私の実家には柿の木があった。甘百目という品種で、実が丸く、名前の通り甘味の強い柿だった。
母は、柿の実が熟すとすぐにもいできて、私たちに食べさせた。来る日も来る日も、食後のデザートやらサラダやらで食卓に登場し、柿責めに遭った。食べきれない柿は台所に並べられ、甘ったるい匂いをプンプンさせて待機していた。
「早く取らないと、鳥に突付かれちゃう」と母は木に目を光らせていたが、私は「さっさと食べられてしまえ!」と願うばかりだった。
結婚して家を出たときは、ちょっぴりホッとした。
しかし、嫁ぎ先には柿の木が2本もあることを、あとから知った。
「東側の柿は渋柿なのよ。中央の柿は甘柿だけど、自分で食べる柿は買ってくるわ」
さすがはお嬢様育ちの義母だ。言うことが違う。
笹木家の柿は食用ではなく、もっぱら鳥の餌や芝生の養分として活用されているのだ。
柿責めから解放されたと油断していたら、数年前、職場の机に枝つきの柿が6個置かれていた。
「うちの柿です。食べきれないので持ってきました」
産休代替の先生が、好意で配っていたのだった。
……いらんちゅうに……。
だが、わざわざ自宅から重いものを運んできたのだ。無下に断れず、お礼を言って持ち帰るしかなかった。
今の職場にも、柿を配る教員はいる。私は「結構です」と言って受け取らないが、もらった先生が皮を剥き、皿に載せて「食べてね」と声を掛けてきたときは、ありがたく頂戴する。人様が手間暇かけたものは美味しい。
去年の今頃、娘が家庭科の授業で巾着を作ることになった。色鮮やかなバンダナを2枚重ねて縫い合わせ、四隅が上で広がるように紐を通す簡単な巾着だ。
バンダナの色を各自で選ぶため、娘から「どれがいいかな?」と相談を受けた。
「このピンクと水色がいいんじゃない?」
「うん、じゃあ、それにするよ」
「この巾着、お母さんのお弁当を包むのにちょうどいいなぁ」
「ふーん、欲しい? なら、できたらお母さんにあげるよ」
そして、完成した巾着をもらったのだが、私はこれが柿に見えて仕方ない。
「なんかさ、柿に似てるね」
「ああ、似てる似てる。そういえば、オレンジ色のバンダナで作った子もいたよ」
「やばいよ! それ、柿そのものじゃん!!」
そっちのほうが面白かったかも……。
そして、本日のおやつは、この「柿団子」だ。
中にはつぶあんが入っていて、とてもいいお味だった。
実は、柿責めが懐かしいのである。
楽しんでいただけましたか? クリックしてくださるとウレシイです♪
※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
母は、柿の実が熟すとすぐにもいできて、私たちに食べさせた。来る日も来る日も、食後のデザートやらサラダやらで食卓に登場し、柿責めに遭った。食べきれない柿は台所に並べられ、甘ったるい匂いをプンプンさせて待機していた。
「早く取らないと、鳥に突付かれちゃう」と母は木に目を光らせていたが、私は「さっさと食べられてしまえ!」と願うばかりだった。
結婚して家を出たときは、ちょっぴりホッとした。
しかし、嫁ぎ先には柿の木が2本もあることを、あとから知った。
「東側の柿は渋柿なのよ。中央の柿は甘柿だけど、自分で食べる柿は買ってくるわ」
さすがはお嬢様育ちの義母だ。言うことが違う。
笹木家の柿は食用ではなく、もっぱら鳥の餌や芝生の養分として活用されているのだ。
柿責めから解放されたと油断していたら、数年前、職場の机に枝つきの柿が6個置かれていた。
「うちの柿です。食べきれないので持ってきました」
産休代替の先生が、好意で配っていたのだった。
……いらんちゅうに……。
だが、わざわざ自宅から重いものを運んできたのだ。無下に断れず、お礼を言って持ち帰るしかなかった。
