これは したり ~笹木 砂希~

面白いこと、妙なこと、不思議なことは、み~んな私に近寄ってきます。

トラップ仕掛けました!

2018年08月09日 21時25分33秒 | エッセイ
 夜、仕事から帰るなり、夫が慌ただしく話しかけてきた。
「ママ、ちょっと携帯見てくれる? ミキからのメールが受信できなかったみたいなんだ」
「へ? メールが?」
 夫のガラケーを開いてみたが、どこがおかしいのかわかるはずもない。「さあ」と冷たく突き返した。
「困ったな。メールが受け取れないとミキを迎えに行けない」
 そんなこと言われても……。たしかに、外側のランプがピカピカ光っているから、どこかに問題がありそうだ。年中、床に落としたり、どこかにぶつけたりしているから、携帯も弱っているのだろう。
「あ、ランプが消えた」
 充電したら、ピカピカがなくなったらしく夫の喜ぶ声が聞こえてきた。
「ママ、直ったかもしれないから、ためしにメールしてくれる?」
「いいよ」
 ためしに、と言われても何を入力するか考えてしまうのが、私の悪いところだ。夫は「あいうえお」だの「あかさたな」だのと、実につまらない文字を打つ。同じようにすればいいのに、ついつい「もっと面白いものを!」と気負ってしまうのは性格だろうか。
 前にも夫が機種変更をしたとき、ためしにメールを送って欲しいと頼まれた。そのときは、体形が牛に似た夫を冷やかそうして「モーモー」と打った。メールを開いた彼が「うわあ、何だこれ」と苦笑いしていた様子を見て、満足したことをおぼえている。今にして思えばバカバカしいが。
「うーん、何にしようかな……」
 牛ネタはもう使えない。そうだ、「ゴリラ」にしよう。そうしよう。



「送ったよ~」
 涼しい顔で答えたが、夫の反応が悪い。
「ダメだ、届かない」
 ありゃりゃ。
 ランプが消えても直っていなかったようだ。私のおバカメールはいずこへ?
「明日、ドコモショップに行ってくる」
「それがいいね」
 ということは……。もしやもしや。
 予定通り、翌日、夫はドコモショップに出かけた。20代のきれいなお姉さんが対応してくれたそうだ。
「何度か落とされたんですね。その衝撃が原因かもしれません。ちょっと拝見します」
「お願いします」
 裏ブタを開け、夫の前でカチャカチャと手際よく作業すると、お姉さんはまたフタを戻した。電源を入れ、操作を確認し始めたとき、「ぷっ」と小さく噴き出した。そう、あのアホメールを見てしまったのだ。
「す、すみません」
 彼女は口を押さえて謝罪したそうだ。メールを見ていない夫は、何のことやらわからなかったけれど、ひとまず「いえいえ」と返したらしい。
「これが届かなかったメールです。今、受け取れるようになったので、ご確認ください」
「はい。……あっ!」
 そこで夫も、彼女が笑った理由を知ることになる。忌々しくて、すぐに消したのだとか。わっはっは。
 絶対、夫は懲りずに携帯を落として壊すに違いない。
 今度は「ジャイアン」にしようっと。


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