよ!
あの頃はあたしが家計を支えてたのよ!このアマ!!キー!!」
とひたすらイジメ倒すという、そんな映画です。

この作品は、その徹底的なイジメっぷりも恐いのですが、
(ネズミを食事に出したり、電話線を切断したり
縛り付けたり、ボコボコに蹴り飛ばしたり、陰湿かつ派手)
昔の栄光にすがり、「ベイビー・ジェーン再デビュー」を
本気で企てるジェーンの狂いっぷりがその数百倍も恐いのです。
足腰こそしっかりしていますが、
ジェーンは「鬼婆」と呼ぶにふさわしい、もの凄いババアなのです!!
それで鈴木その子も真っ青の厚化粧して
(モノクロなのに彼女の顔だけ明らかに白すぎるのが解る)
フリフリの服着て歌って踊るんです!
若作りにも程があります。やめてくれー!!

でもそのジェーンの姿、恐いんですが、泣けてもくるんです。
年を取った自分を認めようとせず、
昔の輝きを何としてでも取り戻そうとするその試みが、
余りにも純粋で、かつ絶望的だからでしょう。
また、皮肉極まりないラストシーン、残酷すぎます。

この作品は
「老人や老いそのものより、
老人を恐がる心、つまり“老いを拒否する姿勢”のほうが恐い」
と糾弾しているのです。
それはジェーンの姿勢であり、そして
彼女を「もの凄いババア」呼ばわりして恐れ、
「老人は死を連想させる」とか何とか言って
“真実”を見つけた気になっていた僕自身の姿勢でもあったのです。

参りました。また1つ、ホラーに教えられました。
これだから映画は、ホラーはやめられません。

余談ですが本作でいじめられまくっていた姉:ブランチを演じた
シンディ=クロフォード、私生活では
「家庭を大事にする女優」の宣伝のためだけに養女をもらいうけ、
散々いじめ倒した挙げ句、遺産をビタ1文譲渡せずに死んだ
結構とんでもない女優だったそうです。
三田○子に「いい母」役をやらせるぐらいミスキャストだったわけですね。

また本作は、あちらではどういう訳かホモの人に人気があるそうです。
そっちのケのある方は、これを機に是非どうぞ。

〈参考文献〉
『映画秘宝/地獄のアメリカ観光』/洋泉社
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2 コメント

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こんにちわ (りゅう)
2004-11-02 11:31:31
僕の知らない映画のことを教えて貰えるので

楽しみに読ませていただいております。

そこで、私からも一つご教授。。

文中のブランチ役の女優はジョーン・クロフォードです

シンディ・クロフォードはスーパーモデルさんです。
懐かしい~ (モンチママ)
2005-07-02 11:51:36
昔テレビで観たよ~実はどうしても忘れられない映画があり・・・検索中にこの映画を発見!いや~懐かしいわ、そうそうストーリーも思い出した。お姉さん足が悪いんだよね、お姉さんを餓死させようと企んで、可愛がっていた小鳥をなんていうんですか・・・銀のトレイに、まーるいドウムみたいな蓋を、パカっと開けると・・・その上にあの可愛い小鳥ちゃんが・・・このシーンが忘れられイッス!そうそう私が探しているのは、人体実験で友達が切り刻まれ、手足が壁とかにつけて

頭にケーブルを、その壁に繋ぎ脳が命令すると、手足が動くんですわ、そして行方不明の捜しているのが「ジェーン」なんです。夜な夜な夢枕に頭だけになった友達が。ジ・ェ・ェ・~ンと、スザマシイ顔で現れる友達をジェーンの恋人と捜しに行くのです。この映画がもう一度観たくて捜しています。ご存知の方はいないですか?

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