今の職場にも、柿を配る教員はいる。私は「結構です」と言って受け取らないが、もらった先生が皮を剥き、皿に載せて「食べてね」と声を掛けてきたときは、ありがたく頂戴する。人様が手間暇かけたものは美味しい。
去年の今頃、娘が家庭科の授業で巾着を作ることになった。色鮮やかなバンダナを2枚重ねて縫い合わせ、四隅が上で広がるように紐を通す簡単な巾着だ。
バンダナの色を各自で選ぶため、娘から「どれがいいかな?」と相談を受けた。
「このピンクと水色がいいんじゃない?」
「うん、じゃあ、それにするよ」
「この巾着、お母さんのお弁当を包むのにちょうどいいなぁ」
「ふーん、欲しい? なら、できたらお母さんにあげるよ」
そして、完成した巾着をもらったのだが、私はこれが柿に見えて仕方ない。
「なんかさ、柿に似てるね」
「ああ、似てる似てる。そういえば、オレンジ色のバンダナで作った子もいたよ」
「やばいよ! それ、柿そのものじゃん!!」
そっちのほうが面白かったかも……。
そして、本日のおやつは、この「柿団子」だ。
中にはつぶあんが入っていて、とてもいいお味だった。
実は、柿責めが懐かしいのである。
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※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
亡くなった義父は、あんぽ柿が好きだったそうです。
一定年齢以上の方は、柿を好む気がします。
一方で、低年齢者ほど柿に縁がないような…。
もっと美味しい果物がありますからね。
ちょっと淋しい気がします。
栄養価が高いのに。
お酒のつまみになるのでしょうか。
母が柿サラダをよく作っていました。
自宅に柿の木があったので
親近感を覚えたものです
食べた記憶があまりないのは、
子ども心においしいと思わなかったのでしょうね
酒飲みにはいい果物です
柿も人も、最後はシワシワになっちゃうものなんですよ。
切ないです…。
そちらは、もう柿がおしまいでしたか。
冬になると、木の葉っぱがなくなり、淋しいですね。
でも、この木に雪が積もると風流でいいかな~♪
秋には秋の、冬には冬の楽しみがありますね。
柿が皮ごと食べられるなんて、私も今まで知りませんでしたよ。
みなさんのコメント読むと、何かと勉強になります。
昔、枇杷の種を庭に埋めたら、母に叱られたことがあったな。
枇杷は大きくなるから、日差しが遮られて病人が出るという迷信を信じていたみたい。
どうしてもというわけでもなかったし、出てきた芽を素直に抜いたけれど、枇杷は結構好きな果物だったから残念だったわ。
緑が多いと虫も多くなるね。
まあ、仕方ないけど。
柿が二日酔い防止になると、もっと早く知っていれば…。
今よみがえる、酒席での失敗(笑)
体を冷やすといいますが、果物はどれも冷えますものね。
柿だけが特別ではないはずです。
お姉さんとお母さんは損な性分ですね。
資本主義社会は早い者勝ちですもの。
のろのろしていると、なくなるのは当然です。
ほのぼの
駅に行くまでの道に生産緑地とされてるところがあり、柿の木畑!?が続いてます。
毎朝そのうつりかわりで季節の移りを感じたりしています。
現在はすっかり実もなくなり冬じたくですね。
しかし柿の実、しょぼしょぼの最後の姿はいけませんな~
基本的に下戸の私は酒を飲んだ後は必ず食べます。二日酔いにならないので。
人のうちの柿を?
ジョバンニ少年、いけませんねぇ(笑)
頭の黒い鳥でした。
柿は取らなかったけど、砂希少女はピンポンダッシュをやりました(笑)
自宅から柿が消え、スーパーでの流通量が増えたとなると、柿の消費量は増えたのでしょうね。
柿アイスとか、新しいデザートを開発してほしいな~。
干し柿はあまり好きじゃないかも。
自分の口がシワシワになるような錯覚を起こします(爆)
ええっ、1日2~3個も食べるんですか?
