渋谷にある松濤美術館では、明日23日まで「古代エジプト美術の世界展」を開催している。
エジプトフリークの娘を連れて、見に行ってきた。
「えーと、一般が500円、大学生が400円だって」
「安ッ!」
しかし、展示品は147品と充実していたし、鉛筆だけでなくクリップつきのボードまで貸してくれるから、ここまで親切な美術館はそうそうないと思う。
勉強道具があると、がぜんやる気になる。作品リストに、知り得た情報を次々と書きこんでいった。
「えーと、ヒエログリフとは、神聖な彫られた文字……」
「トト神とは、トキの神様のこと……」
「ネコは性と多産のシンボル……」
「ジャッカルは、道を切り開く者の意味……」
私がちまちまと記入している間に、娘はレリーフの前に移動している。
「ヒエログリフの意味はわからないけど、見ていて飽きない。すごいね~!」
印象的だったのは、「呪いの人形」という作品である。呪いをかけるには、アラバスターでできているこの人形に、呪いたい人の名前を書いて破壊すると書いてある。のっぺりした頭部には、恨みつらみが込められている気がして怖かった。
順路通りに2階に行くと、ソファーの並んでいる一角があり、品のいいおじいさんたちが小声で美術品について会話を交わしていた。美術愛好家のサロンのようだ。区立とはいえ、高級感漂う雰囲気は、松濤という地域ならではだろう。
「見て、『死者の書』がある」
娘は少々興奮気味だ。これは、墓に副葬する物で、死者が来世で復活するため携えるという。ここでは、もっとも有名な「呪文125のビネット」が公開されているらしい。展示のサブタイトルである「魔術と神秘」を彷彿とさせる作品である。館内は空いていたし、2人並んでじっくり眺めることができた。
他にも、死者が行き来するという「偽扉」や、イブ・サンローランのコレクションだった「ホルエムアケトの人型の棺」、ミイラに被せられた木製の蓋である「マミーボード」などなど、大きな展示品も堪能して出口に向かった。
1階で、ファラオの衣装が目に入る。
「あ、これは、ファラオに変身できる衣装じゃないかな」
たしか、ホームページに記念撮影用の貸出衣装があると書いてあったはずだ。コスプレマニアの私が目の色を変えて駆け寄ると、娘は露骨に嫌な顔をした。
「えっ、着るの? 本気?」
「もちろん。こういうの大好きだもん」
タイミングよく、係の女性が気づいてくれる。
「お召しになりますか。まず、この服を着てくださいね。それから頭にこれを被って……」
てきぱきと私をファラオに変えてくれる。
「はい、では腕をクロスさせて、お写真どうぞ」
娘がシャッターを押してくれる。
なかなか本格的でしょう?
ちなみに、額には「ウラエウス」という聖なるコブラがついている。これがファラオの証しであるという。
調子に乗って何枚も撮影していたら、通りかかったカップルが驚いていた。
「えっ、あれ着られるの? ヤバ~」
「あとで撮ろうよ」
えっへん。どんなもんだい!
この美術館は花マルでした。
↑
クリックしてくださるとウレシイです♪
※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
エジプトフリークの娘を連れて、見に行ってきた。
「えーと、一般が500円、大学生が400円だって」
「安ッ!」
しかし、展示品は147品と充実していたし、鉛筆だけでなくクリップつきのボードまで貸してくれるから、ここまで親切な美術館はそうそうないと思う。
勉強道具があると、がぜんやる気になる。作品リストに、知り得た情報を次々と書きこんでいった。
「えーと、ヒエログリフとは、神聖な彫られた文字……」
「トト神とは、トキの神様のこと……」
「ネコは性と多産のシンボル……」
「ジャッカルは、道を切り開く者の意味……」
私がちまちまと記入している間に、娘はレリーフの前に移動している。
「ヒエログリフの意味はわからないけど、見ていて飽きない。すごいね~!」
印象的だったのは、「呪いの人形」という作品である。呪いをかけるには、アラバスターでできているこの人形に、呪いたい人の名前を書いて破壊すると書いてある。のっぺりした頭部には、恨みつらみが込められている気がして怖かった。
順路通りに2階に行くと、ソファーの並んでいる一角があり、品のいいおじいさんたちが小声で美術品について会話を交わしていた。美術愛好家のサロンのようだ。区立とはいえ、高級感漂う雰囲気は、松濤という地域ならではだろう。