ちょっと真似できません。
柿の栄養価は高いんですよね。
皮ごとという正統派のいただき方とは恐れ入りました(笑)
柿をたくさん食べれば写真が上手になる、という因果関係があるのなら、1日5個でも頑張りますが。
柿は人のうちのを
良く取って食べてたな
最近あまり柿の木がなくなり
スーパーにたんまりと
あまり食べなくなりました
干し柿も好きだった(笑)
柿は大好きで、毎日2~3個食べておりますよ
皮剥くのも面倒なので、丸かじりです(笑)
そうなんですよ、自家製の柿は日の当たり具合によるのか、甘さが均等じゃないんです。
ひとつの柿でも、甘いところと渋いところがあったりして…。
甘柿でも、渋柿がいくつかできるんですよね。
あれも不思議。
種が大きいのも、甘百目の特徴でしょうか。
ガブリとやったら、歯が種に当たって痛いのなんのって(笑)
食べ物に囲まれて困るなんて、ぜいたくな悩みです~!
そっか~、北海道は柿の木がないんだぁ。
知りませんでしたよ。
実家の柿にはイラガの幼虫がついていて、母がよく刺されていました。
私はそれが怖くて、柿の木には近づきませんでしたね。
今日も尾長鳥が柿を食べに集団で来ていました。
母が作る柿入りサラダは、マヨネーズにマッチしていて嫌いじゃなかったなぁ。
柔らかくなった柿は苦手です……。
まるで、まんが日本昔話みたい!!
カラスの恩返しとでもいうんでしょうか。
カラスは知能が高いですからね。
あり得るかもしれません。
にしても、業平少年ってどんな子供だったんでしょうね(笑)
父と息子が仲良く柿を取る図は微笑ましい限りです。
その場でいくつか食べたのかしら~!
富山は林檎や梨だけでなく、柿も美味しいのね。
富有柿は都内でも買えますが、水島柿は初耳です!
青いうちから食べて美味しいの?!
皮を剥かずに食べるものなんですねぇ。
山梨で桃を買ったときも、皮を洗ってそのまま食べなさいと言われましたよ。
カルチャーショック!!
お弁当、昔は新聞紙に包んでいましたか?
巾着だなんて、ハイカラになったもんです。
かきのおもいで。
自分の隣のうちに柿木が2本あって、よくいただいていました。どっさり・・・。
時期になると山のようにいただく柿に、正直「うえっ」っとしてましたね
というのもこの柿、甘さも渋さも微妙。
はっきりいっておいしくない。
甘い柿だったらいい思い出になってたのっでしょうかね??
去年本州で柿の実をたわわに付けた柿の木を見た時は
懐かしくて嬉しくて、ちょっとじ~んと来ちゃいました。
子供の頃の柿づくしは嫌だったでしょうが
きっと口とお腹が柿を求めているのですぞ~~。
あきらめてガンガン食べちゃう、ってのはどうかしら?
秋になったら、父と専用の道具で取るんだけど、必ず数個取らずに残してた。
父に聞いたら、カラス柿と言ってカラスの食べる分だけ残してやる。
そうすれば来年もカラスが先に食べずに、残りを待つんだ
とのこと
遠い日の思い出です・・・
富山には水島柿、富有柿などの甘柿があります。昔はこの水島を青いうちから摘み取り食べてました(笑)
今は家の前と裏庭に二本の富有柿があり店に来られたお客さんが欲しいと言われたら「勝手に摘んでってぇ」と言ってます(笑)
酒を飲んだ後とか酔い覚ましに良いので食べてます。柿に限らず林檎、梨は皮を剥かずに食べるのが好き!
しかし、その巾着俺にも頂戴(^^ゞ弁当包むのに良い感じ(笑)