「見て、『死者の書』がある」
娘は少々興奮気味だ。これは、墓に副葬する物で、死者が来世で復活するため携えるという。ここでは、もっとも有名な「呪文125のビネット」が公開されているらしい。展示のサブタイトルである「魔術と神秘」を彷彿とさせる作品である。館内は空いていたし、2人並んでじっくり眺めることができた。
他にも、死者が行き来するという「偽扉」や、イブ・サンローランのコレクションだった「ホルエムアケトの人型の棺」、ミイラに被せられた木製の蓋である「マミーボード」などなど、大きな展示品も堪能して出口に向かった。
1階で、ファラオの衣装が目に入る。
「あ、これは、ファラオに変身できる衣装じゃないかな」
たしか、ホームページに記念撮影用の貸出衣装があると書いてあったはずだ。コスプレマニアの私が目の色を変えて駆け寄ると、娘は露骨に嫌な顔をした。
「えっ、着るの? 本気?」
「もちろん。こういうの大好きだもん」
タイミングよく、係の女性が気づいてくれる。
「お召しになりますか。まず、この服を着てくださいね。それから頭にこれを被って……」
てきぱきと私をファラオに変えてくれる。
「はい、では腕をクロスさせて、お写真どうぞ」
娘がシャッターを押してくれる。
なかなか本格的でしょう?
ちなみに、額には「ウラエウス」という聖なるコブラがついている。これがファラオの証しであるという。
調子に乗って何枚も撮影していたら、通りかかったカップルが驚いていた。
「えっ、あれ着られるの? ヤバ~」
「あとで撮ろうよ」
えっへん。どんなもんだい!
この美術館は花マルでした。
↑
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「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
エジプトと言われると、我々が高校生のころにはすでに大連載中だった少女漫画『王家の紋章』を思い出します。
話が全然進まなくてもどかしかったなぁ。
あれ、お読みでしたか?なんといまだに連載中とか。
そうして、陰謀と呪いのにおいがします。
ほっそりされていると、何でも着てみられていいですね。
ファラオもお似合いです。
何でも着こなせる体型だからどんどん試着なさってください。
私だったらなにかエジプトの魔物に憑りつかれそうで遠慮します(笑)
それにしても、いつも一緒に出掛けているようで、親子の仲が健全ですね。
『王家の紋章』はちょっと読んだことありますが、ファンになりませんでした。
絵が好きではないせいでしょうか。
あのころ、プリンセスコミックは元気でしたね。
『エロイカより愛をこめて』『悪魔の花嫁』など、集めていた単行本を思い出します。
ファラオの頭巾がこんなにボリュームたっぷりとは…。
スタッフのお手製のようです。
エジプト愛が炸裂した展示でした(笑)
衣装も頭巾も、スタッフの愛情が込められた作品のようでしたよ。
前髪を上げるため、頭巾の下にもう1枚シマシマのニットをかぶっています。
昼食のとき、額にセロテープの切れ端がついていて笑えました。
おそらく、シマシマを作ったときのクズではないかと。
娘にも着させたかったのに拒否されたのが残念です。
もっと上で手をクロスさせるべきでした(笑)
古代エジプトは想像や妄想が羽根を拡げるかっこうのネタですが、ヤッパ怖いですわ。
それにしてもその衣装、よく着る気になりましたね?ふつうの人はヤッパ恥ずかしいっしょ。
でも、相変わらず娘さんとお出掛けしているようで、仲いいですね。いいことだと思います。
そしてコスプレコーナー、こっちでは見たことないです。
なんと、スタッフさんの手作りとは。素晴らしい!
古代エジプト、私は 山岸涼子さんのマンガで親しみました。
いえいえ、全然恥ずかしくなかったです(笑)
上野だったら、行列ができますよ、これ。
松濤だと、遠くから見ている感じなのかしら。
スタッフさんは喜んでくれたし、自己満足!
古代エジプトには謎が多いです。
怖いっていう感覚は、得体の知れなさから来るのではないでしょうか。
当事者は、衣装のことしか頭にありませんでした。
料金と内容は一致しないこともあります。
いい方向だと嬉しいけれど、ぼったくり展示も中にはありますから、気をつけないと。
山岸涼子さんのエジプト??
日出処の天子モードから抜け出せません(笑)
コスプレ系は、小さな展示で開催されていることが多いです。
大きな会場では混乱して無理でしょうね~。